表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第X章 番外編
69/75

外伝 CODE:002 SAGA EPISODE 01 MISSION NO.01

最新話投稿です!!遅くなってしまい申し訳ありません!!

ですが、私ことながら大学の進学が決まりこの4月から投稿できる日が多くなると思いますので是非是非楽しみにしていてください。

 This story is part of a warrior's record of having done many missions over the years.

                       ◇

 MISSION NO.01 Destruction of antisocial religious organizations

 

 時刻 01:12 場所 西ヨーロッパ 上空 ヘリコプター

 搭乗員 Ⅱ Ⅲ Ⅳ パイロット一名


 揺れる機内で、見た目の齢が小学生くらいの東洋人が3人、戦闘服(コンバットスーツ)を着用し、同じ全員髪の色は青色掛かった黒、そんな3人の内ほぼ髪型以外では判別できない2人のそっくりな少女たちは同じ味のグレープ味の安い風船ガムを噛みながら揺れに沿って身体を動かし、ぷくーと膨らませどちらかが割れたら負けと下らないが面白そうな遊びに興じていた。そしてもう1人の少年はそんな2人を背に向け、ヘリの窓から月夜に照らされた地上を見下ろし、自身の手にしたボイスレコーダーに自身の声を録音していた。


 『10月2日現地時刻で01:12、天候は快晴、気温は7度、現在は移動中のヘリの中、これより敵地に潜入し、3日間で対象の反社会的宗教団体【Möbius】の所持している政府の機密情報の奪取と、秘密裏に新開発されたという最新兵器の破壊、可能であれば回収を優先。そして、敵の首領及び幹部全員の殺害、又、任務の障害となる人間は例外なく殺害。尚、本作戦にはⅡ Ⅲ Ⅳの三人で行う、メインはオレ、サポートは残りの2人、そして敵地に潜入し———』

 「ねぇ、何でそうやってボイスカセットで録音するの~?」

 「意味不明。」 


 と、自分の行為の意味を理解できない2人揃ってないと完全とは言えない、作戦遂行の人員としてギリギリ使える双子の姉妹の言動に、Ⅱは侮蔑と怒りと呆れを混ぜこんだため息を大きく吐き、録音のスイッチを切る。


 「録音中に話しかけるな、それに意味はある、作戦前の記録は大切だからな。まず、無いとは思うが作戦内容の再確認、次に作戦完了時の反省の際今行ったことの何割が完遂できていたか自身で厳しめの採点を付けれるようにするためだ。まぁ、どこぞの阿呆共が任務内容を忘れて救出対象を射殺しかけ、依頼者の要請してきた援軍を攻撃し、さらに奪取対象の薬品を5本中4本落としておじゃんにしたことを思えば記録して確認する方が大切だしな。なぁ、お前等。」

 

 先日本当にあった出来事を的確に、正確に、明瞭に、厳格に、意地悪に指摘し、弁論の余地もはいらせるまにまに黙らせる。こいつらが2人掛かりでオレに殴り合いでも口喧嘩でも勝てないのは明白だ。

 

 「さて、どうでもいい失敗談を含んだ無駄話は終わりだ、これから上空より敵地の外れの森林地帯に侵入する、空中はテストを兼ねた試作品ののステルススーツで行くが着陸後は流石にテスト用のスーツのバッテリーが持たない為、スーツで森を移動し、作戦中に各自宗教団体の制服を入手し、各々の潜入するタイミングで宗教団体の集落に紛れる。

 「ⅢとⅣは敵地で情報収集、オレは敵地本部に潜入し主に戦闘の役割を担う。

 「万が一お前たちが戦闘になった場合はフォーメーションは任せる、だがなるべく目撃者を出さずに戦闘を始めろ。

 「もし目撃者がいたら言わなくても分かるな?要するにスニークだ。隠密に完璧に任務をこなせ、そして3日後、敵の集落に火を放ち、壊滅させる。」

 「りょーかい!!要するに最後には皆殺しね!!」

 「・・・じゃあ、情報収集しながら爆薬仕掛けておいた方がいい?」

 「いや、早いうちにバレたら警戒されて動きにくくなる、仕掛けるなら3日目の当日の早朝か2日目の深夜に設置しろ、その際はステルススーツのバッテリーもチャージで来てるだろうから、各自装備して実行しろ。」

 『了解!!』

 「じゃあ、行くぞ。パイロット、ご苦労、ゆっくりコーヒーでも飲みながら待機してろ。」

 「了解!ご武運を!!」

 

 Ⅱ Ⅲ Ⅳは全員コンバットスーツ仕様のステルススーツを纏い、パイロットのゴーサインと同時にゴーグルを掛けると空へと静かに羽ばたいた。はずだった・・・が、

 

 『イヤッッホォォォォォォォォォォォォォォオオオォオウ!!!!』

 

 通信用のインカムから鼓膜を破裂させかねないほどの阿保(Ⅲ)の大音量が空に響いた。


 「お前、任務中に不慮の事故に見せかけて殺してやろうか?」

 

 Ⅱが先行してパラシュートで着陸と同時に、数秒後同じく着陸しようとするⅢの足を空中で掴み、パラショートを斬り落とすとすかさず腕を首に回し、チョークスリーパーで意識を半分奪った状態のまま、ハンドガンのグリップで思いっきり頭を殴り、頭から血が流れている状態で無理矢理正座させて顎に本気の蹴りを加えた後、声を上げさせないように近場の木材を猿轡のように噛ませ、背中に伸びた切ったパラシュートの紐を木に括りつけられ、吊し上げられたⅢは涙を流しながらグスッグスッと泣いていた。

 

 「おぅえぇんうぁばぁぁぁぁぁいぃぃ(ごめんなさぁぁい)!!」


 涙と鼻水を流しながら猿轡越しに謝罪をしているⅢの姿を見て、Ⅱは若干内心ですっきりしていた。


 「今のはⅢが悪い・・・。」

 「ふぁっ・・・!!」


 いつもフォローしてくれる双子の妹?が今回はⅡに付いている姿をみて、今回の作戦あたしこのまま放置かなと、悟ってしまったⅢだった。


 「お前、潜入=隠密だと幾ら教えればわかる・・・これで敵にばれて守りが強化されてたらお前、武器全部外し、特攻して死ね。」

 

 括りつけた縄にナイフを投げ切って解くと、地面に着地したⅢの髪をⅡが掴み、耳もとで囁いた。

 

 「脅しじゃないからな。いくぞ」

 「は、はい————」

 

 しょぼくれたⅢの肩をⅣはポンと叩くと先行するⅡの背を負い二人は走り始めた。


                       ◇

 

