女の子の裸を凝視する女の子
アクアさんは一体どうしたのか、それを突き止めるため、俺とナギサは作戦会議を立てることにした。
その中でナギサは姿を消すことができるので、アクアさんにバレずに近づける、という案がナギサから出た。
ただ、問題点はただ一つ、彼女は俺を感じられる場所でないと、存在できないのだ。
具体的に言うと、彼女は俺の家か、俺の近くにしか行けないということだ。
つまり、アクアさんにナギサが近づくためには、俺も彼女に近づかなければならない。
かなりリスキーな行為だが、アクアさんにもし何かあったら大変である。
……い、いや、心配とかそんなんじゃなくてね、アイケンメンバーとして彼女が心配……じゃなくてね、彼女に何かあったら他のメンバーが心配するだろうし、うん。そうそう、俺は別に心配なんてしてないの。
「ご主人様?」
「あ、ああ。悪い」
俺とナギサは会議を続ける。
「だから、ご主人様も変装してくれればいいんです」
「へ?」
そんな話、初めて聞いたんですけど。
「どうせ、他の人たちはご主人様が女装しても気がつきませんよ♪ だって、ご主人様は現在、身も心も女の子なんですから♪」
「い、いや! 心は男だよ! 声も!!」
あと少しで俺は全てが女になるところだった。
もし俺の体がこのままだったら、いずれ男性と結婚し……うわあああああああああああああああああああああ!!
「それだけは嫌だぁぁぁぁぁぁ!!」
「?」
ナギサは俺が突然叫んだことに首をかしげる。
「そ、それより、俺を男に戻す方法は見つかったか?」
「い、いえ……」
ナギサは申し訳なさそうにうつむく。
俺は彼女に調べさせたのだ。ネットとかで。
「そうか……まあ今はこの件は置いておこう」
俺は一旦この話を打ち切り、また話を戻すことにした。
「はい、すいません……しかし、この変装は上手くいくと思いますよ?」
「う……」
しかし、ナギサのいうことに一理ある。
何せ、アクアさんは女装姿の俺を見て……
「い、いや! 俺は確か昔に、アクアさんに女子用の制服を着せられた気が……!!」
「じゃあ化粧とかつらを用意しないといけませんね」
「そんなものがこの部屋にあるわけ……」
「あるんです」
「な、何だって~~~~!?」
ナギサは服の中からかつらと化粧用品を取りだした。
その服はいったい何をしまっているんだ、何を。
「都合のいい設定ばかり作りやがって」
「所詮はコメディですから」
「逃げの言い訳だな」
「まあまあ。とりあえず、私のコスプレ用の制服と……」
「コスプレ!?」
まさかナギサは、俺が学校に行っている間に、そんなことを……
「はい。ご主人様のいない間に、コスプレしながら自慰行為してます。シチュエーションをいろいろ考えると、飽きませんから」
「飽きてくれよぉ!!」
「たとえば、教師と生徒。か・い・と君? ここ、固くなってるわよ? 生徒と教師。 せんせぇ……ナギサをメチャクチャにしてくださいぃ……」
「もういいから!! 頼むから!!」
「聞くだけなら無料ですよ?」
「有料であってたまるか!!」
「看護婦と患者。ここ、腫れてますよ? 私が……」
「続けるな! 続けるのは女装の話にしろ!!」
ナギサの顔が紅潮してきたので、俺は瞬時にマズイと感じ取った。
このまま、彼女を野放しにしてはいけない……いけないんだ!!
「おお!! ご主人様はとうとう女装をお認めに……」
「仕方ねえだろ……この際は……」
そして結局俺が終わって、議論は決着。
こういうパターンって多いよな……
「まずはさらしを外して下さい」
「う……」
「今は女同士ですよ? 大丈夫です。優しくしますから」
「何を!?」
ナギサは慣れた手つきで俺のさらしを外し、あっという間に全裸にされた。
「……寒い」
「冷房ガンガンですからね」
「早く服着せてよ」
「待って下さい。もう少しご主人様の体を拝み……ひでぶっ!!」
俺はナギサの頬を容赦なく叩いた。
「女が女を殴るのはいいよなぁ?」
「ひいっ!! 申し訳ありません!!」
俺がちょっと邪悪な顔をして脅したので、ナギサは言うとおりに俺に女性物の下着を着せた。
なんか変な感じ。
「これで完璧です!」
そうして俺に女子の制服まで着せた。
だが、顔はまだ男の顔だ。
「……グロい」
これではただの変態だ。
「化粧とかつらを被せますので、待ってて下さい」
ナギサはもうふざけることはせずに、俺に化粧を施す。
鏡の向こうで俺が変わっていくのが見える。
何だか変な気分……俺の顔が女になるなんて。
「ご主人様はどちらかというと、中性な顔立ちですから、化粧が楽です。体もそんなにゴツくないですし」
「……女にされたからな」
体のゴツゴツさは消えて当然である。まあそんなムキムキでも無かったのだが。
「最後に、かつらを被せて、完成です!!」
俺はこの日、女になった。
い、いや、一時的にだよ!?
「さて、出発!!」
「……」
外に出たくねぇ……