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終焉の物語  作者: NaoのR@迷走中
第一章
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第一夜-2-旅立ち-1

アイラとビショットの旅立ち

婚約の儀の話はすっ飛ばしました。。。

「世界を旅してまわる!って言ったよね?」

アイラは苛立ちながら言った。

「そのつもりだが。」

ビショットは真顔で答えた。

「で、いつまで歩き?」

アイラは眉間にしわを寄せ声を険しくしながら言った。

「もうばてたのか?」

ビショットは少し呆れ気味に答えた。

「違う!、なんで徒歩?徒歩なの---?!!!浮舟とか車とか最低でも馬車とかあるでしょ!」

キレ気味な声でアイラは言い返した。

「だってなあー、あのオッサンたち、浮舟も車も貸さん!とか言いやがるし。」

・・・・


・・・この言い合いの半日前に話は遡る。


婚約の儀が行われた三日後、アイラとビショットは辺境の首都オルソニアを後にした。

アイラがこの婚約話に最終的に乗ったのはビショットの

「世界を旅してまわる!」

という言葉からだった。出会ったばかりの頃のビショットへの恐怖感は何故か消えていたけれど、よく見ればアイラにはイマーパッとしない感じの男に見えた。

それでも「キシアン家のはねっ返り」と陰で呼ばれ、堅苦しい武家という家柄から飛び出したかったアイラにとっては渡りに船のように思えた。

ビショットはビショットでこの婚約は浮舟と騎士、そしてこの世界の今の主力兵器である重奏騎兵と呼ばれる人型ロボットを借りるカタでしかなかった。ついでにビショットは今まで流れの傭兵としていろいろな国を旅していたのに、辺境代表であるゴラウ=ハウマノンの養子とされてしまった。しかしそれらのことは重奏騎兵を借りられる、その点以外辺境育ちではないビショットにとってはどうでもいいことだった。


「大丈夫でしょうか?」

ランドルフ=キシアンは不安顔でゴラウに尋ねた。娘を持つ父親としては心配して当然のことである。

いくら相手が辺境代表の養子でなおかつ傭兵として辺境に貢献してきたとは言え。

「問題ない。」

ゴラウは確信に満ちた声で言った。


オルソニアを後にしてアイラとビショットは国境近くの町までの街道を馬車を乗り継いで来たがそこから国境まで道は手軽に使える交通手段がなかった。それもそのはずその先は山賊が出没すると噂の絶えない道であった。騎士や警備隊が巡回して警備にあたっているが、山賊が捕まったと言う話は聞こえてこない。

そのため仕方なしに国境の検問所までアイラとビショットは歩き出したのだが・・・歩いても歩いても着かない国境の検問所にアイラはしびれを切らしビショットに言った。

「財布を貸して!さっきの町で乗り物を借りるから!」

しゃあない、と思いつつビショットはくたびれた革の財布をカバンから取り出したところをアイラは強引にひっつかんで中身を開けた。

その中には・・・5326円・・・アイラは頬を痙攣させた。

(5326円・・・これでどうやって世界を旅してまわるのよ―――――!!!)

アイラの心の叫び声がこだました気がした。


「5326円・・・これで世界を旅する・・・???」

アイラは怒鳴りたくなるのをやっとのことで抑え冷静さを保とうとした。

「これまでもこれで何とかなったし、この先も何とかなる!」

とビショットは真顔で断言した。その言葉に、

「はあ、ダメ男。」

アイラは大きくため息をついたがビショットは全く気にしていないようだった。

「これっぽちじゃ宿にも泊まれないじゃない!どうするの?」

「野宿でいいだろ。」

ビショットはそっけなく言った。その言葉にアイラの中に何かが切れた。暫し沈黙の後、アイラの表情は段々と怒りの色に変わって、

「聞いた私がバカだった、て言うか『世界を旅する』なんて言葉にまんまと騙された!ここでサヨナラ!ビショットさん!」

と言い放って、くびきを返し元来た道を歩き出した。

それを見てビショットも厄介者が去ったと胸をなでおろし、アイラとは逆の国境の検問所に向かった。










読んで頂きありがとうございます。


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