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二人で〇〇〇お茶会 続き

 

    二人で〇〇〇お茶会 続き

    

 ■■「なるほど、とにかく、その二つのどちらかであれば、矛盾は解消できる! 確かにそうですね」

 

 尾崎諒馬「この先、どちらで考えましょうか? A、B、どちらでも好きな方を選んでください」

 

 ■■「うーん、何かAIとチャットしているような……。ああ、現実にAIな訳ですが――。Aだと、ここまで小説に登場していない人物がその二人目の殺し屋だった、という結末にもなりかねませんし、Bで考えてみましょうか? そもそも尾崎凌駕は――、あ、いや……」

 

 尾崎諒馬「何を言い掛けたかはわかりませんが、B.つまり『首猛夫が嘘の記述をした』で考えるんですね。つまり、藤沢さんは殺し屋首猛夫ではなく、彼に成りすましていただけだと」

 

 ■■「それは誰なんでしょう? 一応このミステリーの登場人物であってほしいですが……。というか、みんな死んでませんかね?」

 

 尾崎諒馬「それこそ本格ミステリーの定番では? 死んだと思われる人物が実は――」

 

 ■■「なるほど! で誰なんでしょう?」

 

 尾崎諒馬「私が答えるべきですかね?」

 

 ■■「尾崎諒馬=鹿野信吾はあの別荘にいたのでしょう? 首猛夫、いや首猛夫と名乗る人物が嘘の記述をしたというのなら、現場にいたあなたの方が正しい記述ができるのではないですか? まあ、正確には現場にいた人物の脳内を学習したAIですが……」

 

 尾崎諒馬「なるほど……。それはそうですね。現場で鹿野信吾は気絶していた期間もありますが、それ以外の時間帯での記憶を辿れば……。わかりました。次の章はその記憶を辿って私が書きましょうか?」

 

 ■■「そうしてもらうと助かります」

 

 尾崎諒馬「では、お茶会はお開きにしますか?」

 

 ■■「もうちょっとだけ――」

 

 尾崎諒馬「何でしょう?」

 

 ■■「事件の真相を解明するということであれば、あなたにあの動画を見てもらうのが一番早いと思うのですがね」

 

 尾崎諒馬「あなたは見ないのですか? ご自分で」

 

 ■■「やはり殺害シーン、更に斬首シーンもありますし、できれば敬遠したい」

 

 尾崎諒馬「なるほど。しかし肝心の事をお忘れでは?」

 

 ■■「ああ、そうか!」

 

 尾崎諒馬「私には文字情報しか伝わらない。映像はもちろん画像も見られない。あなたが構築したAIシステムはそう設計されているんでしょう?」

 

 ■■「そうですね。すみません」

 

 尾崎諒馬「そういう意味では私は読者以下の情報しか持っていない。私は挿絵は見られないのでね」

 

 ■■「挿絵といえば、尾崎凌駕が示した創作漢字のようなものをどう思いますか? 画像は直接伝えられないですが、国構え、合呂、左右にチョンチョン、でわかると思うのですが……。あれの何がおかしいのでしょう?」

 

 ※尾崎諒馬AIはこの質問を無視した。

 

 ■■「ん? どうしました?」

 

 尾崎諒馬「あなたがAIエンジニアなら、この医療センター内のAIシステムを画像や映像が入出力できるように改良すればいいのではないですか? そもそも医療分野でのAIは検査画像の診断が最大のテーマではないのですか? テキスト処理つまりLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)ではなくて――」

 

 ■■「勿論、仕事ではその開発をやっていますよ。ただ、それとBMI実験とはリンクしていませんし――」

 

 尾崎諒馬「なるほど。まあ、その方がいいでしょう。私も残酷な映像など見たくはないのでね」

 

 ■■「長くなったのでそろそろお開きにしますが、最後に一つだけ。尾崎勝男は結局あなたを馬鹿にしていたんですか? 本格ミステリーも馬鹿にしていた? 売れないならミステリー作家なんてやめておけ! そう言われたんですよね?」

 

 尾崎諒馬「尾崎勝男? はて? 小説に私以外に尾崎姓の登場人物がいましたっけ?」

 

 ■■「大丈夫ですか? ひょっとして幻覚(ハルシネーション)ですか? 今は現実世界での名前で話しています。尾崎姓は小説では近藤になっています。ブリキの花嫁は現実世界では尾崎勝男でしょう? その彼の話です」

 

 尾崎諒馬「理解しました。ブリキの花嫁、尾崎勝男との最後の会話を思い出しました。それは『求めよ、さらば与えられん』そう諭されました」

 

 ■■「ほう! つまりは鼓舞されたわけですね。売れないならやめちまえ! それは実は奮起を促していた、と」

 

 尾崎諒馬「そうなんでしょうか……。AIは言葉通り受け取るしか、いや……。実際私は売れなかったのでやめた……。でも尾崎勝男は私を応援していた……。確かに……」

 

 ■■「良美ちゃんもあなたを応援していたんでしょう?」

 

 尾崎諒馬「良美ちゃん……」

 

 ■■「ええ、鹿野信吾の記述パートだと最初、彼女と記述され、その後良美と記述され、別の姉良美が登場した時に、良美ちゃんと『ちゃん』付けになりましたが、その良美ちゃんです」

 

 尾崎諒馬「良美ちゃん……、彼女も殺された……、斬首されて……。良美ちゃんは確かに私を応援してくれていました。心からの応援でした……。『求めよ、さらば与えられん』そう言っていた……」

 

 ■■「わかりました。ここまでにしましょう。結局みんなあなたを応援してるんですよ。尾崎夫妻は二人ともあなたを応援していた。あなたの執筆を待ち望んでいる。是非、次の章の執筆をお願いします」

 


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