目の前が真っ白!?わざとじゃないんだ!
さて、真っ白なのは何でしょうね…
「お前の高校生活、大事にしろよ」
頭の中に祖父の言葉が響く。
「高校生活と言うのは人生で一度きりだ。そこでする様々な経験は生涯大事になる」
祖父の言葉が頭に響き続ける。
「だから、精一杯楽しめよ」
「おじいちゃん!!」
どうやら夢で昔を思い出しているようだ。
「ワシは…ワシは…」
「おじいちゃん!!」
布団の中のおじいちゃんは俺の手を握る。
「お前の高校入学式を見たかった…」
「おじいちゃん!」
「すまんな海斗…ワシは…ハワイにバカンスに行ってくるからのう!!」
「おじいちゃんひどっ!!」
そうそう…俺のおじいちゃんは確かそう言ってバカンスに行って…
うわああ!!何てひどいじいちゃんだ!!
俺は夢の中である意味泣きたくなった。
「はぁ…」
「どうしたんだいため息なんか吐いて」
教室で憂鬱な気分に浸っていると、もっと憂鬱になりそうな奴が話しかけてきた。
まあ堀井だよ。言わなくても分かるべ?
「いや…」
「そうかそうか。確かに心配だよね〜。この学校じゃ君は落ちこぼれだもんね〜」
「…」
何か落ちこぼれの方がまだマシな気がする。
だって俺は…あんな部活の部長となり、さらに新入部員も探さなきゃいけないんだ!!
さすがに堀井は除外。多分奈緒美先輩に殺される。主に俺が。
「ま、分からないことがあったら僕に訊けばいいさ。ハッハッハ」
堀井は僕に背を向けて廊下に出た。
…あいつは学校になじめるのか?
「おーい。台場君」
「ん?」
そのとき、名前も知らないクラスメートの男子が俺を呼んだ。
何の用なんだ?
「何か女子の先輩が呼んでるよ」
「げ!」
廊下にいたのはアクアさんだった。これは早く行かなければまずいことになりかねない。
「ど、どうしたんですか?!」
「新入部員、勧誘してる?」
「し、してますとも!!」
俺は焦りながらもそう答える。この人も何をしでかすか分かったもんじゃない。
「私も探してあげるわ。いくらなんでも無茶だと思うからね」
「あ、ありがとうございます!!」
ああ…実はこの人っていい人なんだなぁ…とか、思ってしまった。
「水臭いこと言わないで。下着を共有した仲でしょ?」
「…」
俺の幻想が一発で崩れたのは言うまでも無い。
「何か勧誘しにくいわね」
「今気がついたんですか?!」
数分後呟いたアクアさんの言葉に俺は驚く。
愛研究部に入りませんか?って何か宗教勧誘みたいだし!
「こうなったら色仕掛けしかないかしら?」
「え?!」
アクアさんは俺に胸の谷間を見せる。
「ダ、ダメですよ!女の子が!」
「嫉妬してるの?」
「そ、そういうわけじゃなくて…」
「安心して。色仕掛けはあなたにしか使わないわ」
「あ、それはそれでどうかと…」
「フフフ。お持ち帰りしたいくらいのかわいさね」
「ど、どうも…」
それって褒めているのか?
「あ、危ないです〜〜〜!!」
「ん?」
そんなとき、後ろから声が聞こえた。
「キャアアア!どいてくださ〜い!!」
「うおっ!」
彼女は何故かすごい勢いで滑ってこっちに向かってきた。
何だこの無理な設定は?!日和じゃないんだぞ?!
そんなことをしている間に彼女と俺の差は一気に詰まり…
ドン!!
「おわぁ!!」
「きゃぁ!」
思いっきりぶつかってしまった。
「イテテテテ…」
俺は仰向けに倒れていた。
「大丈夫…ってぇ?!」
目の前に見えるのは純白のパンツ。
「痛いです〜」
「あ、あああああああの…」
俺はテンパる。こういうとき、どんな顔をすれば良いか分からないの…。笑えば…よくねえよ!!
「ああ!!」
彼女は俺の胸元に尻餅をついている自分に気がついた。
「パ、パンツ見ちゃったですか〜?!」
「い、いや…」
「見たわね。しっかりと」
「アクアさん…」
アクアさんが少し冷たい目で俺を見る。何で?
「み、見られちゃったですか〜!もうダメです〜!」
「ご、ごめん!わ、わざとじゃないんだ!」
俺は目の前から目を逸らして謝る。
こんな謝り方じゃ許されないだろ。でも前も見られない…
「こうなったら我が家の掟に従うしかないです…」
「え?」
掟って何のことだ?
「結婚してください!!」
「え?えええええええええええええええええ!!!」
俺の絶叫は多分、天に届いた。
今まで一日二話更新だったのを一日一話を二作更新にしたのですが…実質変わらないじゃん!!