表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/179

第41話 新たな情報の精査

 集落および集落外の近辺の探索・調査は一通り完了した。新たに得られた情報について、精査をしておくべきだろう。特にセルカとの一連の経験は、中々に刺激的な出来事だったし、得られた成果も大きい。


(セルカの存在は、今後色々な面で大きくなりそうだ。)


 セルカは神官だったため、物づくりなどの知識は期待薄だが、この世界の情報を知っている人材(?)を確保できたのは大きい。しかも、知識だけでなく、労働力としても期待できる。


 ゴーレムは見た目からは想像できなかったが、細かい作業もで、道具さえあれば掃除や畑仕事などの日常作業もできる。祭壇部屋が他の部屋より綺麗だったのも、セルカが、ゴーレムのエネルギーが切れるまで掃除をしていたからのようだった。


 セルカの持つ情報の鮮度に難はあるが、参考になるだろうし、作業もお願いできそうだ。これから色々と協力してもらおう。


(俺の体の成長速度は、他より異常に早いということか。)


 新たに得られた情報について、思いつく順序で考える。まずこの体だが、どう見ても6,7歳の大きさだったが、実年齢はもうすぐ3歳になるくらいだ。鏡などがないため、これまで気づかなかっただけで成長していたのだろう。


 焼き魚などを食べ始めたころから、成長痛がひどかったこともあり、納得感がある。成長の原因は、おそらくマナが取り込めることだろう。理屈は分からないが、植物の成長速度と同じくらいなのかもしれない。


 そもそも、なぜマナが取り込めるかは、全くわからない。原因はセルカが言っていた、俺の体内にある聖痕で、『しるし』の代わりになり、マナを取り込めている場所にもなっている。


 生まれる前からあったようなので、知っているのは女神だけだろう。女神の復活を待つしか知るすべはないのかもしれないが、聖痕が再現できるのであれば・・・


(ゴーレムが自作できれば、夢が広がるが・・・)


 ゴーレムについても色々気になる。あまり長い時間ではなかったが、ゴーレムと接続しているとき、動かす意識と実際の動きに非常に短いラグがあり、まるでロボットを操縦しているような感覚だった。正直かなりワクワクしたし、あのような状況でなければ、楽しめたと思う。


 可能であれば、別の自由になるゴーレムを入手したい。作れるようになればと思うが、現実的にはいくつも高い壁があり難しい。素材もわからなければ、なぜ操作できるかもわからない。しかも、長年メンテナンスなしで、普通に動いていることも非常識だし、モーター音やギアの音もしなかった。オーパーツの塊だ。


 ゴーレムは、マナ活用としても貴重な実例。どれか一部の技術でも再現できれば、この世界で有利に立てるだろう。将来的に研究機関などを立ち上げるべきかもしれない。


(球体の機能は分かったが、再現の見込みはなさそうだ。)


 祭壇に置かれた球体は、祈りに反応してマナを吸収し、エネルギーに変換してイデアに注ぎ込まれるそうだ。これも、何一つわからないが、マナをエネルギーに変換する技術が再現できれば、エネルギー革命が起こせる可能性が出てくる。


 これも難易度が非常に高く、現時点なにもできることはないが、研究したいところだ。研究のために分解したいところだが、壊れればゴーレムが動かなくなるリスクを考えれば、流石に難しい。


 ただ、祈りがイデアにエネルギーを与えることがわかったので、祈り続ければイーリスが復活するかもしれない。祈りを日課としつつ、集落の人を増やしてどんどん注ぎ込んでいこう。


(イデアについては、腹落ちすることが多い。)


 イデアについては、概念的になんとなく理解することはできたが、実物を見られるわけではないので、にわかには信じられない。それでも、いくつか腑に落ちることがある。


 神々に「選ばれた」人間が、イデアに取り込まれるということだったが、前世の記憶が鮮明に思い出せることや、記憶力が異様によくなっているのを不思議に思っていた謎が解けた気分だ。取り込まれた人間の大きさは砂粒以下とのことだが、ひたすら情報を集め蓄積すれば、もしかしたら、イデアに影響を与えられる可能性があるかもしれない。


