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第13話 食糧確保のために

(ん・・・眩しい)


 目が覚めると、朝日が差し込んでいた。昨日、急ごしらえながら、精一杯豪華にしたフカフカの寝床が良かったのか、ぐっすり眠れた。単に図太いだけなのかもしれないが。


 朝日を感じながら目覚めることができたのが良かったのか、頭がすっきりしている。


 意識がはっきりとするにつれ、現状を再認識する。駄女神呼ばわりで、罰が当たったわけではないと思うが、酷い状況だ。


 今いる場所は、崩落でできた壁と水に遮られ、閉じ込められ孤立している。昨日確認した限り、周りの壁は硬く、工具などがなければ穴を開けることは難しそうだし、天井にの穴には、どうやっても届きそうにない。さらなる崩落で、抜け穴でもできない限り、脱出の見込みがなさそうだ。


 今の状況を改善するような、何か違う切り口が無いかと、しばらく考えを巡らせてみたが、良い案は浮かばない。思考がループし始め、少しぼんやりし始める。このままでは状況が良い方向に変わるわけもない。まずは、手を動かすべきだ。


(まずは、生き延びること優先だな。)


 脱出方法が浮かばないのであれば、生き延びる方法を考えた方が建設的だろう。


 生き延びるていれば、都合よく、天井から助けが来るかもしれない。もしかしたら、また崩落が起きて、穴が開くかもしれない。いまだ沈黙を続けている女神が復活して、何か手を打ってくれるかもしれない。そんな都合の良い望みに賭け、生き延びる努力をする。


「この状況で、20日以上生き延びられたら凄いな。」


 とりあえず、短期的な数値的な目標を設定して、動き出すことが大事だろう。自分を勇気づけるためにも、声を出す。


 大人が、水だけで生き残れる日数が10日程度。多少の保存食はあるが、その倍達成できれば大したものだ。


 早速、経過日数を数えるために、俺が入ってきた木箱にナイフで傷をつける。無人島などで遭難した、物語の主人公たちが良くやっている奴だ。今日が1日目と。


 とりあえず生き延びる目標日数を20日としたが、今保有している食糧を前提とした日数だ。ここで食糧になりそうなものが見つかれば、さらに上も目指せる。


 閉じ込められてはいるのだが、移動できる範囲はそれなりに広い。昨日は見つけられなかったが、何か見落としがあるかもしれない。


 時間をかけて、見落としたかもしれない何かを探すために、細かく探索することにする。簡単に探索用の準備として、ナイフと何か見つけた時に備えて、風呂敷替わりの布を持参する。


・・・


 昨日は、水の流れに沿って移動しながら、周りを目視で調べる程度だった。今日は、目視だけでなく、直接近づいて細かく調べて見ることにする。


 広い空洞とはいえ、たかが知れている。迷子になることはないと思うが、昨晩の寝床をベースキャンプにし、少しずつ探索範囲を広げていく。


(結構、足元が悪いな。)


 機能歩いた水の流れの側は、比較的安定している場所が多かったが、そこから外れると、ところどころに足場が悪いところがある。足を取られないように気を付けながら、慎重に進んでいく。


(ここで大怪我をたら、完全に詰みだな。慎重に行動しよう。)


 伝説的な相撲の横綱、貴〇花横綱は、現役時代から怪我をしないように、普段から慎重に行動することを心がけていた。例えば、急な動きは怪我につながると考え、日常の動作からゆっくり動くことを徹底していたという。


 徹底しすぎて、蚊を潰す動作もゆっくりで、家族にドン引きされたそうだ。そこまでとは言わないが、怪我には十分気を付け、慎重に行動することにする。


 俺は、歩ける場所であれば、隅々まで移動し、周辺の地面や影になって見えにくいところを念入りに調べていった。岩の隙間や、大きめの石を裏返しにして、調べ上げていく。


(サワガニでもいればなぁ。)


 時間経過とともに、調べた範囲が広がっていくが、まるで生き物の気配がしない。この際、カニなどと贅沢は言わないので、見つかるのであれば、ネズミや蛇などでもありがたい。


 水があり、ある程度光もあるので、環境的には、生物がいても良さそうなのだが、糞や食べかすなどさえ見つからない。


(洞窟といえば・・・)


 あまりにも食材になりそうなものが、なにも見つからないため、前世のテレビ番組で見た、洞窟のことを思いだした。その洞窟は、今と同じような環境で、ゲジゲジの大量発生したことで、特集されていた。


