まもるものができた日
この度、『私のお兄ちゃんは完璧すぎる』を連載します朱雀蓮です!!まだまだ未熟者ですが、これを初めて読んで下さる読者の方、再び読み返してくれている読者の皆様、是非楽しんで読んでください!!
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時は21XX年、時代は進み、車は空や海の上を飛び、前時代では治療不可能だった病や怪我の治療が行なえる。科学技術、医療技術は同時に進歩し続け、皆一度は空想し願いもした夢の技術が現代では叶えられるのだった。
しかし、それと同時に犯罪や戦争の勢いは増し、世界における戦争の勃発率は1世紀前と比較すると34.5%増加していった。
最初は自身たちの国の資源を維持し、国民を守る戦争だったものが何時しか自分の国のエゴだの誇りだのを守るための国ではなく、国の上層部の人間の為に行われるモノへと変化していった。
そして3年前、とある小国同士の戦争において核弾頭を搭載した兵器が使用され、それを皮切りに本来、抑止力あるではずの核兵器は再び恐怖の象徴へと変わりゆき、各国はより強い核兵器の保持、開発へと熾烈を極めた。
日付、21XX年12月2日 某国時間13:55 とある国で戦争が開始され2日と約11時間が経過。
枯れ果てた土地同士の国が少ない資源を巡って行われている戦争で、既に両国の被害者数は合計で1000人を超えており、戦場では死体を目に入れないようにするのが難しいほどあたり一面に死が蔓延していた。
そして、14:03、某国上空
一台のヘリのハッチが開き、3人の人間が投下した。空中に飛び降りると同時に3人が装着しているコンバットスーツがムササビのように変化し、スーツの色も景色に同化してゆき、風の抵抗を受けながら綺麗に滑空し戦場へと降り立った。
3人の体躯は中学生くらいで、全身黒のコンバットスーツに特殊マスクを装備し、荒れ狂う戦場の中、各々耳に手を当て通信機を起動させた。
「これより、任務を開始する。作戦通り、ⅢとⅣは目標物の奪取、それに伴う敵及び目撃者の殲滅、オレは敵司令部に潜入。ターゲット及び、施設内の人間の排除、及び施設の爆破。任務終了後はポイント103にて回収する為、各々任務完了後の連絡を忘れないように、何か質問は?」
「ありませーん。」
「無い・・・。」
淡々と話す少年の声に対し、2人の女の子の声の片方はぶっきらぼうに片方は無機質に答えた。
「では、作戦開始。」
その言葉と同時に3人は戦場の中を駆けていった。
14:31 少年、目標の施設に到着。
彼は装備しているコンバットスーツの手首に内蔵されているグリップワイヤーを施設3階の窓付近に射出すると、手首のボタンを押すと、優先掃除機のコードのように少年の体は一瞬にして施設の3階の窓へと移動した。
3階の窓の少し上に見えにくいが換気用のダクトが存在し、少年はダクトの蓋を外し、施設の中へと侵入した。
「やはり、発展してない国だとセキュリティもザルだな・・・兵士の殆どを戦場に配備しているのか、警備も手薄だ。」
少年はダクト内を進み、マスクに内蔵されているスキャナーを使用し半径30m内の人間の数を表示すると、5m先に3人、11m先に1人、24m先に2人、スキャナーで識別した見た目からすると警備兵・・・手にはAKらしき自動小銃を装備、だが11m先の1人の格好からすると恐らくトイレで用を足している最中・・・そして、自身の目の先には光が差し込んでおり、丁度11m、、、
少年はその光まで移動すると、予想通り兵士らしき男が一人、真下の個室で用を足していた。そしてそのまま、左手の中指から針の様なものを取り出すと、男の脳天目掛けて針を落とした。
チクッとした痛みが走ると同時に、男はうなだれるように姿勢を崩した。
今、少年が刺した針には即効性の猛毒が塗り込まれており、痛みは一瞬、そして眠るように殺す毒。
そうして少年は静かにダクトから出ると、スキャナーを使用し周りに人がいないことを確認し個室から脱出した。
「ターゲットはこの上の階・・・スキャナーで見る感じ、、、チッ」