 セルカの話を聞く限り、記憶だけでなく、思考する機能がイデアに取り込まれていると考えるべきで、そうなると自主的に死ねない状態なのだろう。深く考えると、恐ろしい話だ。セルカのように『しるし』に接続された状態であれば、生身の体が失われても魂は残るのだろう。接続できないと消える可能性はあるが、外に接続できなかったまま残り続けることも考えられる。何もできないで意識だけ残るとか、考えるだけでもぞっとする。


(俺の前に転生した2人も、イデアに存在しているということだろうか。)


 俺とセルカ以外の選ばれた人間や、俺の前に女神が呼んだと言っていた2人は、どこに存在しているのだろうか。特に、女神が呼んだ前の2人の状態は気になる・・・


 なにかしらの事情で生身の体を失っていたら『しるし』を用意して、接続してもらえることができれば、協力をお願いすることもできるかもしれない。ただ、現状『しるし』では、視覚と聴覚しかなく、いつ崩れるかわからないので、話にならない。


 『しるし』の再現については、重要な技術として継続して検討していこう。


(マナは人の意識に反応するのか・・・)


 マナについても、気になることを言っていた。球体に吸い込まれたマナは意識に反応すると。意識に反応するため、ゴーレムの操作にタイムラグがあったと考えるとしっくりくる。


 俺の怪力なども同様だ。俺は、球体に吸い込まれたマナと、同じような特徴を持つエネルギーを、体内で変換している可能性がある。意識に反応する時点で、単なるエネルギーとは言えないだろう。意識が理解できるエネルギー体のようなものなのかもしれない。


 マナの活用については、今のところ怪力などの身体強化や、岩を削ることしかできていない。意識に反応するのであれば、応用の幅は思ったより大きいのかもしれない。時間をとって研究するするべきだろう。


(マナ活用の可能性について、研究方針だけでも決めておくか。)


 俺の体内でマナから生成できる、エネルギーまたは、エネルギー体の使いかについて、前世のエネルギーの活用方法が、なにかヒントにならないだろうか。


(例えば化石燃料。)


 前世のエネルギーとして有名なものは、石炭や石油などの化石燃料。例えば石油は燃えやすさ、熱の得やすさの特性が燃料として利用される。エネルギーの取り出し方は、様々に見えて、実はほぼ一通りだ。


 蒸気機関を使う場合、石油などを燃やした熱で、水を気化させたときの膨張圧力。エンジンは、石油から生成されたガソリンを爆発させたときの熱による空気の膨張圧力。どちらも膨張圧力をピストンの往復運動のエネルギーに変換して動力源としている。


 発電機であれば、膨張圧力で蒸気の流れを作り、その流れをタービンで、回転運動のエネルギーに変えて発電する。仕組みは違うが理屈はすべて同じだ。化石燃料は基本熱を取り出し、熱を加えることで膨張する特性を持つ素材(水や空気)を介して、動力を生み出している。ちなみに原子力発電も理屈は同じで、核分裂で発生する熱を使うだけだ。


(例えば電気の活用。)


 現代で革命を起こした電気は、多様な用途に使えるという面で非常に優秀だ。電気自体は電子の流れで、その流れをエネルギーとして利用している。


 多様な用途に使えるのは、電子の流れに対して、様々な特性をもつ素材や、仕組みが開発できたことが理由だ。例えば、ヒータなどに使われるニクロム線は、電子が流れると発熱する特性がある。電子レンジにつかうマグネトロンは、マイクロ波を発生する。電球やLEDは光、スピーカーは音、多様な機能を持つスマホなどは、色々な素材と仕組みの組み合わせでだ。


 それらの多様な特性は、電子の流れに多様な反応をする素材が開発されたことに起因する。


(マナやマナの流れに反応する素材集めが必要ということか。)


 結局のところ、マナを変換して得られるエネルギーに反応する素材を見つけることが、マナ活用の一歩になりそうだ。エネルギーが流れやすい素材なども欲しいので、少しずつでも探していきたい。


 思いつくまま、新たな情報を精査して仮説などを立ててみたが、ほとんど仮説が増えた程度。いくつか目標というか、夢のようなものが出てきたことが成果だろう。


 ゴーレムの入手、「選ばれた」人間の存在と協力の可能性、マナのさらなる研究などは、まだ妄想レベルだが何かしらの形で実現していきたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