 洞窟のビジュアルは最悪で、思わず声が出そうになったのを思い出す。あまり考えたくないが、ゲジゲジを焼くと、栗の味がするという噂を聞いたこともある。


(もう贅沢はいわない。ゲジゲジでも・・・)


 かなり時間をかけて隅々まで探索を行ったが、結果は思わしくない。生き物は見つからず、その巣のような場所さえ見つからなかった。植物やキノコなども、残念ながら見当たらなかった。


 結局、水没していない地面からは、食材として扱えるようなものは一切見つからなかった。まあ、キノコが見つかったとしても、怖くて食べられなかったかもしれないのだが。


(まあ、一応、別の目的は果たせたから、無駄ではない。)


 落ち込まないように、そう自分に言い聞かせる。探索の目的は、食材探しだったが、見込みが薄いと感じ、途中から、今後の生活に必要な場所の目星をつける目的も追加した。


 残念ながら、食材に関しては成果がなかったが、トイレや洗い物をする場所などに目星をつけることができた。特にトイレは、場所によっては水を汚染する可能性があるので、注意して場所を決めた。怪我だけでなく、病気にも絶対にかかれない。


(地面がだめなら、残りは水の中だ。)


 水没していない地面の探索は、成果なしだったが、まだ水中には可能性が残っている。今度はさらに気合を入れて、水の中を念入りに探索していく。


「おっ!」


 これまで注意深く見ていなかったので、気が付かなかったが、水の流れの中に魚がいる。見たことない種類だが、白い淡水魚のようだ。それを見て、カナートに住み着いていた、白い魚の話を彷彿させる。周りが薄暗いので、白でなければ気が付けなかったかもしれない。


(可食部も十分ありそうだ。)


 さっと見ただけだが、大きさも悪くない。一度魚がいることに気が付いてしまえば、ちらほらと魚がいることがわかる。捕まえることができるのであれば、貴重な食材の一つとして期待が持てそうだ。


(中々手ごわいな。)


 さっそく持ってきた布を使って、魚を掬おうとしたが、動きが相当早い。とてもではないが、布では捕まえられそうにない。一旦、魚の確保を後回しにして、水の中の調査を再開することにした。


 直接調べられる浅いところでは、水の中の岩や地面、岩の裏なども念入りに、水深が深いところは、目視で水面や水の奥深くを観察して、じっくり調べていった。


(他はないか・・・)


 結局、追加で見つかったのは、絶対食べないだろう虫や、プランクトンのみ。閉じ込められたこの閉域にあるもので、食材として期待できるのは、魚のみというのが、昨日と今日の探索結果の結論だろう。


 それでも、魚を見つけられたことは大きい一歩だ。魚を確保して、なんとか食いつなげれば、その間に作物の収穫も狙えるかもしれない。


「目指せ!出られるまで自給自足!」


 魚の確保は、明日以降の課題として、生き延びる期間の延長見込みが出てきたので、今日の残り時間を、作物の育成と竹の移植の準備に充てる。


(まずは、竹だな。)


 竹は、種ではなく、移植用の枝と根を持ってきた。乾きすぎると、移植できる可能性が低くなるので、最優先で作業を進める。


 竹の移植には、当然水が必要で、うまく根付けばやせた土地でも育つ。他の植物よりも、比較的多めに水が必要となるが、ここでは水が十分に確保できるので問題ない。成長速度が早いとはいえ、当面、食材としては、期待できないが、このまま枯らすのももったいない。


 川沿いの平地を、竹の移植の候補地とした。村から持ち出した、竹の枝と根の先の両方を、すべて使って移植を試みる。


 まず、竹の枝はナイフで斜めにカットして、水に浸しておく。枝の状態が良ければ、これだけで根が出る。早ければ2日で根が出始めるが、逆にそこで根がでなければ望みが薄い。こちらの世界の植物の成長速度を考えると、1日が目途かもしれない。


 根の先は、砂が溜まっている川沿いに、距離を少しあけながら埋めていく。水を引き込み、枯れないように工夫し、川との境目は布を使って、砂が流れないように工夫しておく。いつかタケノコを食べる想像をしながら、根を1つずつ大事に、祈りを込めながら埋めていった。


(次は、畑か。)


 次は作物の種に取り掛かる。こちらも芽が出ることを祈りながら、平地に土をかき集めた場所を作り、埋めていく。土というより、砂に近い。土地がやせているので、発芽したとしても育たないかもしれない。


 種は、腐ったりカビが生えたりしなければ、長期間保管できる。全滅を避けるため、持参した3割程度に絞って、埋めることにした。後はしばらく様子を見るしかない。なんとか、うまく育ちますように。


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