アクアたんのアレの日
更新一時再開
まるでどこかのハン○ー×ハン○ーみたいとか思わないでください……
「アイケン課外授業」
奈緒美先輩が俺の家にホワイトボードを持ってきて、そこにそんな文字を書き込んだ。
ちなみに、もう夏休みに突入しています。
それなのに、この女たちは人様の家に勝手に上がりこむ。
迷惑極まりない奴らだ。
と、心の中では強気な俺であったりする。
「それで、何でみなさんここに?」
ちなみに、声は男のままなので、かなり違和感です。
まあアクアさん以外気付いていないと思うが。
「アイケンのこれからの予定を決めるためだ」
奈緒美先輩が比較的大声で言った。
「予定って……」
一応俺は八月の中盤から実家に帰らなくちゃいけないんだけどな……
「お前の予定はナギサから聞いている。あと家のことも」
「マジですか。じゃあ俺の悲惨な家庭環境も……」
「よく分からなかったが、お前がアイケンメンバーであることには変わりはない」
「と、いうわけで弟君♪ エッチしよ?」
「しねえよ!! どういう流れでそこに行きついた!?」
「そういう運命です。旦・那・様♡」
どういう運命だか分からないが、羞恥の無い十代に水平チョップを食らわせたいと思ったことは確かであった。
ついでに言うと、秩序の無いアイケンにドロップキックを食らわせてもいい。
あまり放っておくと、聖子先輩と歩ちゃんがマジで俺を襲いかねないので、適度に相手をしてあげた。
……性的な意味じゃないぞ。
「話を進めていいですか?」
「いや、お前がおっぱじめたいんなら、先に済ましても構わんぞ?」
奈緒美先輩が俺に向かって意地悪な笑みを向ける。
「うん。弟君がおっぱいいじめたいんなら、先に済ましてもいいよ?」
「オイ!! なんか言葉が変わってるぞ!! 羞恥の無い十代に水平チョーーーーップ!!」
「痛いっ!!」
俺は軽く聖子先輩の首にチョップを食らわした。
が、俺の力がそれでも強すぎたみたいだ。
「す、すいません……」
「いいよ……私、弟君にされるなら、痛いのも気持ちいいから……」
「聖子先輩だけずるい!! 私にもチョップ食らわしてください!!」
「アンタらは一体何なんだ!?」
この2名のせいで話が全く進まないのも、いつも通りだ。
やっぱりこの学校に来たのは間違いだったか……
「ところでアクアさん。さっきから何もしゃべってないんですが、どうしたんです?」
「え? いえ……別に……」
アクアさんはずっと何かを考え込んでいるみたいだ。
「確かに。アクアたん、らしくないぞ。私に全てを捧げてみろ」
「それを言うなら話してみろでしょうが……」
俺達の軽口にも上の空。
どこか調子でも悪いのか?
「まさかアクアたん……アレの日か!?」
「アレの日?」
俺は奈緒美先輩にそんなことを尋ねる。
「お前、それをこの私に尋ねるのか!?」
「え? 奈緒美先輩じゃいけないんですか?」
「い、いやいけなくないけどな……わ、私だって人並みに恥ずかしいことが……」
「え?」
奈緒美先輩がらしくなく、そっぽを向く。
「もういい。アクアたん、痛いのなら……」
「平気よ。それは先々週のことだから……」
「そうか。だが無理をするなよ。私との子供を作るときにお前の体に何かあってはたまらんからな」
「ええ……分かったわ。気を付ける」
「これは重傷だ……」
アクアさんは奈緒美先輩の冗談にも反応しない。
まさかとは思うが、本当に体調不良なのではないのだろうか?
「えーと、私はここらへんで失礼させてもらうわ。用事を思い出したの」
「え?」
アクアさんはそう言って立ち上がると、俺の家から帰っていった。
「どうしたんでしょうね、アクアさんは……」
「ちょっと心配だよね、奈緒美ちゃん」
歩ちゃんと聖子先輩も心配しているようだ。
「いや、アクアたんはたまにこういうことがある。だから心配するな」
「いや、無いでしょ? 奈緒美ちゃん?」
「……」
聖子先輩はニッコリ笑って奈緒美先輩を見る。
「別に気を遣わなくていいから奈緒美ちゃん。私たちに心配させないように……」
「聖子、お前今日から一週間、自慰行為禁止」
「ひどいよ奈緒美ちゃん!! 私、一週間後、生きてる自信ないよ!!」
「空気読んでませんが、お茶入りましたよ」
ナギサは俺にお茶を出した。
ナギサの体のトリックが最近分かりつつあった。
どうやら、彼女は俺に関係するものには触れることができるのだ。
だから、俺の分のお茶しか入れられない。
ある意味、最強の専属メイドである。給料いらないし、食費もいらない。
「確かに読んでないな」
とは言いつつ、俺はナギサの入れてくれたお茶を飲んで心を落ち着かせる。
「あ、私はそろそろバイトの時間なので帰りますね!」
「うーい」
歩ちゃんは家を出ていった。
「私たちもそろそろ夏期講習行かないとね」
「そうだな」
そして奈緒美先輩と聖子先輩も帰っていった。
そういえば、彼女たちは今年、受験だったんだ……
「さて、俺も頑張りますか」
「アクア様のことですか?」
「うーん……まぁな」
俺はどうするべきか考えた。
「微力ながら、私もそれに参加させていただいてもよろしいでしょうか?」
「え……」
ナギサは恭しく頭を下げる。
何と言うか、彼女の真面目なところを久しぶり見た気がする。
「私、消えることができるじゃないですか」
「おお!」
そういえば、彼女は今まで姿を消して俺のことを見ていた……
ってことは! 俺が夜中に見てたピーなビデオとかも……!!!
「大丈夫です。ご主人様の性癖はほとんど理解しました」
「するなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
かくして、俺とナギサの新たな冒険が始まるのである。
マジ?
これ、終わる日は来るのだろうか?