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第37話 ゴーレムとの対面

 祭壇部屋にあった、ゴーレムが突然動き出した。祭壇から振り返ったら動いていたという、不意打ちを受けたような状況。その場に留まるのを避け、全力で逃げることを選択した。全力走ったお陰か、無事にゴーレムから逃げ切ることができた。とりあえずゴーレムが追ってくる様子はないようだ。


「あの部屋はろくなことがない。」


 気持ちを落ち着けるため、独り言をつぶやく。正直なところ、動き出したゴーレムからは悪意は感じなかった。むしろ、こちらに気遣うような、無機物とは思えない動きをしていたように思う。


(さて、どうするかな。)


 このままこれまで苦労して準備を進めてきたこの集落を諦めることはあり得ない。あの動きを見る限り、不安ではあるがいきなり排除、あるいは、この集落からの脱出などの判断をするには早いだろう。


(一度向き合ってみるか。)


 不意打ちだったため全力で逃げたが、態勢さえ整えれば、直接向き合っても、そう簡単に最悪の事態になることはない。向き合う準備を整えて、ゴーレムの追加調査をすることにする。


 悪意は感じなかったが、最悪、ゴーレムとの戦闘も視野に入れた準備をするべきだろう。戦闘用の武器は寝泊まりしている部屋、つまり教会の中にある。しかし、今は教会の外だ。


(無いよりましか。)


 すぐ武器になりそうなものは・・・石材として置いてある岩のブロックくらい。階段を掘り出したときに、できたものを積み上げてある。その岩のブロックを、投擲用に手ごろなサイズになるように4つに分け、俺が投げられる大きさにする。


 1つ10kg以上の重さになる計算だが、今の能力であれば十分投擲用として使える。この質量のものを思いっきりぶつければ、ゴーレムでもよろけるだろう。とりあえずそのブロックを両手に持つ。


(まず、寝泊まりしている部屋だな。)


 ゴーレムと向き合う覚悟を決めて、教会の入り口に慎重に近づいていく。気配は感じない。元々息もしないし、動作時に音がしなかったので、気配は感じられないかもしれないので、慎重に行くのは変わらない。


 入り口の前で、角度をかえて何度も奥をのぞいてみる。どうやら、入り口の近くにはいないようだ。音を立てないように慎重に、建物の中に踏み込んでいく。ゴーレムが、どのようにこちらを知覚しているかはわからないが、音はたてない方が良いだろう。


 入ったところは大部屋になっている。見回したが、大部屋にはゴーレムはいないようだ。いつも見慣れた場所なのだが、入って動くのにも緊張感が漂う。もしかしたら、ゴーレムは祭壇部屋から出られない制約があることも考えられるが、油断はできない。


 まずは、武器を確保するために、寝泊まりしている部屋を目指す。ここはゴーレムが使っていたはず施設なので、知能があるな地の利を活かしてくる可能性がある。もしかしたら隠し通路などがあり、裏を取られる可能性もある。


 距離はあまりないが、特殊部隊のように周りを気にしながら進んだ。特に何もおこることはなく部屋に入ることができた。


(ふー。装備を整えよう。)


 部屋に置いてある武器とロープを持っていくことにする。ロープをまとめて輪にし、肩とわきの下で支えて持つ。持ってきた2つブロックのうち、1つをここに置き、代わりにハンマーを持っていく。


 右手にハンマー、左手にブロックという、なんだかちぐはぐな装備。攻撃速度より破壊力、ゴーレムの動きに影響を与えられそうなものを選択した。


 大部屋にもどり、滝のある部屋に向かう。通路の壁を背にして、定期的に後ろも確認しながら進んでいく。


(少しずつ、慎重に。)


 かなり慎重に進んだが、結局何も起こらないまま、滝のある部屋の入口までついた。中を覗き込むと最後にゴーレムを見た場所にいる。


 ゴーレムは、少なくともここ1年間は動かなかった。動くためには当然エネルギーに相当するものが必要で、何かの影響で増えたエネルギーが、再び尽きて止まっている可能性もある。


 ゴーレムは、こちらを向いているが、姿勢は両手を上にあげて、降参の姿勢。逃げる直前に見たときの姿勢のままだ。目があった気がするがゴーレムは動かず、姿勢も変えない。


 大きめの声を出してみる。


「おい、聞こえるか!」


 声が聞こえるか、微妙なところだが、遠くから意思の確認を試みる。何度か声を出してみるが、返事も動きもない。


 完全に無反応なので、持ってきたブロックを、ゴーレムの足元に投げ込んでみたが、やはり反応はない。しばらく待ってみても、なんの反応も変化もない。


(埒が明かないな。)


 このまま放置するわけにもいかないので、少しずつ近づいて見る。以前は、座った格好だったが、今は起き上がっており、両手をうえに挙げた姿勢で止まっている。姿勢が変わったことで、これまで見えなかった部分も、見えるようになっている。


 一定の距離を保ったまま、ゴーレムの周りを一周する形で観察する。


(やはり大きいな。なぜ動くのかも想像もできない。)


 これまで気が付かなかったが、人間のヘソの少し下あたりに、真っ赤な宝石のようなものが付いている。結構な大きさだ。宝石ではなくガラスのような材質なのかもしれない。


 槍を持ってきて、ゴーレムを突いてみたがまったく反応がない。慎重に時間をかけて、一定の距離を保ちながら反応を見ている。1時間以上距離をとりながら調べてみたが、一切動く気配がなかった。


(うーん。大丈夫か・・・)


 少し警戒を解き、手が触れられる距離まで近づいて調べた。それでも一切動きはない。調べながら、動いた理由についても考察する。今日の探索の何かが理由だろう。


・・・


 思い当たるのは、やはり祭壇前で祈りをささげた時に感じた違和感。微かな感触ではあったが、マナ感知で球体がマナを吸い込んだように感じた。それぐらいしか思い当たるものがなく、吸い込まれたマナがゴーレムに伝わり動力となったという考えがしっくりくる。


 これまで長い間動かなかったものが、急に動く理由はそれぐらいしか思い当たらない。だが、人の祈りに反応するようなことがありうるのだろうか。


(今考えても意味はないか。)


 考えても意味がなさそうなので、その点については保留し、エネルギー切れと思われるゴーレムを詳しく調べて見る。近づいてゴーレムを一通り調べてみたが、エネルギーを注ぐような口もない。関節は滑らかで、切れ目が見えない。


 理解ができないところは多々あるが、明らかに怪しいのは、やはりへそのあたりにある真っ赤な宝石。調べるのを後回しにしていたが、これ以上調べるところもない。覚悟を決めて、槍でつついたが何も変化はなかった。


(うーん。どうしても真っ赤な宝石が気になるな。)

 

 その宝石に、少しずつ手を伸ばす。慎重に、ゆっくりと手を伸ばし、宝石に触れた瞬間・・・意識を失った。


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