第62話 マナに関する状況
(マナ関連の能力は、順調に強化されているな。)
マナ操作、マナ感知、聖痕でマナを吸収するマナ吸収も含め、マナに関するスキルは、毎日ことあるごとに使っている。それに伴い、それぞれのスキルの向上が実感できている。レベルという定義は特にないが、初期のスキルをLv1とするなら、今はLv5くらいといっても良いだろう。
マナ操作に関しては、操作できる範囲が徐々に広がっていたが、壁にぶつかった。50cm四方の岩を削り出すのが限界のようで、それ以上には広がらなくなっている。範囲は広がらなくなったが、その範囲にマナを展開させるスピードや、展開する形の微調整は、まだまだ向上している。
暇さえあれば『しるし』を作っていることもあり、必要な紋様の削り出しは、かなり効率的になっている。3分もあれば『しるし』を1つ作れる。材質が良ければ壁や、その内部にも紋様を彫ることができるのだが、接続するためには1度触れるくらいの距離に置かない上手くいかない。セルカに使ってもらうものは、壁などに直接作るわけにはいかない。
先日、竹材で子供用の遊び道具を作った際も、1時間程度で、3本の竹材をブロックにし終えた。その際わかったが、どうも水分を多く含む素材は、切断や削り出しが難しいように感じる。
取り込んだマナは、水にとける性質を持つため、操作が難しいのだろう。マナを展開する速度と量を調整し、素早く操作すれば加工はできないことはないので、今のところ問題ない。
マナ感知についても向上が図れている。今では、自分を中心に5mくらいの範囲であれば、マナを感知できる。これについてもまだ広がるようだ。今のところ、このスキルの必要性や、活用方法はほとんどないので、範囲が広がってもあまり意味はないのだが、いずれ使い道があるかもしれないので、強化は怠らないことにしている。
マナ吸収については、吸収できる範囲と、吸収速度に向上が見られている。5mの範囲内にマナが存在していれば、動かなくても常時吸収できるし、瞑想のようなことをすれば、吸収速度を早めることができている。現状の使い方では、ほとんど問題がないが、最近始めた実験では、吸収したマナがいくらでも必要になるので、さらに能力向上を図っていきたい。
(自己の能力だけでなく、研究も進めている。)
最近、マナの検証と能力向上を兼ねて、新たな研究を進めている。以前は、階段や水路の整備を優先していたが、それらが完了し、直近で優先すべき作業がなくなった。そのため、マナの研究を始めることにした。
基本的なことだが、大気中のマナと俺が取り込んだマナとは別物だ。前者は俺と植物を除いたものに対して、まったく反応しない。おそらく物理的なものには影響を受けないのだと思う。後者は、怪力や岩の切り出しなどに使える。俺がマナを体内に取り込むことで、大気中のものとは性質の違うものに変質していると考えている。
(もう一つ発見もあった。)
水中でのマナ操作は難しい。以前は操作できなかったが、今はマナの展開速度と量を調整することで少し可能になった。効果が激減するし、細かい調整はできないので難しいことには変わりがない。
変質したマナは、マナ操作やゴーレムの操作など、物理的な影響を出せる特性や、水に溶ける特性を持っていることが分かっている。この水に溶ける特性が、水の中でマナ操作が難しい原因だと思う。
水に溶ける特性があることを、裏付けるために1つの検証実験を行った。岩で作った大き目のコップに水を注ぎ、その水に対して、ひたすらマナ吸収とマナ操作をしながら、マナを放出した。
その結果、ある一定量のマナを放出したところ、それ以上コップの水にはマナが溶け込まなくなるのを確認できた。このことから、体内に取り込まれたマナは、水に触れるとその中に溶け込むのだが、溶け込んでいるがゆえに、溶け込む量に限界があるのだろうと結論付けている。
(新たな物質も抽出できた。)
マナを十分に溶け込ませたコップの水(マナ水と呼ぶ)を、熱して蒸発させたところ、無色の粉ができることも確認できた。この粉は塩などではなく、マナの結晶(マナ結晶と呼ぶ)だと考えている。面白いことに、このマナ結晶は、俺の意識に反応して動く性質を持っていることが分かっている。
どんな物質からできているのか、電子顕微鏡などがない今の状況では確認のしようがないが、前世の元素記号に含まれないもので構成されているのではないかと思っている。マナが水に溶けること、結晶として取り出せることが分かって以来、毎日スキルの向上も兼ねて、マナ水とマナ結晶を量産している。
マナ水については、さらに別の実験を行っている。
若干、抵抗感があるのだが、ロバを使った実験をしている。ロバは最初に捕獲して以来、時々確保ができている。既に合計4頭確保できており、最初に捕まえた2頭の雄雌にだけ、メスをルシオ、オスをロシナンテと名付けた。
その2頭にだけに、マナ水を飲ませている。まだ、実験を始めてからそこまでの日数が経っていないので、影響についてはまだ何も確証が得られていない。個体差もあるのかもしれないが、マナ水を飲んでいる2頭の方が、元気なような気もしている。これについては、中期的に確認していく必要があるだろう。
マナに関するスキルについては、今後も積極的に使うことで、能力向上を目指していくし、使い方については、思いつくものをどんどん試していくことにする。