 先程降り立った樹海をさらに進んだ森の中、Ⅱたちは情報にあった座標を目指し、さらに西へと進む。

 そうして2時間、息も上げずに速さで言えば時速30キロ近くの速度でずっと走りぱなしのままなので、野生動物も迂闊に手が出せないので特に何事も無く走っていると、目的地の宗教団体の集落の壁が見えてきた。


 「うわお、進撃っぽいなぁ—————」

 「ずぃー いあ だす えっせん ないん ヴぃあー ずぃんと でぁ いぇーがー」

 「黙れ、殺すぞ。」



 Ⅱの一声でかなりイライラしていることを察した2人は口を閉じた。


 Ⅱたちは壁から300m以上は慣れてはいるモノのその壁は月光に照らされなくてもわかる位真っ白で、尚且つ壮大だった。測定するにおよそ壁の高さは70~80m前後、だが、それよりもこの奇妙なほどの静けさにⅡは不信感を抱いていた。

 

 「Ⅳどうだ?」

 

 Ⅱが横を振り向くと待ってましたと言わんばかりに既にⅣが己がPCを取り出し、カタカタとキーボードを叩いている。 


 「うん、付近に結構な数の監視カメラがある。今肉眼で見える目の前の壁だけで12台、壁から200mまでは木にもビッシリついてる。ⅡもⅢもここから一歩でも前に出たら即見つかるから気をつけて。」


 言われた通りにⅡとⅢはじりっと足を一歩後ろに退けた。


 「Ⅳハックは出来そうか?」

 「全部は無理、多分管制してる側から見れば映像的に違和感の塊になる。でも私達が侵入できる直線ルート分は直ぐに出来る、1分待って。」


 器用に太腿の上でパソコンを操作しながらキーボードを叩き始めた。


 「Ⅲ、見張りはどうだ?」


 Ⅲは集中するように耳に手を翳して音を集めるようにしていた。


 「うん。壁付近からは、呼吸音、物音無し・・・つまりだっれも居ないね~。ぬくぬくと施設の中で文明の利器に頼りぱなしの警備だよ、あぁ杜撰杜撰。」

 「・・・良かった特攻死しなくて。」

 「うん、それはホントに良かった。ありがとう杜撰。」

 「なら、グラッピングワイヤーで潜入だ。Ⅳ、ハックの限界時間は?」

 「2分。合図したら始める。」

 「よし、じゃあ10秒後に開始しろ。全員用意は良いか?」

 「オッケー!!」

 「大丈夫。じゃあ、カウント・・・3、2、1、ゴー!!」

 

 3人は風の如く走り、素早く腰に装着しているグラッピングワイヤーのホックを射出すると、見事3つとも壁の真ん中に突き刺さり、地面の様に壁を蹴り上げ、ワイヤーの先端付近まで上がると、ワイヤーを外し素早く再び上に投擲に壁の頂上にワイヤーが引っかかる音がすると、ものの5秒で頂上部分に到着した。

 

 「2分も要らなかった・・・」

 「よし、見張りは居ないな。」

 「でっしょー!!私の素晴らしい耳のお蔭!!」

 「ヤマカンが当たったな。」

 「珍しい。」

 「2人の対応が塩過ぎてワロタ。」

 

 と、苦も無く不可もなく3人とも無事に壁の中に侵入で来た。だが、Ⅱは漸く違和感の正体に気がついた。

 

 「静かすぎる・・・」

 「うん、まぁ今3時過ぎだもん、皆寝てるよ。」

 「あぁ、だが一人も起きてないというのは不気味だ。」


 ⅢとⅣはキョロキョロと辺りを見渡すが集落全体を見ても電気がついている家はなく、どころか物音もしない。


 「でも、普通3時だったら皆寝てるでしょ?」

 「普通はな、だが宗教団体といえど所詮は人間の集まり、尚且つここまで大きいものなら1人や2人深夜に起きる生活を送っている者もいて不思議じゃない・・・しかも、あれだけカメラを設置してるにもかかわらず直ぐに動けるような警備体制になってない。1つの大きな集落で全員が全員そんな健康生活を送ってる時点でだいぶんイカれている。それに、外壁に監視カメラを設置してるのは、侵入者を阻む目的じゃない。」

 「え・・・じゃ、じゃあ」

 「中から誰も出さない為の監視だ。寧ろ中に入ったら自由に動くのが困難かもしれない・・・Ⅳ、この中の監視カメラを確認してくれ。」


 と横を向くとはたまた、待ってましたぜ!!旦那。と言わんばかりに無表情に彼女なりのドヤ顔を含ませながら、キーボードを叩いていた。


 「もうやってる・・・うへぁ。」


 素っ頓狂な声に思わずⅡも反応してしまった。

 

 「どうした?」

 「い、いや・・・ヤバいよこれ。この壁の中の全て施設の入り口と中に2台、街の路地の通り見渡せる様な台数。」


 とPCの画面を見ると、どの家の入り口や中にも監視カメラが設置されてある状況であり、尚且つ、壁のてっぺんから見えるこの場所全体の地上には監視カメラだらけという、もはや監獄に近い設計と配置であった。


 「ここは?見られてないの?」

 「ここはセーフゾーン、というか、流石に風が吹き晒しの壁の頂上には置けないよ。監視カメラって置きすぎると配線ごっちゃになってヒートすると一気に全部おじゃんになって大変な事になるから。あとカメラの位置的に、地上に降りればもう、直ぐにバレる。けど、逆に刺客もあるからセーフゾーンも数か所ある・・・」

 「なるほど、じゃあ移動の際は極力壁の上を使った方がいいな・・・Ⅳ、地上に於いての監視カメラに映らないそのセーフゾーンとやらは何か所あるか分かるか?」

 「今調べてる・・・うん。此処含めて4ヶ所、Ⅲマップ作製お願い。」

 「オッケー!!」

 

 とⅢは素早く3枚の紙にPCの画面に映ったマップを書き写し、セーフゾーンの場所には天使を、カメラのある場所には髑髏マークを書いた。

 

 「よし、じゃあ集落の人間に紛れていかないといけないから住民たちが出払うまでセーフゾーンで待機かな。」

 「あぁ、だが宗教服の奪取が先だ。こんなコンバットスーツで潜入しっぱなしだと潜入は無理だ。」

 「宗教服なんて何処で手に入るの?」

 「本部だ、これから外壁から本部の建物に直接侵入する。」

 

