俺
さぁ、頑張るぞい
まさか怪我をした猫が猫の神様という夢のような話があったにも関わらず、大量のラブレターの返事を書き終わると奏多はソナタを抱え布団に入った。
「おやすみ。」
ソナタも大欠伸をしながらニャーと鳴いて寝てしまった。
◇
朝、奏多はいつもの様に家事をこなし、ソナタにご飯を作り、奏の朝ごはんと弁当をこしらえた。
すると、今日は珍しく奏が早く起きて来て無言でご飯を食べるといつもより30分早く出て行ってしまった。
「?どうしたんだろ」
「なんじゃ、お主ら喧嘩でもしたのか?」
朝ごはんを食べ終えソファでくつろいでいたソナタが和服姿になっていた。
聞くところに因ると服は自由自在で変えれるらしい
どこぞのオシャレ魔女かと思った。
「・・・分からない。」
ソナタは奏多の悩み姿を見ながらニヤニヤしていた。
奏多も学校に行く準備を終えた。
「じゃあ、行って来るよ。今日は全委員会の集いで遅くなるから奏とご飯待ってて」
「畏まりじゃ、今日は海老の気分じゃな~」
何とも意地汚い神だ・・・
はぁとため息をつき、ソナタの頭をよしよしと撫でた。
そして奏多は家を出て一人学校に向かって歩いて行った。
学校に着くと奏多は自分の席に座り、朝の奏の変化のことをひたすらに考えていた。
何故だ、奏が僕に一言も発さず、無言で朝ごはんを食べ、一人で学校に行った。何故、何故、何故?
今まで一度もこんなことなかったのに・・・
「・・・い!おい!おい!盟友!おいってば!」
奏多はハッと我に変えるとクラスのみんなが奏多を見ていた。
「えっ、あっ!は、はい!な、何でしょうか・・・」
「靫空君、この問題解いてもらえるかしら?」
「は、はい!」
奏多は急ぎ黒板に一瞬で解答を書く。
「す、すいませんでした・・・少し考え事をしていて。」
「靫空君がねぇ。」
「珍しい。」
「靫空君でも悩むんだ。」
再び席に着くと、奏多は顎に手を当て考え始めた。
「はぁ〜、分からない。」
ボソッと奏多がこぼした言葉が学校中の話題になった。
あの男にも解らないことがある・・・と
昼休み、奏多は弁当を食べながらもひたすらに考えていた。
「盟友よ、何を悩んでいる?我に聞かせよ、全能なる我に任せよ。」
「どこまで自信家なんだよ・・・まぁ相談に乗ってくれるなら嬉しい。」
奏多は昨日と今日の経緯を説明すると、月夜は苦笑いだった。
「あー、要するに、貴様の妹は貴様がまだ怒っているんじゃないかと誤解しておるのだ、貴様がうんざりする表情など見ること聞くことがないからな。」
なるほどとポンと手を叩いた
「ん〜、じゃあどうしたらいいのかな?」
「甘いものと貴様の笑顔で十分だろう。」
「そうかな?ありがとう。相談に乗ってくれて。」
「気にするな、それより飯を食おう。腹が減った。」
奏多は今日初めて教室を見てあることに気づいた。
「あれ?轟いないね。どうしたの?」
「ああ、陸上部の選抜メンバーは今日から3日間合宿だ。盟友よHRの先生の話も聞いてなかったのか?」
そう言えばそんな事を言ってたような、言ってなかったような・・・と笑いながら話を濁し、奏多は弁当にありついた。
「そういえば、今日の放課後は委員会と部活の会議だったよね、部活の費用について各部活の部長達との検討か・・・荒れるよなぁ、はぁ〜。」
「ああ、盟友は草薙先輩が暴走する手前で止めてくれよ・・・何時も我もひどい目に遭う」
奏多も月夜も揃ってため息をつき何事もなく放課後は来てしまった。
「はい、それでは委員会、部活の費用についての会議を始めます。じゃあ、まずは風紀委員会から現在の活動経過と必要物資の提案があればお願いします。」
