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私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第1章 日常編
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アルバイト

遅くなりましたが最新話更新しました。

朝、奏多が起きると布団の上が少し重く感じた。

奏多は乗っているものが落ちないように恐る恐る布団から這い出ると猫のソナタが布団の上でスースーと寝ていた。

 昨日は息をするのもやっとの体のはずなのに何故、動いて布団の上にいるかがわからなかった。

 奏多がソナタを抱えると、甘えるように頬をスリスリしペロッと指を舐めた。


「傷が塞がってる・・・」


傷口がぴったりと塞がりニャーンと元気に声を上げている。

結局、手当がいい感じだったのだろうと頭で勝手に判断した。

顔を洗い、掃除、洗濯、料理をいつも通りにこなす、だがそこには必ずソナタがぴったりとくっついていた。


「猫ってこんなに懐くんだなぁ、可愛いな。」


ふわふわの毛をよしよしと撫でるとソナタはニャーンと甘えてきた。

奏多は奏を起こすべく部屋へと向かいドアを開けた瞬間、シャっとソナタが部屋に入り奏多がポカーンとしてると奏の悲鳴が上がった。

奏多は部屋に入るとソナタが奏の顔を引っ掻いていた。

幸い爪は丸かったので痛くはなかったがこそばゆいのか笑いながら布団から飛び出した。


「ハハハ、ソナタが奏に一番効く目覚ましらしいや。ほら朝ご飯出来てるからおいで。」


奏多は部屋を出ると続いてソナタが奏多の肩めがけジャンプすると、もはや何処かのゲームの主人公と相棒にしか見えない絵柄だった。


奏は制服に着替え下に降りるといつもと同様豪華な朝食が出ていた。

ベーコンエッグ、マッシュポテト、シーザーサラダ、食パン

ソナタには無塩鮭のほぐし身、ホットミルク

奏がご飯を食べる前にソナタがほぼほぼ完食し日の照っているソファに寝転んでいた。


「この猫賢いねぇ、でもトイレとかどうするの?」


そう聞いて奏多がフフンと笑うと足元を指差した。


「作っといた、さっき試したらちゃんと理解していたよ。」


朝の短い時間で作ったとは思えない位の見え映えのトイレで、奏は感心しながらマッシュポテトを口いっぱいに頬張った。

食事を終え、いつものように弁当を渡し家を出た。


「ソナタいい子にしてるんだよ。」


ソファでスースー寝ているソナタの頭をそっと撫で奏多は鍵を掛けた。

少し歩くと可奈が合流しいつものように3人で学校へと出向いた。


 「奏、今日僕バイトだから帰るの少し遅くなるから待っててね。」

 「そういや、奏多って喫茶店でアルバイトだったよね、何処の喫茶店?」

 「学校近くの【rabitank】って店 」

 「らびたんく?ねぇ、今日行ってみていい?奏ちゃんもどう?」

 「別に構わないよ、奏も来たければ来ればいいし、それは自由だ。」


 私も、もちろんYESだった。

 学校に着くと校門前に月夜がもたれかかっていた。

 奏多の姿を捉えた瞬間、奏多の前に仁王立ちした。


「おはよう、月夜。待ってたの?」

「我を待たせるとはいい度胸だ、盟友よ、さぁいざ教室に向かうぞ!」


 と腕にギュッと抱きつき強引に引っ張られた。

 奏多はやれやれと言わんばかりに引きずられた。


「ちょ、待ってよ!奏多!!あっ、奏ちゃんじゃあ今日の放課後校門前に集合で!」


と全力ダッシュで奏多達を追いかける可奈の姿をみて奏は苦笑いだった。

奏多達が教室に着くとクラスの大半がエプロンに着替えていた。


「1時間目から家庭科の調理実習とは・・・疲れるな。」


やれやれとため息をつき奏多は調理実習用のエプロンを鞄から出した。

青い割烹着の様なエプロンで胸元には白色の刺繍で【靫空】と縫われていた。


「盟友よ、さぁ.冥府の試食場(調理実習室)へ行こうぞ!」


月夜の格好は何処で売られているかもわからないくらい黒く、痛い刺繍付きのエプロンだった。


「まってよ〜二人とも一緒の班なんだしさ。」


可奈は猫柄の可愛い仕様でまぁ、ふつうに可愛い。