 と内壁にある大きな建物を指さす。


 「大丈夫?本部なんて一番監視とバリゲードが固いんじゃ・・・」

 「監視は入り口だけだ、バリゲードは薄いだろう。」

 「何で?本部なんだから一番固いんじゃないの?」

 「逆だ、この壁内の本部は最も甘い、何故なら本部から脱走しようと思う者は居ないはずだ、情報によると本部に居る幹部クラス・司祭のメンバーの総数は全部で5人、司祭:エドワード・J・ゲイル 幹部:クリステル・F・ゲイル ユリアン・フェルナンデス ジェイン・ボルグ 司祭エドワードと幹部のクリステルとは夫婦関係で、揃って元政府の官僚。ユリアンは軍隊の特殊部隊出の別の反政府組織のリーダーだった。ジェインは政府の元科学者で今回の目的の1つである新兵器とやらの開発主任だ。」

 「なるほど、反発者同士が同志を組んで今じゃ元同僚と敵同士と・・・」


 どこで齧ったのか別段うまくもないラップみたいなものを披露した。


 「あんましそのライム上手くないよⅢ。」

 「下らない事をするな、続けるぞ、今回オレたちはこの科学者から情報を吹き出し、データを奪い取る、可能であれば兵器もだ。」

 「らじゃ!!」

 「了解・・・」 

 「最後に1つ、目撃者は作るな。」

 「あいあいさ~!!」

 「分かってる・・・」

 「では、行動開始。」

 

 3人は人は同時に音も無く走りだし、壁内の中の一番大きな施設に到着した。

 そして以外にも簡単に宗教服は衣装室らしい場所で手に入ったが、司祭部屋、各幹部の部屋、祭壇、研究室は特にバリゲードが強く、ハッキングには時間が掛かるため、Ⅳをギリギリ遠隔操作できる位置に潜りこませ、Ⅱは施設のダクトをⅢは街に潜入し各々の作戦を進める。


 そして、奏多は真っ黒なダクトを進み、下から明かりが照らされる出口を探す。

 数メートル迷路のようなコースを移動すると、祭壇と思われる部屋の上に到着した。

 祭壇上の上には色とりどりの花、料理、そしてその中心には顔が蛸の様な石像が置かれていた。

 

 「情報通りだ、やはりクトゥルフか。」


 反政府宗教団体Möbius、主神としてハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説に出てくる旧支配者を崇拝しており、目指すは旧支配者の復活・・・という実態らしいが、実際に顔面が蛸のような二足歩行の生物、存在は居ない。あの話は作者の見た悪夢をモデルに書かれたダークファンタジーというよりは怪奇小説である。

 決して存在はしないし、存在してはならない。正に人外の究極なのだ。

 

 「確か、古代都市ルルイエに眠るクトゥルフの復活は世界の終わり、いや再支配の始まり・・・だったな。」

 

 知識欲の一環として有名な作品は大体読んではいるが、ラヴクラフトの作品はバッドエンドが多い気がする。

 もし連中がこの内容を踏まえてこの宗教団体を組織しているという事は、開発された兵器は危険である可能性がある。ここは持ち帰らず、破壊に努めるのが先決だろう。


 だが、不用意にダクトの金格子を外すのは難しい事ではないが、まだ施設の構造を理解はしていない。祭壇に罠があるとは思えないが、慎重に行うべきだろう。

 

 そう思った矢先、突如凄まじい音のサイレンが鳴り響く。

 見つかったか!と狭いダクトの中で身構えたが、どうやら騒がしいのは外だ。

 

 『規則を破りし愚か者を発見、現在裏路地を逃走中、発見次第拘束し連行せよ、見た目は女の幼子、繰り返す―――』


 Ⅱはため息を吐き、祭壇下のダクトを思いきり蹴り飛ばして破壊した。

 自身の頭の中で思い描かれていた完全なる作戦遂行プランが前提部分から全て崩され、もう呆れを通り越して原因であるⅢに対し一種の尊敬すら抱き始めていた。

 

 「結局こうなるか、あの馬鹿。」

 

 Ⅱは宗教服である白装束を身に纏い、施設内のフロアに無事?潜入できたのであった。

 

 

                       ◇

 

 一方、壁内、市街地路地裏、Ⅲは白装束を着たまま走り回っていた。

 

 「いたぞ!!追え!!逃がすな!!」

 

 だが、Ⅲは何故追われているか分からなかった、ただ時間が来たのか信徒らしき住民が一斉に活動を開始し、それに紛れ込むため人が動く輪の中に入った途端、一斉に祈りを始め、訳が分からずⅢはキョトンと一人突っ立ていたので、武装した信徒から注意されても祈ろうとはしなかったので結果、追われ警報を鳴らされながら背後からマシンガンを連射されるという意味不明な現状に立たされていた。

 

 「くっそめんどくさいなぁ!!もぉ!!いい加減追いかけながら銃撃つの止めろよ!!生きて連れて行くんだろ!?」

 「ならば、止まれ!!ぜぇ、ぜぇ、いいから止まれ!!」

 

 路地裏を走りながら、Ⅲは周りを見渡し、逃走の為の考えを頭に浮かべる。


 1:民家に逃げ込みほとぼりが冷めるのを待つ。判定:✕ この現状で素早く隠れられる場所は民家だが、どの家も監視カメラ付なので入れば即バレるし、恐らく住民に通報される。いや、殺せばいい事か・・・


 2:再び連中の輪の中にうまく溶け込む。判定:△ 恐らく顔はフードを被っていた為、ばれてはないだろうが、いきなりダッシュでそんな人混みに突入すれば直ぐにバレる可能性が高い。が奇跡的に溶け込める可能性も否めなくはない。

 

 3:敢えて捕まり、脱出して敵の本拠地での隠密活動。 判定✕ 多分、既に潜入しているⅡに遭うや否や殺される。

 

 4:逃げ続けて注意を引く 判定:◎ このまま注意をあたしに引かせれば、ⅡもⅣも動きやすくなる。ついでに武装連中も殺していけば余計な相手をあの二人にさせずに済む。

 

 Ⅲは足を止め、本部からみれば反対側に位置する壁の前に立っていた。

 

 「はぁ、はぁ、観念したか小娘!!」

 

 息を荒げながらⅢを追いかけてきた武装した信徒たちは銃口をこちらに向けている。

 だが、Ⅲはニヤリと笑い、白装束を大げさに脱ぎ捨てる。

 そして、Ⅲの姿を見失ったその刹那、戦闘にいた男の首から鮮血があふれ出し、後続に控える信者たちの血の気が引く。

 

 そして、Ⅲの持つナイフに鮮血が滴り、その血をぺろりと舐める・・・が不味かったので吐き捨て、愛用の改造45口径の二丁拳銃をホルスターから取り出す。

 

