第21話 マナの検証
マナに関する仮説について、いくつか追加で検討や情報収集を進めた。これまで得られた情報を整理しながら検証を行い、マナに関する研究を進めることにする。
(得られた情報はというと・・・)
植物(竹)はマナを取り込めるが、動物は基本取り込めない。動物でマナを取り込める俺は、例外なのだろう。
周辺に漂うマナは、物体を透過するなど物理的な影響は受けないし、俺も含めた動植物にも影響を与えない。
ただし、俺や植物はそのマナを取り込む仕組みを持っており、体内に取り込まれたマナだけが、成長速度に影響を与えるし、俺の場合は身体能力向上などの影響を与える。また、取り込んだマナは、時間が経過すると減る。
長時間検討や情報収集を行ったわりに、得られている情報は少ないが、基礎研究としては成果があがった方かもしれない。
マナについて教えてくれる本や、師匠みたいな人に出会い、地味な検証から抜け出したいのだが、少なくとも今の場所では、新たな崩落が起こるより可能性が少ない。
(さてと、概ね仮説の整理と追加調査はできたが・・・)
仮説の整理はできたが、時間をかけて検証するには、数が多い。そもそもその仮説を検証できないものや、検証したところで役に立つとは思えないものもある。
最優先で検証すべきものは、この閉じ込められた状況を打破する可能性があるものだろう。そうなると、マナの特性のような話より、自分自身に関するの仮説検証を進め、理解を深めていく方が、得策のように感じる。
(まずは、マナの消費と、自分の特性の関連を調べるか。)
マナを体全体に満たし、体感3時間程度で減ることは実感できた。ただし、自然に発散したのか、体内で使ったのかは判明していない。そこで、身体能力強化を行うことで、マナの動きや消費が変わるか、追加検証をする。
検証方法は単純。2歳児には到底持てない岩を、持ち上げて下ろす動作を繰り返して、マナの動きや消費量を観察するだけ。手ごろな岩を見つけ、何度も動作を繰り返していく。
「ふん、ふん、ふん、・・・・・よいしょー」
30分程度続けて一息つく。それだけで、マナが減った実感が確かにあったし、動かなかった時より、多くの量が短時間減ったのがわかった。取り込まれたマナは、身体能力強化で消費されると考えてよさそうだ。
検証のために岩を何度も動かして見たが、途中から妙な違和感に気づいた。ほんの少しだが、持ち上げるときも下ろすときも、若干のタイムラグがあった。まるで誰かに手伝ってもらっているような感じだ。
(不思議な感覚だ。何に反応している?)
その違和感の理由を探るために、体内でのマナの動きを細かく検証する。小さめの石を右手だけ使って持ち上げ、マナの動きや変化を観察してみる。小さめとはいっても、普通の子供では到底持てない大きさだ。
「ほい、ほいっと」
何度も繰り返してみると、やはり力が作用するのに、若干のタイムラグがある。マナが動くトリガーは何なのかと、新たな疑問が湧いてくる。血液や筋肉の動きか、石の動きか、はたまた、俺の意思なのか。
(まさかな・・・)
血液や筋肉の動きがトリガーなのであれば、発生するタイムラグは、一定になりそうなものだが、ムラがある。そうなると、もう1つの可能性も検証してみた方が良いだろう。
マナの動きを意識して、何度も石を持ち上げ、頭の中でイメージを定着させる。石を置いて手も動かさず、定着させた石を持ち上げるイメージを、頭の中で再現してみる。
「・・・!」
(イメージだけでマナが動いた!)
右手は動かさなかったのに、確かに右手のマナが動くことを感じた。どうやら取り込んだマナは、イメージで動かせるようだ。面白いので、何度もイメージでマナを動かす練習を繰り返す。
繰り返していくと、段々コツがわかってくる。
コツがわかってくると、マナが動くトリガーにも確証が持てるようになってきた。どうやら体内のマナは、血液や筋肉、声などの物理的なものに反応するのではなく、俺の意思に反応しているようだ。
(こいつは使えるかもしれない。)
頭に浮かべる具体的なイメージに反応して、イメージの中でやりたいことを支援するような動きをしている。結構長い時間練習をすることで、ある程度自由にマナを動かすことができるようになった。
タイムラグも少しイメージを先行させることで、修正できることも分かってきた。この能力は、2つ目の技能と言っても良いので、マナ操作と呼ぶことにする。これも今の状態をLv1と定義しておこう。
大分時間がかかったが、マナ感知とマナ操作の技能を身に着けることができた。まだまだ練習で能力向上が図れそうだが、今後は実地で能力を磨いていこう。
「ふー、ひと段落だな。」
ここからの脱出に使えそうで、今すぐ検証できそうなことは、ひとまず片付いた。今後も必要により検証を行うが、マナ操作が身についたので、今後は、この能力の活用方法を探っていこう。
検証に夢中になり、大分時間経過しており、日が傾いて来ている。そろそろ寝床に移って休もうと思うが、その前にどうしてもやっておきたいことがある。
(出来てもおかしくないはずだ。)
マナを丹田から取り込み、マナ操作で体内に巡らせることができた。身体強化としても使えるようになってきた。
マナを巡らせることができたので、どこかに集めることも当然できる。集め方などもアニメで散々見ており、イメージも完璧だ。
(できるはずだ。)
目をつぶり、今日一の集中を行う。身に着けたマナ操作をフル活用し、手のひらの付け根あたりにマナを集めていく。
かなり気合を入れ、強くイメージすることで、マナが膨れ上がる。手の付け根同士をつけ、両手を前に出した後、右腰あたりにゆっくり引く、そして、気合とともに両手を突き出す!
「・・・」
残念ながらカ〇ハメ波は出なかった。出ればここからの脱出も容易だったろうに。そろそろ、本気でチート能力が欲しい・・・