調理実習室に入るとそこにいるメンバーが食器や調理器具などの準備をしていた。


「よし、僕達も取り掛かろう。」


そして10分位で皿や調理器具の準備が整い、奏多達はチャイムと共に先生の元に近づいた。


「はーい、それでは今日はクッキーを作ります!今からお手本として生地を作るのにアシスタントを・・・靫空君、お願い!」


またか・・・

奏多の料理の腕は食べたもの全員が理解しているため家庭科のアシスタントとして選ばれるのは皆慣れた光景だった。

奏多は言われたとうり素早く正確に作業をこなし黄色いクッキーの生地ができた。


「皆さーん、それでは、この通りに始めてください!」


各自手を洗い、作業が始まった。

奏多達の班は可奈以外は料理ができるのでかなり速いスピードで生地を作る作業が終わった。


「轟、オーブンできてる?」


可奈は加熱したオーブンをそーっと開けた。


「うん、出来てる。」


熱気が伝わってる位に加熱できたことを確認し生地を自分の好きな様に捏ねて焼いた。


「我が錬金術の力を見よ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


月夜は器用にロザリオや剣、杖、盾の型を作った。


「私はシンプルイズベストだね!」


可奈はシンプルな丸型に仕上げた。だが奏多は一味違った。

爪楊枝を取り出しシャバババッとスタンダードな丸型のクッキーの表面に綺麗な波紋描いたり、薔薇をかたどった様なものも作った。

しかも顔色を一切変えず、鼻歌を交えながら楽しそうに作業をしていた。

その職人芸の様な作業にその場にいたものが皆釘付けになった。


「よし、焼いていこうか。ん?どうかした?」


5分間くらいの作業が終わり、皆ハッと我に帰り作業に戻っていった。

20分後、クッキーが焼きあがりその出来栄えは最高だった。

残念ながら月夜の剣型のクッキーは持ち上げた瞬間、剣先がボキッと折れた。


「我のエクスカリバァァァがぁぁぁぁぁぁ!」


その叫びの隣で奏多のクッキーは何処ぞの高級焼き菓子の様な見え映えで皿の盛り付けられており、その見栄えはもはや家庭科の範囲を超えていた。


「ん〜エクセレント!」


味を確かめ、先生も高評価だった。完成したクッキーを写真で収め始めるものまで現れ、奏多の班の調理実習は終わった。それとは裏腹に周りの男子生徒の班、特に大前の班は砂糖と塩を間違え、クッキーは真っ黒にしてしまった。


「あー大前君の班はやり直し!」


 昼休みを潰して居残りの作業をする大前達を見て奏多は苦笑いだった。

 そして昼休み、奏多は久々に教室で弁当を広げた。

 まだ家庭科に囚われている班が多く、まだ半分の人数も帰ってきてなかった。


 「盟友よ!昼餉だ!食うぞ!」


 月夜と席をくっつけると月夜の前の席の可奈もやってきた。


「せっかくだし、私も混ぜて!」


 可奈はコンビニ弁当らしく、手作り弁当を広げる月夜はドヤッとした。


「乙女たるもの、料理の一つもできんと生きていけぬぞ!」

「ぐぬぬ、わ、わかってるよ〜今修行中なの!今にスッゴイの作ってくるんだから。」


 この小さな喧嘩に奏多はやれやれと弁当を口にした。


「盟友よ、その赤い塊のは何だ?トマトか?」

「うん、トマトをくりぬいて作ったトマトグラタン、食べて見みる?」


 奏多は一口サイズに箸で割ったトマトグラタンを月夜の口に運んだ。


「ほら、口開けて。あーん。」

「え、あ、あーん・・・モグモグ、う、美味い・・・」


月夜が顔を赤らめ下を俯いた姿を見て可奈も欲しいと言い出した。

同じく口に運び、二人とも顔を赤らめ下を俯いてしまった。

奏多は首を傾げながらその箸で再び弁当を食べ始めた。


「ご馳走さま。」


奏多は弁当を食べ終わった頃に大前が帰ってきた。


「はー終わった!オーブンレンジがばちばち言い始めた時はどうなるかと思ったぜ。」

「まさか、金属類加熱したの?」

「よーくわかったな!バターを溶かそうと金属製のトレイに入れて加熱したらさ、バチバチ言ったんだ。」


奏多は呆れながらもお疲れと肩をポンポン叩いた。


 「奏多はそのクッキーどうすんの?食いづらくね?」

 