 「Uh ... ugly and bad. Shit shoots bangs from behind ... crazy! ! If you want to die so much, I'll kill you all now, be prepared.」

 

 

                       ◇


 一方、Ⅳは本拠地近くの屋根を(静かに、綺麗に)破壊し、内側から分からないレベルのカバー偽装を施し、その内側で宗教団体の極秘情報を掴むためにコンピュータにハッキングしていた。

 

 「ちっ、最深部の壁が厚いし、15分前から外はうるさいし、全然集中できない・・・」

 

 とⅣはカチャカチャキーボードを叩きながら、現在全24層あるデータバンクのセキュリティウォールの内、第21層までを約10分で攻略していた。 

 だが、22層目に差し掛かったところでイライラがたまっているせいか、普通は失敗しないミスを起こし、画面が真っ赤になった。

 

 「うざ・・・時間制限がついた、ネットも遅いし、あぁ、もう!!」

 

 普段表情の変化がほぼ皆無なⅣが若干以上のいら立ちを見せはじめていた。そして、遂に我慢の限界が来たのか、ポケットからイヤホンを取り出した。普通こんな敵地のど真ん中でイヤホンを付けて周りの状態を把握する手段を遮断することは死に直結する。が、Ⅳの思考にそんな事は思い描かれず、大音量で音楽を聞き始めた。

 

 「ピンチの時はMegalovania・・・」

 

 と耳元から軽快且つスピーディーなシンセサイザーが響くBGMが流れ始めた。

 それと同時にキーボードを叩くスピードも増していく。

 

 「22、クリア、23、クリア・・・・24、突破・・・ふぃぃ、MISSION COMPLETE。」

 

 あっという間にプロテクトを突破し、機密情報のファイルを開き中を見る。

 そして、その内容を見たⅣは唖然とし、

 

 「・・・・こいつら頭沸いてる・・・・」

 

 と呟くと、急ぎⅡに連絡を入れるため通信機を鳴らす。

 

                         ◇

 

 時は遡り、10分前———施設の祭壇の部屋に侵入したⅡは祭壇室の中を調べていた。

 

 「建物の構造を見る限り、この部屋に特に怪しいモノはない・・・・が、違和感がある。」

 

 元から持ち合わせるのも含めこれまでに数多くの作戦をこなしてきたこともありⅡの空間把握能力は凄まじいためこの一室にかなりの違和感を覚えていた。

 

 まず見るのは、部屋の中の置物の配置の確認、それから壁、床———それぞれを軽く叩き、耳を澄ませ、音を確かめる。

 

 「音的に空洞があるな地下か・・・しかも広い、恐らくこの建物よりも」

 

 ますます怪しくなってきた構造に対し、先程天井から見たときに見つけた旧支配者とやらをかたどった置物の首を掴み、持ち上げようとする。だが、台座に固定されているのか動かない。


 「なるほど、これがスイッチか。」

 

 置物を触り、首が曲がる感覚があったため置物の首をグイッと回すとドアノブのように綺麗に回りカチッと言う音がすると、床の一部が下がり階段が現れた。

 

 「Jackpot(大当たりだ)。何だ簡単な仕組みだ。」

 

 Ⅱは現れた階段を下ろうと中に入ると床がギギギッと閉まり始めた。

 

 「罠かっ!?」


 辺りが真っ暗になり、すかさずライトを照らそうとするが、床が閉まると同時に階段横の照明が点灯し、かなり見やすくなった。

 

 「・・・優しい設計だな。」

 

 ライトを仕舞うと、Ⅱは階段を駆け下りていった。

 

 すると、真っすぐだった階段が急に螺旋階段へ変わり、階段の下から凄まじい冷気が吹いてきた。


 「何だ、これは?」

 

 螺旋階段が取り巻くその中央に、それはあった。時間差で点灯するスポットライトに当てられ、その巨大なモノはただそこにあった。

 

 すると、持っていた通信機がぶるぶると震える。

 

 『こちら、Ⅳ。Ⅱ、機密情報は奪取した、あと外がすっごい煩いんだけど何があったの?』

 「Ⅲがしくじった、そんな事より一つ報告がある。」

 『・・・奇遇、あたしも。』

 「お前から言え。」

 『そこの宗教団体の中枢施設の地下に・・・』

 「崇拝者を象った巨大ロボットを作ってる。」

 『何で分かったの!?』

 「何でって・・・目の前にそのロボットとやらがあるからだ、御立派にもラブクラフトが描いた旧支配者様に似せた気持ち悪いスーパーロボットがな。」

 

 Ⅱの目の前には特殊な合金で形成されているであろう触手が着いた頭部が見えており、ライトアップされより一層不気味に成ってくる。いつからスパロボの世界になったんだ時代は?

 

 『・・・SAN値チェックする?』

 「・・・いや、結構だ。」

 『じゃあ続けるね、そいつの機体名は【Κυριαρχία(キリアルヒア)】ギリシャ語で【支配】を意味するもので、全長55m、真ゲッター1と同じか。えーと、積んでる兵器は、天地空に対応したあらゆるミサイル、目からは電磁投射砲(レールガン)を発射で来て、顔の触手は飛んでくる戦闘機とかミサイルとかのコンピューターを破壊する電磁パルスに、高電圧の鞭みたいになるみたい、あとそれから――――』

 「もう良い、結構だ。で、こいつは短時間で破壊できそうなのか?」

 『まず外部からは無理、いや、不可能・・・核シェルター+セラミック+電磁バリアーが付いている感じのものだから、破壊する最低条件はまず動いてない今みたいな状態で電磁バリア―が出てないときに内部から相当な数の爆弾をセットして爆破しないとビクともしないと思う。それよりまず鍵がないと入れない。』


 何から何まで最悪だ。隠密行動の第一条件である、敵側に日常と何の変わりも無い状態を維持させ続け目的を終えることが、ものの開始1時間と経たないうちに終了し、尚且つ目の前に存在する子供が『こんな機能あれば世界滅ぼせんだろうな~』みたいな気分で作った設計で作られたロボットが目の前にあり、そのキーは恐らく教祖であるエドワード・J・ゲイルか、開発したであろう科学者ジェイン・ボルグが持っているはずだが、恐らくこんな無茶苦茶な兵器を作る奴らだキーもただのキーではないだろう。だから、直ぐに殺してキーを奪取というわけにはいかない・・・

 

