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アイケン  作者: 霞川悠
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アイケン外伝だいばけ 台場さん家のガーゴイル

何じゃこの小説!!


ストーリーがスカスカでは無いかっ!!

『一週間、人に触れることを禁止にする』


そんな父からの命令により、俺の地獄(?)の日々が始まったのはついさっき。

従姉の南未さんは邪欲のために俺に襲いかかって来た。


『褒美は……海斗の精子』


「くっ……二重の意味で捕まってたまるか!!」


俺は急いで逃げた。触れてはいけない……すなわち、肉弾攻撃は出来ない。

だから、俺の出来ることは自然と限られる。

遠距離攻撃、または逃走。ただ、俺より強い人が台場家には最低でも二人いる。

父と……叔父さんだ。だがまぁ父さんはあんまり参加しなさそうなので、当面の問題は叔父さんだろう。


「海斗! 大人しく捕まった方がいいわよ! そうすれば気持ちのいい方法で精子を出させてあげる!」


「どちらにせよ、勘弁です!」


足は俺の方が速い!

廊下を急いで駆け抜け、1階へと降りる。

南未従姉さんのくちぶりから察するに、このことは一家全員が知っており、さらに全員が俺を狙ってくるだろう。

つまり、この場に安息の地など……ない!


「僕が助けてあげようか?」


「ほ、北斗従兄さん!!」


そんなとき、俺の真横に北斗従兄さんが現れた。

彼は俺に笑顔を向けているが、油断はできない。


「南未のだけどねっ!!」


「うおっ!!」


北斗従兄さんは俺に北斗千裂拳を繰り出してくる。

この人は台場家一の暗殺拳法の使い手なのだ。


「お前はすでに、死んでいる」


「残念でしたが、一発も当たってません」


「何ぃ!? 今のが決め台詞なのにっ!?」


ただ、技を出した後に必ず意味不明な決め台詞を言うので、相手するのは楽だったりする。


「北斗兄の無能」


「うぐっ……南未、どこかの中尉みたいなことを言わないでくれ……」


俺はこの二人から逃げることに成功した。

だが、依然として状況は不利のままだ。


「海斗」


「おわぁ!!」


俺は急いで後ろから聞こえた声に振り向きつつ、その場から飛び退いた。


「惜しい」


さみゅの手は空を切っていた。


「お前は気配を消すのが上手すぎる。ただ、詰めが甘いな」


「ヤンキーごときに負傷した海斗に説教されるなんて屈辱」


「お前は俺を虐めるの好きなのな」


さみゅは相変わらず読めない表情で俺の前に立つ。


「ところで海斗、私が宅配で送った北斗の極秘コレクション、読んだ?」


「は?」


「題名、あなたに教えてア・ゲ・ル」


「お前のせいか~~~~~~!!!」


さみゅは俺に少なからず干渉していたらしい。

まさかこんな家が日本の一般家庭じゃないよな?


「悪いがお前につきあってる暇はない」


「あら海斗、お昼ごはん出来たわよ」


「家にいるんなら電話で俺を呼ぶな母さん!!」


そんなとき、近くの電話から母さんに呼ばれた。

この人の能力は訳が分からない。


「と、いう訳だ。一時休戦にしないか?」


「そんなんだから、足元を掬われるっ!!」


「おっと」


さみゅの攻撃を全て避ける俺。

こんなことでやられてたまるかっつーの。


「まあまあ、とりあえずは昼食だな」


俺はダイニングへと向かった。


「そこっ!!」


「くっ!」


ダイニングの扉を開けた途端、南未従姉さんと北斗従兄さんが俺に襲いかかって来た。


「あんた達!!!!!!!!!!」


「「「!?」」」


しかし、母さんが俺達に怒鳴りつけ、騒動を静めた。


「食事の時間に何やってるの!? アンタたち全員に雷落とすわよ!」


「す、すいませんでした……」


「申し訳ありません」


「ごめんなさい」


この母親は本気で雷を落としかねない。

そんな母親なのだ。訳の分からない、得体のしれない能力を持っているのが俺の母さんだ。


「兄さんは私の隣です」


「あ~~~!!亜紀姉さんずるい!!」


「陸斗には悪いけど、兄さんは私の所有物だから」


「そう言いつつ、俺に触れようとするなよ、妹よ」


「そ、そんなことするわけないじゃないっ!! バカじゃないのっ!?」


亜紀は照れ隠しにそっぽを向く。

こいつにも困ったものだ。

うんうん、平和なり平和なり。

と言っている場合かどうかは甚だ疑問ではあるのだが。


「あれ? 父さんは?」


「防衛省に帰った」


父の姿が食卓に見当たらないので、疑問を口にする俺に、叔父さんがそう答えた。

言い忘れていたが、ウチの父親は自衛隊の人だ。


「忙しい人ですね」


「ほら早く食べなさい!」


「は、はい!」


そういえば忘れていたが、食後にまた例のアレが再開されるんだった。

だからあまりお腹いっぱいにならないようにしよう。


「ごちそうさまっ!」


「ごちそうさま」


「!?」


俺が食べ終わって席を立つと同時に、さみゅ席を立った。

そういえば彼女は小食なので、早く食べ終わっても不思議ではない。


「くっ……!!」


「逃がさない」


俺とさみゅは共に部屋を駆け足で出て行った。

母のこめかみに青筋が浮かんだのは、言うまでもない。




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