 勢い余ってまるで芸術品の様に仕上げてしまったので勿体ないという意味で食べにくくて仕方がない


 「ああ、僕自身も食べづらいよ。誰かにあげようかな?」


 その瞬間クラスの女子達が臨戦態勢に入った。

 だが、状況は極めて困難、しくじって欲を出せば奏多に変な目で見られてしまう。

 ―ザワザワ・・・ザワザワ・・・

 だが、この緊張感はものの5秒で崩れた


 「じゃあ、俺も~らい!パクッ!ウォぉぉぉ~美味ぇ~」


 その瞬間、女子の一斉砲火を大前は泣きながら受けていたのだった。

 放課後、奏多が校門に行くと奏、可奈、そして月夜の姿があった。


「なんで、十六夜さんがいるの?」

「盟友の仕事を見るのも悪くないと思うてな相談したらOKを出してくれたぞ。何だ悪かったか?」


昼休みの終わりに、今日の放課後に遊ぼうと言われたがバイトがあると言われたので暇だから行くと言う話だ。


「じゃ、行こっか。」


奏多を先頭にに後ろ女子3人が密集している状態だった。


「ここだよ。」


喫茶店rabitank、まぁまぁ小洒落た喫茶店だった。

店に入ると中年のマスターらしい人がコップを吹いていた


「こんにちは、マスター。入りますね。」

「いらっしゃい、奏多君、おや、お友達かな。」

「クラスメイトの轟、十六夜、妹の奏です。」


3人ともペコリとお辞儀をする。


「着替えてきます、マスター、すみませんが少しの間接客頼みます。」


と店の奥に入って行った。


「ささ、3人ともカウンターにどうぞ、そろそろ時間だし、この席とれるのはラッキーだね。」


時間?何の事か言っている意味が分からずとりあえずメニューを眺めた。


メニューはコーヒーから紅茶、スイーツまでを取り揃えておりファミレス並みの多さだった。


「へー、喫茶店とは思えないですね!全部マスターが作るんですか?」

「いや、私はコーヒーと一部の料理専門、紅茶とその他の料理は全部奏多君の専門だよ、彼はすごいねあんな若いのに調理師免許持ってるんだし。彼が入って売り上げも上がったしね!」


全員初耳だった。


すると店の奥から執事服のような喫茶店の制服を着た奏多が現れた。


「お待たせ致しました。お客様。」


 見た目はかなり合っており、見た目からして完全に執事を思わせるような風貌だった。

 水をそれぞれに置きごゆっくりと頭を下げた。


 「この制服は奏多君専用の奴なんだ、っていっても従業員奏多君と私しかいないけど。おっと、奏多君、そろそろ時間だから準備、準備。」

「あの、時間というのは?」

「まぁ、見てたらわかるよ。さて、忙しくなるな。」


と4時を告げる時計の音が聞こえた瞬間、ドアがバンと開き他校の女子高生、子連れの主婦、マダム、様々なジャンルの女性が入ってきた。


「いらっしゃいませ、お客様。こちらへどうぞ。」


そう執事服の靫空奏多はいわゆる女性キラーなのである、その完璧なまでの接客対応、笑顔、それを求める常連を作るのはお茶の子さいさいだった。


「えっと、レディースセット2つと、パンケーキ、あと、それと、スマイル・・・1つ」


どこぞのチェーンハンバーガー店のようなメニューだ。


「ご注文をお伺いします、レディースセット2つにパンケーキ、スマイル1つですね。」


と優しいスマイルを女子高生に向ける。

女子高生達ははきゃーっと言いながら盛り上がっていた。


「あれも奏多が?」

「いや、あれは僕の提案さ。あれをやると顔なじみのお客が増えるのさ」


とグッドマークをするマスターに3人とも苦笑いだった。


 「おーい、盟友よ、このミックスベリージュースと特製ふわふわスフレを頼む3人分だ!今日は私が持つ!」

 「え、良いんですか?悪いですよ、おごってもらうなんて。」

 「気にするな、今日は奢ってやりたい気分なのだ!!」

 「奏ちゃん、ここは甘えましょう。」


 二人はパチパチと拍手し、月夜はどやった

 了解と合図をし、満席の注文を全て確認し厨房へ走った。

 そしてものの5分位で、厨房から料理を運ぶワゴンと共に出てきた。


 「マスター、配膳をお願いします。」


次々と運ばれる料理に店の客達は驚いていた。

パンケーキはフワフワ、スコーンはサクサク、スフレはしっとり滑らか、全て完璧だった。

その後2時間経っても奏多の接客と料理は終わることは無かった。

次の更新日も未定です。寒さが続くので皆様風邪を引かぬようお願いします。

次回予告:女子達は語る、すなわちガールズトーク・・・次回【小話】お楽しみに

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