 「やることが山積みだ・・・Ⅳ、この通信を切り次第すぐにⅢとコンタクトを取れ、死亡していた場合のみ連絡を寄こせ、もし無事なら連絡はするな。」

 『あたしは、この後何をすればいい?潜入してキー取ってこようか?』

 「いや、Ⅲとコンタクトが取れ次第ハッキングでカメラを誤魔化し潜伏してほとぼりが冷めるまで待機だ。どうだ、出来るか?」

 『勿論・・・楽勝。』

 「よし、じゃあこっちからは以上だ。これからは不用意に連絡し合うのはナシだ。連絡する際はこちらからする。」

 『了解、じゃあね。』

 

 通信が切れ、Ⅱは急ぎ階段を上る。



                         ◇

 同時刻―――司祭・幹部会議室 

 

 そこに集まっていた司祭エドワード・J・ゲイル、司祭妻兼幹部クリステル・F・ゲイル、元傭兵且つ元反政府組織のリーダーであった幹部ユリアン・フェルナンデス、宗教組織の頭脳兼狂気の(マッド)科学者(サイエンティスト)ジェイン・ボルグは現在、会議室に集まっていた。

 

 「おい、大将。何があったんだ?おれぁ、気持ちよく寝てたんだぞ。」


 と、服装がだらしないが態度もだらしなく革の椅子に座っていた。

 だが、その服の下からははち切れんばかりに鍛え上げられた筋肉が見える。


 「今外がどうなってるかぐらい気がつくだろう・・・ふん、どうせ何時もの如く信者の中から選んだ女を儀式と偽って淫行にに勤しんで夢中になっていたからだろうがな。」


 その様子を鼻で笑う金髪の眼鏡を掛けた如何にも科学者な男性がPCを抱え座っていた。


 「そういうあんたも、何時もみたいに1人で寂しく機械とお喋りしてたんだろ?この壁の中で話し相手が機械と幹部と司祭だけだもんな。」


 ニヤニヤと笑いながら挑発する筋肉だるまを睨みながら、ジェインは鼻で笑った。


 「ミジンコレベルの脳しか持たない、馬鹿が。お前が猿の如く腰を振っている間に私がその機械でこの集落の為に色々としていることを忘れるなよ、お前なんぞ直ぐに消せるんだからな。」

 「あぁ!?やるか!!」

 「二人とも止めなさい、司祭の前ですよ。」

 

 と長髪の美しい顔立ちをした幹部長クリステルが二人を止め、二人は睨むのを止め司祭であるエドワードに顔を向ける。

 

 「構わないさ、2人の時間を奪ったのは私だ。それに2人には自由に行動してもらう事で協力してもらっているんだ、だから互いに互いの自由を悪くいう事はいけないよ2人とも。」


 優し気な表情を向けるこの男こそが司祭、エドワード・J・ゲイルだった。


 エドワード・J・ゲイル———両親は共に政府の官僚、幼少期より帝王学を仕込まれ、その他に学問、スポーツの殆どを天才的な才能で磨き上げ、常に学年ではトップ、遂にはオックスフォード大学法学部 首席卒業 後に政府の官僚となり、国の為、親をお手本に卒なくこなしていたが・・・政府のトップが市民から得ていた、血税・・・まさに血のにじむような税を徴収してはその7割を私利私欲に使っている事を知り政府に、国に、世界に絶望した。そして、同じく官僚の同期で妻であったクリステルと共に政府を去り、反政府組織として宗教組織Möbiusを設立、政府によって苦しめられた同じ志をもつ者が集い、今では1万人近くの信者たちを束ねるカリスマとして君臨している。正に完璧の中の完璧、正義の体現者である。


 そして、何時も朗らかな表情のエドワードは、優しく微笑んでいた。

 

 「すまないね、2人とも自分の自由なひと時を邪魔してしまって。」

 「それは、良いだけどよ、で?オレらを集めた理由は何だ?」

 「ジェイン、説明を」

 「は!現在、この壁の中に侵入者が紛れ込んでいる」

 「あ?政府の奴らか?人数は?」

 「途中で話を切るな!!最後まで聞け!!おっほん・・・・現在確認できているのは1人、しかもかなりのやり手だ、こちらの兵士がもう30人近くやられている。どうやってこの壁のバリゲードをうち破って侵入したかは分からないが・・・24時間前から遡っても私の仕掛けたカメラには何も映っていなかったし、異常はなかった。」

 「で、どんな奴だ!?屈強な軍人か?女スパイか!?」

 「どちらかと言えば後者だな、だが子供だ。」

 

 とジェインがPCのカメラ記録をユリアンに見せると、其処には笑いながら武装した信者を殺し、逃走する、Ⅲの姿があった。

 

 「ほぅ、こいつか・・・笑顔がチャーミングだな。抱きたいぜ。」

 「貴様、そういう趣味か・・・」

 「女は千差万別、おれぁ、気持ちよくなれりゃ性病に掛かってない奴だったらババァでもOKだぜ。」

 「気持ち悪い持論はさておきだ、おい、ゴリラ。こいつを捕らえられるか?」

 「あぁ?誰に言ってんだ?おれぁ世界最強の傭兵ユリアン・フェルナンデス様だぜ。」

 「では、直ちに行ってくれ、今すぐだ、これ以上味方を減らされるのはごめんだからな。」

 「てか、なんでてめぇが仕切ってんだ!!おれぁ大将の命令しか聞かねぇぞ」

 

 とエドワードの方を向くとエドワードはニッコリとしたまま口を開いた。

 

 「ここはジェインの策に乗りなさいユリアン。」

 「・・・・へーい。」

 「全く、エドワード様のいう事だけは聞くな、って、もう行きやがった。良いんですか?エドワード様、自分で提案したのは良いのですが、あのゴリラを放って。」

 「えぇ、私の予想では相手とユリアンの実力は五分五分、いやユリアンの方が強いですね。」

 「五分五分はないでしょう・・・む、むかつきますがあのゴリラの腕っぷしだけは私も認めているんですから。」

 「まぁ、彼が帰ってくるまで我々はお茶でもしていようか、アハハハハハ」


 と、待ってましたと言わんばかりにクリステルが準備していた紅茶を3人分注ぎテーブルに座りながら優雅にお茶を楽しんでいた。


                        ◇

 

 「ふぅ~!!もう、40人位は殺ったかな!!ちぇ、武器持ってても構えとかが素人だからツマンないなぁ」

 

 と、先程まで追いかけていた集団の武器を器用に分解し、弾だけ鞄に入れていた。

 これは、彼女の否、彼女たち、Ⅲ・Ⅳの共通の趣味である武器の改造の為に必要な火薬をこういう使われてない弾薬から抜き取ったり、珍しい武器を無断で頂戴したりすることが任務中の日課になっていた、云わば趣味である。

