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第99話 冒険者ギルドの役割と初めての依頼

(さてと、どんな依頼があるのやら。)


 冒険者の登録が完了したので、掲示板の前に移動してどんな依頼があるか確認することにした。昼過ぎという時間帯だからなのか、人はまばらで依頼内容をゆっくりと見ることができる。


(冒険者というより、服装は一般市民だな。)


 数人の冒険者らしき人が掲示板を見ており、その中には、俺の見た目年齢と同じくらいの12,13歳の人もいた。共和国とは名ばかりで、封建制度に近いと聞いていたので、こういった依頼を自由に見ている人がいるのは意外だった。


 声をかけて聞いたところ、領地や村に住む人たちは領主や村長に従う農民として暮らしているそうだった。逆に王都の住民はほとんど自由民で、日銭を稼ぐために活動しているという。


 掲示板というより壁そのものに近づくと、全体的に依頼の情報が掲載されていた。掲示板は黒板のようになっており、大部分の依頼は直に手書きで記載されていた。一部羊皮紙に記載されているが、その依頼は総じて危険度が高い。今は既にないが、回数制限があるような依頼も、羊皮紙で記載されているかもしれない。


 残っている依頼の内容だけも幅広く、店舗掃除や店員のアルバイト募集のようなものもあれば、護衛や大型獣の退治、食材や木材などの材料の調達など、様々なものが掲載されていた。


 国から依頼もあり、その中に路上の排泄物の清掃もあった。今の不衛生な状態を容認しているわけではないようで少し安心したのだが、報酬が低すぎるのか誰も受ける様子がない。大きな壺1つ分で、銅貨30枚(3,000円相当)という報酬は、壺の大きさにもよるが厳しい気がする。


(要するに何でも屋だな。これは。)


 しばらく掲示板を眺めていて思ったが、依頼の内容は幅広いというより、依頼主がいればなんでも良いらしい。当然犯罪などは含まない。さらにじっくり見ていると、依頼内容の偏りなどから、冒険者ギルドの役割が透けて見えてくる。


掲示されている依頼内容を分析すると、不自然なほどギルドがある分野のものがない。強いて言えば、材料集めが残っているが、そういった単純な依頼以外ない。人気で既にないことも考えられるが、恐らく報酬が高い依頼は、直接既存ギルドに行くようになっているのだろう。


 冒険者ギルドの掲示板には、他のギルドが請けないような価値の低い仕事や、まだ技術が確立されていないような新しい仕事、リスクの高い仕事などが扱われ、実質なんでも屋のような役割なのだろう。


 依頼以外にもお尋ね者の賞金も掲載されており、達成すれば依頼と同様に貢献ポイントが加算されるようだ。朝から晩まで毎日見ていれば、共和国のニーズ分析ができて、面白そうではあるが、そこまで暇でもない。


(さてと、とりあえず何か受けるか。)


 一通り残っている依頼には目を通したので、そろそろ受ける依頼を選ぶことにしたい。当然できる限り収入効率が良いものが望ましい。そうなると、店舗掃除や店員などは真っ先に除外するべきだろう。時給換算で考えると1時間働いて銅貨8枚(800円相当)、働くことで技術が身につくような仕事でもないので選ぶことはなさそうだ。依頼内容は簡単なものなので、子供向けのものだろう。


 効率で選べば護衛や討伐になるが、さすがに実績などの受注条件が設定されて受けられないし、大型獣の退治は敵の種類や詳細情報がない限り手を出し辛い。大型獣によっては退治できる可能性は0ではないとは思うが、情報なしで受けるのはありえない。今時点で受けるのは勇気と言うより蛮勇の部類だろう。


(木材調達か・・・)


 木材調達は、木材が貴重と言われるだけあって実入りも良いのだが、難しさが想定できない。木材の高騰状況を聞く限り、リスクが高いのは間違いないが、うまくこなせれば良い収入源になりそうだ。


 当然、現時点で受ける判断ができるほどの情報は持っていないのだが、都合の良いことに受注者の人数などに制限のない常設依頼のようだ。木材を入手した後でも受けられる。


 幸い親方にもらった報酬が金貨2枚以上(200万円以上)残っていることもあり、焦って依頼を受ける必要はないので、情報収集に時間をかけられる。依頼を受けずに始められるのでリスクヘッジもできる。


 俺の初めての依頼は木材調達。まずは、調達に向けた情報収集から始めるとしよう。ちなみに、買い取り対象となる木材は、直径10cm、長さ100cmを基準に、それ以上のものに値が付く。それ以下の枝などはまとめて一山とすれば、買い取ってもらえるが、かさばるので効率は良くない。


(調達先は、噂の大森林一択なのかな。)


 炭鉱の村から共和国の道なりには森や林はなかった。木材を調達できそうな場所は共和国の北側にあるという大森林だけなのかもしれない。大森林は、大型獣などが出没して危険だと聞いてはいるが、実際どのくらいのリスクがあるのかは行ってみなければ判断はできない。


 報酬を考えれば、リスクがあっても一度は現地を確認してみるべきだろう。正直なところ、大森林の状況もかなり興味がある。俺は、先ほどの受付の少女に、念のため木材の調達場所について聞いてみた。


「木材調達に興味があるのだが、調達場所について教えてもらえないか?」


 少女は最初より力が抜けてきたのか、見知った顔で安心したのか、常設依頼用の資料を見ながら笑顔で答えてくれた。


「木材調達ですね。調達場所は特に指定はないのですが、北から東にかけて広がる大森林からの木材が多いです。北門、東門どちらから出ても行けますが、北門の方が若干大森林まで近いです。木材調達は、ご存じかもしれませんが、大型獣などが出て被害が多発していますのでご注意ください。戦闘が得意な人を入れて、最小構成で3名以上のパーティを推奨しています。」


 一通りテンプレと思われる対応をしてくれた後、一人でいくのは危険なのでやめた方が良いですよっと、心配そうにささやいてくれた。俺は気を使ってくれたことに礼を言い、冒険者ギルドの外に出た。


(まあ、一度くらいは見ておかないとな。)


 リスクがあるのは承知していたが、稼げる可能性がある依頼は、木材調達くらいなのは変わらない。俺には『しるし』を使って監視網を作ることができるので、他より優位に作業をできる可能性もある。せっかく現場にいくのでチャンスがあれば調査だけではなく、木材の調達もねらいたい。


・・・


 一度、宿に戻り準備をする。準備と言っても調査だけなのと、大型獣などに遭遇したときに逃げることも考え、装備は最小限、スコップに『しるし』、携帯食と水筒だけにする。一応、木材が確保できたときのために、ロバのルシオとロシナンテを一緒に連れ出すことにした。


 大森林へは北門から出て、北上するルートを選択する。宿から北門へは、一度中央に行ってから、北上した方が迷わないというアドバイスを女将さんにもらって、その通りの道順で歩いて行った。


(良くみんな我慢できる・・・)


 王都の環境には大分慣れてきてはいるが、昼過ぎの気温も相まって、不快指数が高止まりしている。臭いと湿気には耐えがたいものがある。心を無にしてしばらく歩き続けていると、ようやく北門が見えてきた。何かしらの成果が得られることを期待して、俺は足早に北門に近づいていった。


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