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第43話 天の声

(・・・聞こえますか・・・、聞こえますか・・・)


 寝起きの頭の中で声が聞こえる。


「・・・!」


 どこかデジャブを起こさせるセリフが頭に直接響く。一瞬、女神が復活したかとも思ったが、あの美声ではない。しかも、最近感じた声である。


「セルカか?」


(あっ、聞こえます? ふふふ。声、出していますよね。思うだけで、良いはずですけどね。たぶん。)


「聞こえている。どういうことだ?」


(イデアに取り込まれた人間は、女神だけでなく、取り込まれた人間同士でも意思の疎通ができると昔聞いたことがあったので、試してみました。結構簡単ですよ。)


 セルカは、重大な話を事も無げも言った。そんな携帯電話みたいなことができるのであれば、前世に近い意思の疎通ができる。むしろ、電波を介さない仕組みであれば、前世以上の性能だし、今後、様々なケースでの活用も期待できる。前世でできていたことの疑似的な再現も可能かもしれない。


「そいつはすごい!どうやるか教えてくれ。」


 思わず、食い気味に教えを乞う。


(ず、ずいぶん乗り気ですね。もちろん良いですよ。まずは相手の位置を、イメージする必要があります。あ、位置はイデア内の位置ですけどね。昨日私と話したことを思い出して、私のことをイメージしてみてください。想像で良いので、できるだけ具体的に。)


 昨日感じた声(正確には声ではないが)から、声にあう女性のイメージを浮かべる。

 可愛らしい声だったので、若い美少女をイメージしてしまうのは許される範囲だろう。


「イメージしたぞ。」


(ふふふ。どんなイメージなのか、今度聞かせてくださいね。そうしたら、そのイメージを保ちながら、イデアを想像して、さらに私がその中のどこにいるか、想像してみてください。)


「イデアを想像しろと言われても困るが・・・」


 イデアの話を聞いたとき、第一印象はクラウドと似たようなものだった。宇宙レベルで大きな記憶空間を想像して見る。彼女が砂の1粒程度であることを想像しながら、言われた通りに、いる場所を想像してみる。


「・・・あぁ。なぜかわからないが、セルカがいる場所のようなものが、分かる気がする。今、その場所と、なにかでつながっているのもわかる。」


(あらも・・・順応早いですね。私、昨日リコルドと話し終わった後、このことを思い出した後から、色々やってみて、やっとできたのに。ちょっとむかつきますよ。)


 ここでヘソを曲げられても困るので、あからさま過ぎるが、とりあえず褒めておく。


「教え方がうまいのだろう」


(へへっ。そうですかね。)


ちょろいな・・・


(ちょろくないですよ!)


しまった筒抜けらしい。


(まあ、良いです。いったんつながりを切ります。少し経った後、私の場所につなげようとイメージしてから、声をかけてみてください。)


 つながりが切れたのを感じ、セルカの声が聞こえなくなる。いわれた通り、しばらくたった後、先ほどのイメージで場所を特定し、その場所につなぐイメージをした後、声をかけてみる。


「聞こえるか?」


 しばらくたっても反応がないので失敗かと思ったが、どうやら成功しているらしい。なんとなく、セルカが聞こえない振りをして、黙っていようとしている意識が伝わってくる。


「意識が伝わってきているぞ。聞こえているな!」


(はーい。聞こえていました。やっぱり順応早いですねっ)


「素直に誉め言葉として受け取っておこう。子供の体だから、新しいことを吸収しやすいのかもしれない。転生後、異様に物覚えが良い気がするしな。」


(あぁ。それはそうですよ。イデアに取り込まれた時に、前世の記憶はそのまま保存されますし、転生後にあったことはすべてイデアに記録されますよ。もう忘れることはできません・・・)


 自分でもその仮説は持っていたのだが、事実でないことを祈っていたが、裏付けをされてしまった。セルカはさらりと言ったが、やはり、恐ろしいことだと思う。人間は、忘れる能力があることで正気を保っていられる。耐えられないような酷いことが起きた時、それを明確に覚えて忘れられないのであれば、気が狂う可能性もあるのではないか。


「そいつは恐ろしいな・・・」


(・・・大丈夫ですよ。自然に「考えない」という能力が身につくはずですよ。身につかないとやばいですけど。)


 あまり感じさせないが、セルカにも色々あったのかもしれない。


「まあ、記憶力が良いこと有利なことも多いだろう。あまり深く考えないことにするか。」


(そうですね。それが良いですよ。真面目過ぎては駄目ですよ。ほどほどがコツです。)


「そうだな。ほどほど、適当に行くことにしよう。」


 長いこと生きている、その片鱗を感じさせる彼女の言葉と言い方に少しハッとする。もしかしたら、天然系の彼女の性格も感じた通りのものではないのかもしれない。


「よし。おかげで、他の人と遠隔で意思の疎通ができる、新しいスキルを身に着けられたよ。ありがとうな。当面セルカ専用のスキルだが。」


(良かったですね。喜んでもらえて嬉しいです。)


 この後、すぐにセルカがなぜこのスキルを、あっさり教えてくれたのかに気づき、後悔することになった。いつでも話せる。そう、いつでも話せるので、いつでもセルカは話してくる。とめどなく・・・


 早く、別のおしゃべりな人材を確保する必要性を、強く感じている。


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