 

 「ふんふふ~ん、あんまし無駄撃ちされないように早めに殺したから予備の弾薬も多いし、今回は豊作だなぁ。」

 

 まるで玩具コーナーで新しい玩具をどんどんカートに入れていく子供の様にはしゃいでいると、弾丸を集めようと屈んだ場所に急に影が出来て、上を見上げると自分の身体より倍以上はある体格と身長の男がニヤニヤしながら立っていた。

 

 「おめぇが侵入者か?死体漁りとは感心しねぇな。カラスの真似か?」

 「ん~?誰??どっかで見た気がする・・・えーっと、えーっと————」

 

 と、作戦会議中に見たことがある顔と名前を頑張って一致させようとしている間にいきなり手に持った刀サイズのナイフを振るってきた。

 

 「ほぉ~今のを避けるたぁ、少しは楽しめ—————」

 

 と、自分の不意打ちを避けた目の前の少女の間髪入れず地面を思いっきり蹴り目の前までその小さな体躯が男の顔の位置まで上昇し、同時に放ったカウンターキックが顔面に直撃し、勢いよく近くにあった家の壁に直撃し、壁が脆いのか、男が重いせいか、壁が崩れ男が下敷きになった。

 

 「もう、うっざいなぁ。折角思い出してあげようとしてあげたのに、全くも—————」

 

 と、イライラを募らせながら、再び弾丸集めに勤しもうとすると、Ⅲの髪がはらりと落ちた、恐らく先程の攻撃で髪が切れたのか、綺麗に整えられたショートヘア―が崩れた。

 すると、瓦礫を押しのけユリアンが雄叫びと共に立ち上がった。

 

 「おー、イテテ・・・流石に顔面モロは効いたぜやるなぁ、ガキぃ!!こりゃ、久々に本気で楽しめそうだぜ!!はっはっは—————」

 「うっさい。」

 

 と、大笑いしているユリアンに向かって計3発撃った。

 だが、筋肉のせいか、Ⅲの狙撃の性能があまり良くないせいか、ユリアンは血を流しながら、笑いながら立ち上がった。


 「は、ははは・・・が、きぃ・・・やるなぁ、だが・・・今度は、コッチの—————」

 

 と、標的である少女を見ると、その視線は先程とは違い、確実に憎しみ、怒り、そういった感情が込められており、目つきは細く真っすぐこちらを捉えていた。


 「よくも・・・よくも・・・あたしの髪を!!Ⅱにお兄ちゃんに切って、整えてもらった髪を・・・」

 「良い目つきだぁ!!そら、掛かって来い!殺し合ってヤリあおうぜ!!」

 

 だが、次の瞬間————10メートルはあるはずの距離の先にいた少女は一瞬にして姿を消し、ユリアンは目を疑った。

 

 「馬鹿なぁ!?一体どこに?」

 

 と、辺りを見渡し、後ろを振り向くと彼女は居た。

 何時抜いたかは知らないがナイフを握っており、その手には血が滴っていた。

 だが、そんな事を考えることも無く手が届く範囲に入った侵入者の肩に手を伸ばそうとした。

 

 「あ?なんで、手が・・・動かねぇんだ?」

 

 手が一ミリも動かない、足も、首も、いや、首は動く、だって——————

 

 「首切ったからね。もう首落ちてるよ。」

 

 (『首を切った?』馬鹿な!?)

 

 ユリアンは自身の首を触ると、まだ首はあった。


 「ちっ、驚かせやがって。おい、ガキ嘘つくならもっと良い嘘つけ。」


 だが、少女は何も言わず、こちらを見ることも無く去っていこうとする。

 今まで何十人もの女性を抱き、人を殺したユリアンの目に映るその少女の肉体は素晴らしいモノだった


 (やはり、オレの目に間違いはなかった、肉付きの良い足に締まった身体、動けねぇようにして、傷めつけながら犯せばいい声が聞けるだろうなぁ。)

 

 「待てよ、まだ戦い始まったばかりだぞ!!逃げんな!!って、なんでまだオレの身体動かねぇんだ!!毒か?」


 と、ユリアンはⅢの圧倒的な速度と技術によって、痛みは愚か、自身が切られた事に気づかず、ただ意識だけ、目の前の少女を倒そうと、戦おうとするヤル気だけを残し、地面に転がる首は光を失いながら次第に死んでいくのだった。

 

                        ◇


 「ユリアンがやられた?」

 

 本部にいるジェインの報告にエドワードの驚きは隠せなかった。

 

 「はい・・・あのゴリ、いえ、ユリアンは敵に一撃も与えることが出来ず、その・・・手も足も出ず・・・現在敵は何事も無かったかのように部下の装備していた弾装を・・・・」


 先程の自分の予想が全く当たっておらず、エドワードはこれ以上ない屈辱を味わっていた。

 

 「報告は、もう良い・・・ジェイン。もうたくさんだ。ジェイン、クリステル、あれを起動させる付いてきなさい。」

 「エドワード・・・本気なのね?本気で世界を———」

 「あぁ、今日がその日だ。敵にあれを嗅ぎつかれると確実に破壊される。ジェイン、あれの稼働にどの位かかる?」

 「そうですね、エンジンを稼働し全装備が使用になるのは約20分くらいです。」

 「十分だ。さぁ、漸く我々の神が世界を再び支配なさる————ユリアンにその景色を見せてやれなかったのは残念だが、彼の魂は私達が引きつぐ、さぁ、行こう。」

 

 ユリアンは席を立ち上がり、その首にぶらさげたΚυριαρχίαの鍵を契り、祭壇のある部屋を目指す。

 

                       ◇

 

 「さて、どうしたモノか・・・」

 

 結局Ⅱは祭壇室に戻らず、地下のロボットのある研究室に侵入していた。

 というのも、開け方が分からず下に戻ったのが本音だ。

 

 「お蔭で手書きの設計図は見つけたが・・・なるほど、ご都合が良くコイツにはしっかりと自爆スイッチが付いているらしい。」

 

 じゃあ、こいつのこの機能を使おう!!と、恐らくこの情報を知ればⅢとⅣ(あの二人)の内1人は絶対言いそうだが・・・ここで稼働したこいつを自爆させると背中に積んだコスパ最強・環境最悪の原子力エンジンユニットをフル採用している。やれやれ時代は非核主義なのに。

 

 「となると、こいつを内部で爆破するのは危険か?いや、エンジンを破壊すれば稼働しないはずだ・・・それか、エンジンユニットのみを取り外せるか試してみるか?」

 

 と何パターンものロボットの破壊工作手段を考えていると、上方の方から祭壇が開く音が聞こえた。

 