「はい、えー草薙委員長の代わりに副委員長の靫空が報告いたします。この1ヶ月で校則違反した生徒は12名、ですが11名は服装や不適切な持ち物を3回以上持ち込んだ生徒に関する事で、1名、1年が同級生に暴行をしようとしていた為、止むを得ず自分が対処しました。現在、その1年は謹慎処分。以上です。」
「ありがとうございます、それでは続いて保険委員・・・」
その後は約2時間会議が続き、奏多はメモをしながら揉め事が始まったら参加しようとする草薙を止めていた。
「以上で会議を終わります、お疲れ様でした。あ、あと最近この近所で野良猫や犬などを改造したエアガンなどで襲っている事件が多発しています。もし見かけたならすぐに警察に、では気をつけて帰ってください。」
ソナタもそれに巻き込まれたのか・・・
奏多は無事だったとはいえ命を粗末にするこの事件に関して少し怒りを見せていた。
奏多は一人で学校を出て時計を見ると7時を過ぎていた。
「急がなきゃ・・・」
奏多は急ぎ家に帰る為走った。
◇
奏多が家に着くと違和感を覚えた、家のインターホン前のドアが開きっぱなしでキーキー音を立て、玄関口には大量の土の跡、奏多は恐る恐る家に入ると、衝撃的な場面に遭遇した。
それは奏が縛られたまま床に倒れていたのだ。
「奏!おい!大丈夫か!?」
奏多は慌てて靴を履いたまま家に入ると、奏に近寄った。
「よかった気絶しているだけか・・・しかし、誰が一体・・・」
奏の拘束を解こうとした瞬間、奏多の首筋にビリっと電流が走った。
「がっ!・・・な、なんだ!?」
後ろを振り向くと、そこには覆面やフルフェイスのヘルメットを被った集団がおり奏多に近いやつの手にはスタンガンが握られていた。
「だ、誰だ!」
「・・・・・・・・・・。」
すると男たちは一斉に奏多にかかって来た。
奏多が身構えようとした瞬間、時すでに遅く、奏多の手に、足に、体に全身に凄まじい量の電気が流れた。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!・・・・」
意識が遠のく・・・痙攣しびくびくする身体を見て笑い声が聞こえる、意識を失いかけながらも見た一人覆面を取った姿はこの前、奏多が以前スーパーで撃退した男の1人だった。
奏多は薄れゆく意識の中、奏が男達に連れていかれるのを見ていた。
『だから、お前は甘いんだ・・・』
その声と同時に意識は完全になくなった。
奏多が目を覚ますとそこは真っ暗だった。少なくとも家ではない。
だが目の前には自分がいる。ニヤニヤしながらこちらを見ている。
『よう、見てたぜ、何だ?あのやられっぷり、昔なら敵が来た瞬間に手首をへし折るくらいならお茶の子さいさいだったのに・・・どこまで落ちぶれちまったんだお前はよぉ・・・』
「うるさい・・・」
『へっ!なーにが『お前だけは守る』だ?馬鹿が』
「黙れ・・・」
『お前には守る事なんてできねんだよ、壊すしかできねんだよ!俺たちは!!!』
「うるせぇ!!黙れっつってんだろ!!!」
『良いねぇ良いねぇ、昔に戻ってるじゃん。口調と雰囲気』
「・・・・・・・・・・」
『俺は数年前の様にお前の体は乗っ取れない、何故なら、これがお前だからだ!必死に押さえつけてるお前の本心だ!俺はお前だ!さぁ、行け!行け!!奏を救えるのはお前しかいない!さぁ、俺を解き放て!!』
奏多は目を閉じた。
こいつの・・・いや、僕のいうとうりだ、僕は馬鹿だ・・・肝心な時に何も守れない。でも優しさを捨てたら、僕はまた、僕は、僕は、僕は!だから、今だけ、今だけ、許されるなら・・・俺はっ!!
「一瞬だけでも・・・ただの人殺しに戻る時だ。」
その眼にはもう光はなかった。
次回予告:少年は笑う、血に滴りながら笑う・・・次回【hydeな時間】お楽しみに




