ラブホテルの浴槽ってさ、明かりがついてるんだぜ
頑張って更新。
なんとか生存報告します。
目の前にいる端正な顔立ちをしている少女。
彼女、綺麗だろ。これでも死んでるんだぜ。
ってそんなことはどうでもいい!
今、俺が説明を求めたいのは、彼女が何者であるのか、だ。
「君は何者なのか詳しく聞きたいんだけど…」
「ええ?! そんなに私の身体の胸と尻に興味が…」
「違ぇよ!! どうして俺の周囲の女の子は変態しかいないんだ?!」
「そういう運命だからです」
「どこから?!」
「具体的に言えばあなたのお爺さんの代からです」
「マジかよ?! 微妙にリアルだな!!」
「いえ…だって私…」
ピンポーン♪
彼女が何かを言いかけたが、それを遮るようにインターホンが鳴った。
こんなときに一体誰だよ…
「ナギサだっけ? とりあえず知り合いが来たら隠れてくれ」
「?」
「いいから!!」
俺は小声で大声を出して…意味分かんないけど、とにかくそうして彼女に叫んだ。
ピンポ~ン♪
「はいはい!!」
俺は玄関に向かった。
「どちら様で…」
「あなたの奥様です」
「歩ちゃんかよ!!」
そういえば泊まるとかどうとかって言ってたけど…まさか本気だったとは。
一旦家に帰ったのは、お泊りセットを持ってくるため…とか。
まあ悲しくもその予想は当たることになるのだが。
「開けてくださいです~!!」
「いいい?!」
今の状況でこれは非常にまずい。いや、人生の壁にぶち当たっているといって良い。
何せメイド服の女子幽霊が家にいるのだ。弁解とか面倒くさい。
「開けないと…私のことは遊びだったのね!って叫びますよ~」
「いや! ちょっと!」
歩ちゃんは無垢だ。いや、純粋じゃないけど、無垢だ。マジで言いかねない。
「分かった分かった! ちょっと待ってくれ!」
俺は仕方なく了承するが、まずは面倒ごとを片付けることにした。
「おいナギサ。知り合いだから隠れてくれないか?」
「ううう…私はメイドですよ~?」
「だから今はちょっと…頼む!!」
俺は頭を下げた。
「むぅ…仕方ありませんね…」
「早く開けてください~!!」
「い、今行くから!!」
何このカオスな状況…
俺はナギサを押入れに閉じ込め、玄関へと戻っていった。
「今開ける」
「こんばんわです~」
歩ちゃんが満面の笑みで俺を見た。
いや、黙ってればこんなに可愛いんだよ? でもね、ちょっと変態というか…かなり変態というか…分かるでしょ?
「何の用?」
「もちろん泊まりに。夫婦なんですから普通ですよ。それにむしろ今から同棲しましょう!」
「いやいやいや! 俺は結婚なんて認めてないって!!」
「大丈夫です!夜のテクニックだけは自信あります。花嫁修業のおかげで」
「どんな修行?!」
あんまり知りたくないなぁ…
興味はあるけどね。
「じゃあまずは夕飯の準備を…って出来てるじゃないですか!!しかも二人分!!」
「げえっ!!!!」
「まさか…」
ま、まずい!とうとうバレてしまったか…?
俺の部屋に女性がいることに…
「私が来ると思っていたんですね!! そうですね?! いえ、そうに決まってます!!」
「…」
この娘、結構猪突なんだね。思い込んだら一直線なんだね。
「おお! お風呂も沸かしてあります! これはあれですね! 浴槽エッチが…」
「わーわーわー!!!大きな声で叫ぶんじゃない!!」
このままだと近隣住民に俺が変態だと思われてしまう。
それに、近所迷惑だ。
「と、とりあえずご飯食べよう!」
そこで俺は首を少し捻る。
…幽霊ってご飯食べるのか?
目の前にあるテーブルの上にはご飯二食分。
「いただきま~す!!」
「ああ!!」
そんなことを考えている間に歩ちゃんがご飯に箸をつけてしまった。
そしてその箸で掴んだご飯を俺の口元に…
「あーん」
「へ?」
何か笑顔でそんなことを言ってきているのですが。
これって俗に言う彼女にされて見たいことベスト3に入るあれですか?
「あーん」ですか?
「あーん」
そして箸がさらに俺の口に近づく。
これって食べるべきなのだろうか?
い、いやいや待てよ! これがダメだったら彼女は何をするか分からない!
きっともっと恐ろしいことをしてくるに決まっている!
押入れから殺気も漏れているのだから。
…押入れ?
「あーん」
そのうちにお箸が俺の口に触れた。
し、仕方がない。俺は口を開けた。
そしてご飯は俺の口の中に。
「えへへ~」
歩ちゃんがとろけた顔をする。ものすごく幸せそうだ。
しかし、それと同時に押入れからバキッと何かが折れた音がした。
「ヒイッ!」
俺は条件反射でビクビクするが、歩ちゃんは気づいていない。
というか恍惚そうな顔で陶酔していた。
「えへへ~。じゃあ次も~」
「う!」
何かヤバイ気がするのは気のせいだろうか…
血の雨が降りそうな予感だ…
「あーん」
しかし、歩ちゃんは見事にKYであった。
ど、どうすれば…
「…もう我慢できません」
「ん?」
押入れから声が聞こえた。
「海斗様は私のものですっ!!」
「うわあああああ!!!!!」
恐れていた事態が到来。
俺と歩ちゃんの間には浮遊している一人の女子。
歩ちゃんのお箸は見事に彼女の体をすり抜けていた。
「え?」
さすがに歩ちゃんの表情が変わる。
どうなってしまうんだ…俺!!
次回の更新も頑張りたいですね…