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プロローグ
少女は紅蓮の炎、硝煙と絶望の入り混じる中、倒れそうになる体を僅かに残る気力を振り絞って保っていた。
僅か一体の異世界の人型ロボット兵器にこの世界は存亡の危機を迎えていた。人々が「白い巨人」と呼ぶこの人型ロボット兵器の力は圧倒的で剣や魔法など一切通用しなかった。
兵士たちが傷つき疲れ果てる中、その男は立ち上がりゆっくりではあるが力強い足取りで「白い巨人」の方に向け歩き始めた。
「ちょっと!どこに行くつもり?」少女は言った。
男は暫し足を止めたが何も言わずまた歩き出した。
「白い巨人に一人で立ち向かうつもり?剣も魔法も効かないのに!」
「何とかなるさ」男は言った。
「ちょっと!」
「待てー!」
「待てー!」
「待てー!」
・・・
少女は叫び続けたが男は立ち止まることは無かった。
「待てー!」
「待てー!」
「待てー!」
少女は叫びながら男を追いかけた。
「待てー!」
「待てー!」
「待てー!」
・・・
・・・
・・・
少女は白い光とぬくもり中でぼんやりしていた。
「夢?」