少年は軽く舌打ちすると、自身の愛用銃P365にサイレンサーを取り付けると、トイレから飛び出ると6m後方の3人の兵士の頭、心臓、頭と的確に撃ち抜き、即死させた。
そしてそのまま約30メートル先にいる兵士に向けて走り出すと、腰に装着したコンバットナイフを引き抜き首の頸動脈を一突きした。
何が起こったか分からない兵士は、苦痛の声を挙げる事すら許されることなく、そのまま脳天に1発撃たれた。
少年は首からナイフを引き抜き、死体の兵士の制服で血を拭うとそのまま4階へと上がった。
14:35 少年、ターゲットの部屋の前に現着。
ターゲットの前に2人程警備が居たが今は足元に居た。
だが、少年は今この部屋に入ることに乗り気ではなかった、が、任務に個人の感情は必要ない。
少年は静かに扉を開けると、部屋の中央のベッドで3人ほどの男女が肉体を絡ませ合い欲望のまま悶えていた。
少年は小さくハァとため息を吐くと、男の頭を撃ち抜き、殺した。
女は目の前でいましがた行為に耽っていた男が死んだことで、仰天し布団から転げ落ちたが、少年は命乞いをする女の言葉など聞かずに眉間に一発ずつ打ち込んだ。
戦争中に、しかも司令官が、女と行為に及ぶとは・・・全く、これじゃ死にゆく兵士の意味は何だ・・・そもそも戦争自体に意味はあるのか・・・何故オレは戦っている・・・・何故だ・・・・何で・・・・・・
少年は頭を振り今考えた事を振り切ると、通信機を起動させた。
「こちらの任務は完了した。」
『こっちも終わったよ!』
『私も・・・』
「これより施設の爆破に移る。爆弾の設置が終了次第、ポイントに移動する。では」
通信を切り、少年は胸ポケットのカプセルに入ったスーパーボールサイズの球体を取り出すと、それを男の死体の上に放り投げ、少年は急ぎ脱出した。
14:42 敵司令本部消滅。
武力介入開始39分で戦争は終わった。敵司令本部の消滅、極秘情報の奪取、秘密裏に開発されていた新型兵器の情報、及び小型兵器の奪取、、、39分間で敵国は一気に何もかもを失った。
だが、一方でこの39分で少年の中の疑問は増大していった、今までこんな感覚に陥ることはなかったのに、何故だ・・・・何故、オレは戦いに疑問を持ち始めた・・・・何故、今まで、こんな、こんな・・・・・
少年は回収ポイントに向かう中で、ぐちゃぐちゃの精神の中、ふと声が響いた。悲鳴ではない、鳴き声だ。子供、いや赤ん坊の声だ。
少年はふらつく足で声の元へと向かうと大きい布にくるまれた赤ん坊が居た。
東洋人・・・の赤ん坊、オレと、同じだ・・・・
だが、死にかけている、声も小さくなっている、頬が痩せこけている、栄養失調か・・・
ここからは少年にとっても理解しがたい行動の連続だった、まず、近くの廃屋から鍋を見つけ湯を沸かし赤ん坊の体を綺麗に拭き、それと同時に携帯している栄養食と粉ミルクと混ぜ簡易的なベビーフードを作り、少年は食べさせようとするも、赤ん坊は少年の、いや装着しているマスクの顔を見て恐怖し泣き止まなかった。
少年は、急ぎマスクを外し、ぎこちない笑顔で赤ん坊に向き合うと、赤ん坊は次第に笑い始め、少年の手にするベビーフードを口にした。
赤ん坊の笑顔を見ているうちに、自身の頬に温かいものがつたうのを感じた。
涙だった。今まで、流した覚えのないモノ、感情なんて失っていると思っていた自分が、涙・・・
少年は赤ん坊を抱きかかえると、小さな心音がより鮮明に伝わってきた。それが自身の心音とシンクロするように重なると、さらに胸が熱くなってきた・・・・
先ほどから耳元から聞きなれた声が聞こえたが、もう、どうでもいい・・・
少年は耳に付けた通信機を踏み潰すと、赤ん坊を抱きかかえ、回収ポイントとは真逆の方向へと向かった。
今までとの自分との決別、簡単なことではないが、もう、どうでもいい・・・オレは、オレの命は、この子の為に使う。
少年は歩み始めた、血塗られた明日ではなく、光り輝く明日へと。
To be continued
如何だったでしょうか!?文章を書くのは不慣れですが楽しんでいただけたのなら幸いです。
次回予告:始まる物語、高校生となった兄弟の運命は日々変化する。次回【完璧な兄】お楽しみに