 「ちっ、もう来たか・・・人数は3人、幹部様ご一行か・・・」

 

 ・・・というか、本来の目標の1つである情報の奪還は完了してるから、上に今いるあいつ等を直ぐに殺せば済む話なのだじゃないのかと思う人もいるだろうが、それが出来ないわけが3つある。

 

 1:PCの中には保存していないまだ持っている情報があるかもしれない為、情報を聞き出すため今は皆殺しが出来ない。

 

 2:マッドサイエンティストのジェイン・ボルグは機械工学だけでなく、細菌兵器の研究も行っている為、こちらの知らない新たな細菌兵器を持ち、尚且つ感染した際の自分用のワクチンの隠し場所を知っているのはジェインだけなので、すぐさま殺すのは危険。

 

 3:自爆は外から出もリモコン一つで可能なため、下手に刺激し発動させれば集落は愚か、自分たち3人もやられてしまう。

 

 だが、どれもこれも時間さえあればどうにかなる事だったのに、約一名の阿保()のせいで時間は愚か、任務遂行完了も危く成ってきた・・・


 幸い照明は消えているためここに誰かが入っていることはダクトの入り口が破壊されていることがばれていない限りは大丈夫な筈なのでⅡはすかさず暗闇に紛れ、3人の位置が把握できる地下の隅で身を隠した。

  

 一方、早足でロボットに近づく3人の顔には焦りがあった、だが全員が全員同じ思いではなく、エドワードは推測の誤りからくる計画の失敗、クリステルはそんな夫の焦る姿を始めて見るため不安に駆られており、ジェインはまだテストもしてない機体が自身の計算通りに稼動するか分からない為、それぞれの思考感情が入り乱れ、不安は加速していく。

 

 「ジェイン、キーを」

 

 とジェインからキーを受け取ったエドワードはロボのハッチを開け3人とも内部に入る————直前、一筋の弾丸がエドワードのキーを持つ手を撃ち抜いた。

 

 「な!?ぐっ?」

 

 キーが階段を跳ねるように落下し、階段下にいたⅡの掌に収まった。

 

 「な、何だ!?貴様は!!」

 「答える必要はない。」

 

 と、答えと同時に発砲された現在の愛用のハンドガン2発の球は、真っすぐにエドワードの脳天、心臓を目がけて発射された。

 

 エドワードは飛んでくる弾丸の軌道がゆっくりに見えた、これは自分の反射神経が凄いわけではなく、単に己の死を自覚し、車にはねられる前の犠牲者が見るという死地の手前、それと同じものだ。

 

 だが、エドワードに弾丸が当たる前に、なんと妻であるクリステルが身を挺して弾丸をその身に受けた。弾丸はエドワードの身長で言う心臓と脳天を狙った為、腹部と喉に直撃し、その場に倒れた。

 

 「クリステル!!」

 「ちっ、壁か・・・」

 

 と銃を構え直し、再発砲するが、コクピットのハッチが閉まり3人はロボットの中へと入り弾丸はその装甲に弾かれた。

 

 「あ、あ、ああ・・・」

 「クリステル!しっかりしろ!!おい、ジェイン、手当て・・・応急手当を!!」

 

 とジェインはコクピットに用意しておいた救急箱を取り出し、鎮痛剤や麻酔を投与し、撃ち込まれた弾丸を摘出しようと試みる

 

 「エドワード様、腹部の弾丸は摘出し、応急手当出来ましたが・・・喉に撃ち込まれたものを摘出すると、一気に出血が—————」

 「なら手術だ!!急いで手術を・・・・」

 「無理です、こんな狭い場所では不可能です、設備も不十分だ!!」

 「ならどうしろと!!」

 

 と口論していると、ガンガンガンと装甲を叩く音が聞こえた。

 

 「諦めてこいつの安全な破壊方法を教えろ。1分待つ、答え次第でコクピットを開けお前らを殺す。」

 「は、破壊?こ、この我々の神を?」

 

 ジェインはコクピットから飛び出しそうな勢いで、壁に向かって叫んだ。

 

 「そんな事させるものか!!この、私が、いや私達が作った神は、私を追いやったこの国を、世界を、支配し、救ってくださるのだ!!それを破壊など・・・貴様は阿呆か!!」

 「・・・お前、大丈夫か?これはお前が作ったロボットだろ。」

 「ロボットではない、神だ!!」

 「・・・じゃあ分かった、そのお前の神の破壊方法を教えろ、あと30秒も無いぞ。」

 「お前に教える位なら死を選ぶ。」

 「分かった、望み通り殺してやる。」

 「・・・言えば命は助けてくれるのか?」

 

 と答えたのはエドワードだった・・・ジェインは驚愕の表情を浮かべエドワードを睨む。

 

 「い、今何と?」

 「・・・ジェイン、私は妻を、クリステルを救いたいんだ・・・分かってくれ。」

 

 ジェインは今この男が何を言っているのかが分からなくなってきた。一体幾らの時間と費用を投じてこの神を作り上げたのか、知らないはずはない・・・それなのにたかだか女の命一つでそれを不意にするのか・・・あり得ない、あってはならない!!

 

 ―パン


 気がつくと、右手に振動が走っていた。その手には護身用の銃が握られており、その銃口は先程手当てをしたクリステルに向いており、煙が上がっていた。

 

 「ジェ、イン?お、お前・・・何をして————」

 

 エドワードの手には脳天を打ち抜かれた最愛の人の血がビッシリとついており、抱く腕の中から温かさが抜けてゆく感覚が残った。

 

 「貴様ぁァァぁァァぁ!!!!!!」

 

 血まみれの手でジェインの首を締め上げ、コクピットに叩きつける。

 

 「よくも、よくも、クリステルをぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 万力の如き力で首を締め上げる、其処には仲間という概念は既になく、ジェインを敵として捕らえていた・・・それはジェインも同じこと。

 

 再び銃声・・・そしてエドワードは倒れた。

 

 「かはっ!・・・はぁ、はぁ、はぁ、じぇ、いん・・・貴様は、貴様は・・・・・!!」

 

 心臓を打ち抜かれても尚、エドワードはジェインに手を伸ばす・・・だが、心臓の鼓動は小さくなり、次第に意識も消えてゆく。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、この!!裏切り者共め!!結局は自分の命が大事か!!そんなに恋人の命が大事か!!全く、理解しがたい!!この神がいればそんな些細な事直ぐに解決なさるのに!!」

 

 と、すかさずスペアのキーを取り出し神を、世界を支配する存在を起動させようとコクピットのある背後に振り返った刹那。

 

