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恋だよ。~幼馴染との恋は難しい~

作者: 青空 杏

「嘘だよ。~今度は素直でいられますように~」という前に投稿したお話に出てくる由奈の恋のお話です。

興味があったらぜひそちらも見てください!

最近、幼稚園からの付き合いで私の親友の灯の恋が叶った。二人の関係はとても順調で見ている側としては、微笑ましい。それで最近思うのは、私も恋したいな~って。なんか灯を見ていたら自分の恋のことも考えるようになっちゃたみたい。


「由奈、学校行くぞ。何ボーッとしてるんだよ」

「ごめん、ごめん。ちょっと考え事」


今話したのは、私の幼馴染の林原光だ。家が近いから幼稚園に入る前からの付き合い。昔は可愛かったのに、今では男の子って感じ。高校に入った今でも、私と光は未だに付き合いがある。なにせお母さん同士の仲がいいのだ。


「おはよ~。由奈」

「おはよ。朝からご機嫌だね」

「うん。まぁね」


羨ましい。羨ましい。ほんとに順調なんだから。やっぱり恋したいな~。今日は朝から思考が同じだ。


「あれ。林原くんは?」


灯がドアの方を見て言う。


「あれ、まだ来てない?」


そう言いながら教室の後ろの方を見ると‥


「わっ!」

「ひゃっ」


驚いたな~とでも言いたそうな顔をした光がいた。


「光~」

「ん?」

「ん?じゃないって。驚かせないでよ!」

「驚いたほうが悪い」

「驚かせたほうが悪い」

「まぁまぁ。そこまでに」


灯が止めたところで終わる。光と私のはいつもこんな感じだ。





◇◇◇◇










「…と言う訳だ。じゃ気をつけて帰れよー」


先生の話が終わって、みんなが帰っていく。


「由奈~、勉強教えてくれ」

「はいはい。私の家でいい?」

「うん」


光と帰ろうとしたとき、


「高木。ちょっと手伝ってくれないか」


先生にノートを運んでくれないかとお願いされた。一瞬迷ったけど私は先生に頼まれたことをやることにした。


「分かりました。光は先帰ってていいよ。先生ー、どこに運ぶんですか」

「あぁ、理科準備室まで頼むよ」


うわー、最悪。理科準備室って教室から遠いんだよね。それをクラス全員のノートを運ぶのか。大変だな。先生は教室出ちゃったし。そう思いながら、ノートを持つ。…重い。一人で運べるかなと思っていると


「ったく。こんくらい、頼んでくれればいいのに」

「光!帰ってなかったの?」

「ノート全員分はきついだろ」


そう言って、ノートを半分以上持ってくれた。優しいなと思いながら光を見る。…あれ?光ってこんなに背高かったっけ。小学校、中学校は私とそんなに変わらなかったのに。いつの間にこんなに大きくなったのだろう。


「由奈、ぼーっとせてるとおいてくぞ」

「あっ、今行く」


そう言って歩き出したのはいいが、光の背が高かったことに考えすぎて周りに注意できていなかったのだろうか。階段のちょっとした段差につまずいた。


「あっ」


手から持っていたノートが落ちていく。前を歩いていた光が私がつまずいたことに気づく。どうしよう。結構上から落ちたから、痛い。そう思って目をつぶった。でも、痛みは来なかった。


「っと、大丈夫かよ」


光が、いわゆるお姫様抱っこで受け止めてくれたから。ただ、状況を理解した途端に、心臓の動きが速くなった気がした。


「っ、大丈夫。ノート拾わないといけないからおろして」

「ん。大丈夫ならいいわ」


そう言っておろしてもらった。二人でノートを拾って理科準備室まで運んだけど、それまでずっと心臓の動きは速いままだった。






◇◇◇◇









「ただいま~」

「おじゃましまーす」

「おかえり。あっ、光くん」

「勉強しに来ました」


そのままリビングで勉強していたら、時計は五時を回っていた。


「光くん。ご飯食べてったら?」

「いいんですか」

「もちろん」

「じゃ、お言葉に甘えて」


私たちは度々こういう事がある。これも幼馴染だからかな。じゃあ、どっちかがどこかに行ったらこういう事はなくなるのかな。寂しいな。…えっ、今私なんて思った?寂しい?嘘。嘘だ。うん嘘だ。私がそう思うはずもない。思ってたら、私が光のことを好きみたいじゃない。そう思ったら、さっきの学校での出来事を思い出しちゃった。途端に鼓動が速くなる。…もう認めよう。私は、

