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第38話 久しぶりの声と違和感

「・・・ですよ」


(どこからか声が聞こえてくる。人の声を聞くのは久しぶりだ。)


 男の子の声が聞こえてくる。


(どこかで聞いたことがあるような。)


 意識がはっきりしない。違和感があるが、徐々に視界が開けてくる。見えてきた視界の目の前に男の子がいる。6,7歳だろうか、将来有望そうな男の子だ。


「朝ですよ」


 繰り返して言っているのか、意識が戻った時のことと同じ言葉が聞こえた。返事をしようとするが、うまく声が出せない。体を動かそうとするが、動くことさえままならない。微妙に手が動いたような感覚があるが、動いた様な感触が希薄だ。かろうじて目と耳は普通に使えるようだ。


「あっ、意識が戻ったようですね。私はセルカと言います。」


(女性の名前のようだが。愛称とかだろうか。)


 相変わらず、声がうまく出せないし、うまく動けない。


「あっ、今、声はだせませんよ。体もうまく動かないと思います。」


(・・・どういうことだ。そういう薬でも飲まされたということか。)


 体が動かせないが、可能な限り見渡す。どうやら今いる場所は、ゴーレムを調べていた場所と、ほぼ変わらないようだ。視界には部屋の入り口が見えている。俺の後ろには、女神像や滝、それとあのゴーレムがあるだろう。直前まで調べていたゴーレムは、真後ろくらいの場所にあるはずだ。


「声、聞こえてますよね?」

「どういう状態かわからないと思いますけど、今あなたはゴーレムですよ。」


・・・


(・・・は?俺がゴーレム?)


「私とあなたは入れ替わった状態ですよ。」


(・・・入れ替わってる!??)


 何を言っているのかわからない。彼が言っていることをそのまま受け取るなら、今、俺はゴーレムの中にいるということか?!そして、ゴーレムの中身が俺の体に入っている?


(理解はできないが、先ほどからの違和感の理由が分かった気がする。)


 とすると、目の前の男の子が自分ということだろうか。そういわれれば、確かに声は似ている気がする。しゃべり方や声の高さが違ううえ、ボッチだったので、あまり声を出してこなかったので、にわかには信じられない。


 しかも、もうすぐ3歳児にしては大きすぎる。どう見ても6,7歳のように見える。まさか、気を失ってから3年も経ったということはないと・・・思いたい・・・ 入れ替わった影響で急激に大きくなったのか、それとも他の影響か。理解が追い付かないが、相手が突拍子もない嘘をつく理由も思いつかない。


「動きにくいと思いますが、少しずつ慣れてきますよ。動くためのエネルギーも補充しておきましたし。ゆっくりで構わないので、私の話が聞こえているなら手を動かして欲しいです。」


 確かに、なんとなく動かし方が分かってきている。素早くは動けないが、少しずつ体の動かし方がわかってきた。声が出せないのは、単にその機能がないからなのだろう。言われた通り、手を動かして見る。


(俺の考えに連動して動く仕組みのようだ。)


 手を前に垂直に出してみると、視野の上の方に手が見える。どうやら宝石の部分から周りが見えるらしい。ロボットに載っているような感覚でちょっとワクワクしたが、状況は洒落にならない。


 セルカと名乗った男の子の方に体を向けて止める。


(考えてから動くまでに若干のタイムラグがあるが、どこかで慣れたような感覚だ。)


「声は出せないですよ。このままですと話ができないので、今から近づきますね。攻撃しないでくださいね。本当はこんな強硬手段を取るつもりはなかったのですが、あなたが逃げるのでしかたなくです。」


 男の子が右手を前に出しながら近づいてくる。


(大人しく、待つしかないか。)


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