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第98話 冒険者ギルド

(さてと、本命に行ってみるか。)


 一息ついてから、本命である冒険者ギルドに行ってみることにした。名前からしてなんともワクワクするギルド名だが、冒険を派遣しなければならないような場所やモンスター討伐などの依頼が頻繁にあるようには思えない。大森林にいると聞いている大型獣などが、依頼対象になっているのだろうか。


 冒険者ギルドの場所は、他のギルドと同様に共和国の中心地にあるが、冒険者ギルドの前に立つと、他のギルドと違いが分かってくる。他のギルドより2周り程大きく、入口もかなり広い。


 中に入ると、正面に受付カウンターが複数あり、他のギルドにはなかった、大きな掲示板が左手奥にあった。遠くて詳細は確認できないが、掲示板には依頼内容だろうか、文字が書かれているようだ。


 掲示板の手前には、テーブルが複数あり待ち合わせスペースになっている。今は昼を過ぎた時間帯と言うこともあるのか、座っている人の方が少ないが、軽食などを食べている人もいる。


 受付は、他のギルドでは1,2か所だったが、ここでは開いているものだけで5か所あった。右側は店舗になっているようだが、扱っているものは種類が多く、ホームセンターのような印象を受けた。


(よしよし。あそこにするか。)


 俺は、早速開いている受付に近づいていった。 


「ガキが来るような場所じゃねぇぞ!」


 と言いながら、ガラの悪い男が邪魔をしてくる。そんなイベントらしきものは、一切起こらず、すんなりと受付の前に到達。若干、残念な思いを持ちながら、やや見上げながら話をする。


「初めてきたのだが、金を稼ぎたい、俺でも登録は可能だろうか?」


 受付の女性に話しかけてから気が付いたが、随分と若そうな少女が目の前にいた。15,6歳だろうか、一生懸命さが伝わってくるようだが、不慣れなのか落ち着かない感じがする。


「は、はい。大丈夫ですよ。色々な依頼がありますから、あなたくらいの年齢であれば問題ありませんよ。ただ登録料銀貨5枚と、身分を証明するために国民証明書か、入国証明書が必要となります。お持ちでしょうか?」


 そう話しながら、横にいる年配の受付の方をちらりと見ている。年配の受付は視線を感じると、うなずいているので、もしかしたら研修中なのかもしれない。普段の混み具合はわからないが、空いている受付もあり、今の混みようであれば実習に適しているようにも思える。


 微笑ましさを感じながら、会話を続ける。


「どちらも持っているが、登録する前にここでの仕事の受け方や、注意点など説明をして欲しいのだが。」


「は、はい、わかりました。えっと・・・」


 マニュアルだろうか、本らしきものを見ながら必死に説明してくれている。受付の少女は、不慣れでたどたどしかったが全体的に説明は分かりやすく、こちらの質問にも答えてくれた。

 

 その説明によると、冒険者は貢献度によりランク付けがされており、下から順に青銅・銅・銀・金・白銀の5段階になっており、他のギルドのように教会が任命する守護聖人はいないようだ。


 ランクアップは、依頼ごとに設定されている貢献度の累積値が各ランクの閾値を超えると、審査を受ける資格が得られ、それに合格する必要がある。依頼には、貢献度とは別の尺度である危険度も設定されている。


 危険度は、その名の通り依頼を達成するための危険さを表しており、冒険者ギルドの判断でつけられ、星の数で表現される。銀等級以上になるには、過去に達成した依頼の危険度の高さも審査対象になる。


(冒険者ランクを上げる意味は、当面なさそうだな。)


 掲示板の依頼は、冒険者ランクにより受注が制限されるようなものはほとんどなく、ランクが低いことに対する弊害はあまりないそうだった。ランクが低くても危険度の高い依頼を、受けられることが多いがすべて自己責任とのことだった。


 ただし、当然、等級が高ければ信用も増すため、ランクが高い方が掲示板に張り出されないような指名依頼が入る可能性は高くなるとのことだ。


(決まり事も殆どないと。)


 細かい規約や取り決めもほとんどないようだ。倫理に反する行為、正義に反する行為、人権を侵害する行為など、いわゆる公序良俗に違反しないことや、他の冒険者と争わないことを説明された程度であった。


 規約が緩い分、違反したかどうかについてはギルド側が任意に判断でき、判断の結果次第で冒険者を追放することができる。ギルドに目を付けられれば、簡単に追放できるので、目につくような揉め事はあまりないらしい。


 一番気になる報酬については、依頼によるとしか言えないそうで、掲示板を見て欲しいとのことだった。一通り説明を終えたと思ったのだろうか、受付はやり切った感がほとばしる笑顔をしてきて、中々に魅力的だった。


 俺はお礼を伝え、登録料と入国証明書を渡しつつ、冒険者登録を依頼した。


「こちらの登録申請書に記載をお願いします。代筆も承っております。」


 受付から羊皮紙の申請書が渡された。羊皮紙は貴重なのだろうか、大きさはA4の4分の1、A6サイズだった。単に記載する箇所が少ないだけかもしれないが、申請書に名前と年齢、職業、入国証明書の番号を記載して受付に渡した。


 受付は申請書を確認すると、隣にいた熟練の受付と思われる女性に渡した。熟練の受付は、確認を終えた申請書を持って奥に下がっていった。


「冒険者の登録証を発行しますので、しばらくおまちください。」


 若干手持無沙汰な時間になったので、小声で少し声をかけてみた。


「受付の実習中なのか?」


 受付は、一瞬何を言われたかわからなかった表情をしたが、気が付くと小声で返してきた。


「そうなんですよ。研修が終わって今日が初めての実習です。しかも初めて冒険者登録を担当させてもらいました。記念すべき第1号です。私の説明どうでした?」


 受付は一気に砕けてきたが、あまり気にせず話を続ける。


「良かったと思うぞ。説明も分かりやすかったし、質問への回答も、少し手間取っていたがわかりやすかったしな。」


「そうですか。良かった。でも質問はあなたのせいもありますよ。普通はあんなに細かく聞かれませんよ多分。研修中で見た実例はもっと簡単でしたし。でも、すごいですね。その年で文字もかけて、働くなんて。えらいですね。普通は15歳で成人してから働き出す人が多いですよ。」


 奥から熟練の受付が戻ってきそうな音がするので、話を中断させる。


「おっと、戻ってきそうだな。」


 そういって俺はだまり、すました顔をする。受付も微笑んでから、何事もなかったような顔をする。


「こちらが登録証になります。再発行はできますが、同じく銀貨5枚が必要になります。無くさないようにお気をつけください。依頼はあちらの掲示板にありますので、是非ご覧ください。」


 俺は渡された登録証を、お礼を言って受け取った。渡された冒険者の登録証は、ランクを示しているのだろう、青銅のプレートで、表には俺のIDらしきものが、裏には星マークが1つ刻印されていた。


 星マークは過去に達成した最大の危険度を表しており、最低が星1、最高が星5となるそうだった。俺は振り返り、掲示板の方に歩いて行った。


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