光のことが好きなんだと。この気持ちは恋なんだと。








◇◇◇◇









昨日は、光のことが好きだと自覚してからが大変だった。なんとかやりきったけど。恋すると平常心でいられなくなる。ちなみにまだ誰にも光のことが好きだとは言っていない。


「高木」

「あっ、秋斗くん」


今声をかけてくれたのは望月秋斗。いつか名前で呼んでくれって言われたから秋斗くんって呼んでいる。個人的には面白い子だと思っている。男友達って感じ。


「今日の数学、分からなかっただろ」

「うっ。なんで分かったの?」

「高木は顔に出やすいんだよ」

「うそ」


思わず顔を手で隠す。そしたら秋斗くんは笑った。


「今更隠しても意味ないだろ」

「あっ、そっか」


恥ずかしい。


「それで数学は分かった?」

「…いや、考えたけど分からなかった」

「教えてあげようか」

「えっ、いいの」

「いいよ。放課後、じゃあ放課後図書館で」

「分かった。ありがとう」








◇◇◇◇









「…というわけ」

「なるほど!教えてくれてありがとう。教えるの上手だね」

「そうでもないよ」


秋斗くんの説明は分かりやすいし、問題が解けてスッキリした。またね、と言って帰ろうとしたとき


「由奈!」


呼び捨てで呼ばれて思わず振り返る。呼んだのは秋斗くんだった。


「って呼んでもいい?」


そうやって聞かれた。


「いいけど、なんで?」


一瞬黙ってから秋斗くんが口を開いた。


「好きだから」

「えっ」


まさかの告白。驚きで言葉も出ない。


「呼び捨てで呼んじゃだめ?」


どうしようか迷ったけど。けど私は、


「ごめん。私他に好きな人がいるから、呼び捨てされるならその人がいい」

「…うん。分かった。ごめんね、いきなり」


そう言って秋斗くんは帰っていった。なんか申し訳ないな、と思っていると。


「由奈」


私の好きな人の声が聞こえた。って、えっ


「光!なんでここに」

「…たまたま」


偶然だなと思ってから、あることに気付く。


「もしかして、告白されたとこ見てた?」

「あぁ、まぁ、うん」


気まずい。なんて言おう。光も他人の告白現場を目撃したのだ気まずそうな顔をしている。


「あのさ、」

「ん?」


先に話し始めたのは光だった。


「由奈の好きな人って誰?」


どうしよう。この場で言うのもいいと思った。でももし、振られたら?幼馴染でとしか見ていないと言われたら?最悪の場合が頭をよぎる。と同時に、灯のことを思い出した。灯は自分から告白したらしい。それを思い出して、告白しようと思った。ずっと言わないままか、両思いという可能性に賭けるか。そう思ったら、振られてもいいから自分の気持ちを伝えようと思った。


「光だよ。私の好きな人は光だよ」

「えっ」

「ほんとだから」


この気持ちは恋なんだよ。私最近気がついたんだ。

そういう気持ちで光に微笑む。


「返事はいつでもいいから。振ってくれてもいいから。私の気持ちだけ覚えておいてね」


そう言ってその場を離れようとした。

歩き出したとき、誰かに手を掴まれた。


「俺もだよ。俺も由奈のことが好きだよ。振るわけないだろ」


私の手を掴んだのは、光だった。私の気持ちは一方通行じゃなかったんだ。私は両思いになれたんだ。


帰り道、私たちは手を繋いで帰った。いっぱい話したいことがあったけど、まずは、両思いになれたこの気持を噛みしめるように、ゆっくりゆっくり歩いていった。


これから先、繋いだこの手を離さないと決めながら。

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