 「時間切れだ。」

 

 ピッタリと鼻さきに向けられた銃口は、ジェインが反応するよりも早く、彼の脳を破壊した。

 即死した、ジェインの亡骸を見下し、弾を詰め直す。

 

 「オレはあんたの方が理解できねぇよ。バーカ」

 

 と、血まみれのコクピットを眺め、ハァとため息をつくと通信が入った。

 

 『おっす!!オラⅢ、ワクワクすっぞ。』

 「鳥山明ワールドに行きたいなら勝手行って二度と帰ってくるな。」

 『冗談だよ!!って、違う違う!!Ⅱ!!!Ⅳと合流して今そっちに向かってる!!』

 「そうか、こっちは—————」

 

 とチラッと後ろを振り返り3人の遺体を見る。

 

 「いや、特に問題はない。」

 『こっちも、問題なく進んでる!!門番含め、武装した兵士全部殺したし、今はⅣと協力して管制室ぽい所の奴ら全員殺し終えたとこ!!今何処にいるの?』

 「祭壇室地下、詳しくはⅣに聞け奴ならマップを持ってるはずだ。」

 『了解!!じゃあ後でね!!』

 

 その後、Ⅲ、Ⅳと合流し、Ⅲの頭を思いっきり殴った後、Ⅱは目の前にあるスーパーロボットの処理に困っていた。

 

 「・・・それなら大丈夫。」

 

 と声を上げたのはⅣだった。

 

 聞くところに因ると、この地下施設自体、強化版核シェルターの様なモノでこの中で核爆発が起きても予想よりは軽く済むらしい。

 

 「で、範囲は?」

 「計算したら、何とビックリご都合主義、この集落の壁から壁の範囲。」

 「神様っているんだねぇ。」

 「よし、では早速爆破準備に入るぞ。Ⅳ、自爆時間は設定できるのか?」

 「うん、20分でこいつを稼働させて、セットして最大15分。つまり爆破完了まで35分」

 「よし、じゃあ早速稼働するぞ。」

 

 と、キーをコクピットに差し、捻るとコクピットのデバイスに文字が表示された。

 

 「指紋と網膜認証?おい、Ⅲ、Ⅳ」

 

 と二人に命じる前に二人は其処らへんに転がっているエドワードとジェインの人さし指を切断し、両目を抉ると、スキャンの機械にセットした。

 

 「死体って、網膜スキャン通るのかな・・・」

 「運任せだね!!」

 

 『承認完了。これよりΚυριαρχίαの起動を開始します。』

 

 無事機動し、ホッと胸をなでおろす3人、そしてⅡは立ち上がりコクピットを後にしようとする。

 それに続きⅣもパソコンを仕舞い、続けてコクピットを立ち去ろうとする。

 

 「Ⅱ?Ⅳ?何処行くの?」

 「ん?避難だ、爆発に巻き込まれたら大変だからな。」

 「え・・・じゃあ誰が自爆の設定するの?」

 

 Ⅱ、Ⅳは全く同じタイミングでⅢを指さす。

 

 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????・・・まじっすか。」

 「当然だ、今回の作戦、お前のお蔭で3日で済む任務を急倒しで12時間もかからなかった、そこで名誉ある任務の完遂スイッチをお前に押させてやろうというオレの優しさだ。」


 皮肉100%を含んだ優しさをⅡから受け取るも、流石に死ぬリスクを背負うのは嫌なのでⅣに助け船を出そうと目を向けるが—————

 

 「あたしも、Ⅲのせいでクラッキング失敗しそうになった・・・」

 「それ、あたし関係ある!?」

 「兎に角だ、ここで集落と運命を共にして死ぬか、ここで自爆スイッチを押して見事に生還してオレに半殺しにされるか。お前には選択肢がある。」

 「そんなの一択じゃん!!もぉぉぉぉぉぉ!!お兄ちゃんの命令に従うよ!!」

 

 その言葉を聞き、Ⅱは颯爽とその場を去り、その後をⅣが付いていった。

 

 「・・・非情だ、誰か私に愛情を下さい。」

 

 

 ⅡとⅣは本部を出ると、グラッピングで壁の上まで登るとそのまま森に飛び降りてコンバットスーツに付属しているフードを被ると、防護服の様なマスクが現れ、集落から5キロ離れた場所まで走った。

 

 「此処まで来れば安心・・・」

 「あと何分だ?」

 「5分・・・今頃慌てて地下から出て来て壁にグラッピングのワイヤーを飛ばしてるかも。」

 「死んだら、まぁ、仕方ないと思って帰ろう。」

 「・・・悲しいけど、それがⅢの運命。」

 

 そして5分後、天地を揺るがす大爆発が轟き、こちらまで凄まじい風が吹き抜けていく。

                      

 「あ、来た・・・」

 

 爆風と共に、走り抜いてくるⅢが見えてきたⅡはハァ、とため息を吐く。

 

 「ちっ、生きてたか。」

 「辛らつ!?普通、『良かった~』とか、『大丈夫か?』とかじゃない?」

 「Ⅲ、あたしは嬉しい。」

 「Ⅳ~うわぁ~~~ん、大好き、愛してる~~!!」

 「・・・・。」


 普通に気持ち悪いと思ったⅡは何も言わず後ろで泣き崩れるⅢとⅣ(出来損ない達)を後に先へと進む。

 

 先程の爆発で多くに人が死んだだろう・・・直接手を掛けた人間も含め、1万人ものの人間が1日で死んだ。だが、彼らの心には何も響かない。人を殺す事を何とも思わない。

 

 だから彼らは進む。次なる任務へと———————    


如何だったでしょうか・・・今回は正直構想練ってるうちに思いついたホントにサイドエピソードだったので本編が気になっている方には申し訳なく思っています。ですが、奏多をⅡのキャラで書くと結構変わるかな?と思いましたが、あんまし変わんないですね(笑)

次回からは本編に戻ります。次回は京都!!紅葉さんの実家です。私は京都には2回しかいったことありませんが、桂橋は綺麗でしたし、人が多かったです。精肉店で買った110円くらいのメンチカツが美味しかったことが印象深いです。もし、おすすめの観光地があれば感想ともども教えて下さい、今後も恐らく、いや多分、いや絶対行く事になるので————では、次回予告!!


次回予告 夏休みが始まってまだ5日も経ってないけど心身ともに疲労しっぱなしの奏多くん!!でも時間は過ぎるのを待ってくれない!彼を待ち受けるのは京都!!居候の実家!!

【ときめき奏多メモリアル 中篇 その④】【駆け抜けるは夏の風】 お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