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もう一つの平家物語  作者: 鷲谷 隆
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第四 三郎との出会い

第四 三郎との出会い


季節は冬である。時代は変わったが1月17日という日付は変わらないようである。辰夫にとってこの平家や源氏が争っている時代に迷い込み、右も左も分からないこの場所に放り出され、何をどうすればよいか全くわからない。

時間も分からないが、日付が変わらないのであれば、時間も変わらずこの時代に来たとすれば、恐らく朝の5時40分頃にこの時代に移ったと考えて間違いないと思っていた。

平家のかり武者に連れてこられ、何時間くらい時がたったか見当がつかない辰夫であったが、晴天の中の太陽は一番高い位置にあるようで、辰夫におおよその時間を知らせてくれていた。

人恋しくもあり、人と係わりあうこと自体恐怖をも覚えている辰夫にとって、歩いて行く方向が定まらない。ただ、行く当てがないからその場に留まっているかといえばそうでもない。半分夢遊病のようになっている辰夫にとって自然に体が動いていく方向は、やはり人通りを感じる方向である。

人の本能というものかどうかは分からないが、当てもなく歩いていく方向は街を目指すもののようである。

半分夢遊病になっている辰夫であるが、後の半分は春一のことで頭がいっぱいである。

ある意味辰夫にとって夢遊病の原因が春一と離れたことであるから、仕方のないことではあるが、春一のことを考えても何をどうすればよいかわからない。途方に暮れて歩くとはまさにこのことである。

屋敷が並ぶ町並みから一旦松並木の道を通り過ぎた。土の道路ではあるが綺麗に整備され藁草履の鼻緒が痛いが足裏には痛みを感じないほどであった。

街づくりは、時の政権をもっている平家の性格によるもので、町並みの美しさは、流石に平家である。

屋敷を出るとき靴と来ていた服は渡されたが、その荷物だけは今まで春一と生きてきた生活の中の共通のものであり、大事に抱いて歩いているのである。

少し潮の香りがしだした当たりから家並みが替わり蔵のある屋敷が軒を連ねるようになってきた。恐らく平清盛が福原遷都のとき京から一緒に商人も連れてきたのであろう。

中国の宗との貿易による利益は平家のみならず平家との係わりを持つ商人にも大きな利益をもたらしていた。そのため、平家の屋敷がある雪見御所辺りからそう遠くはないこの場所に商家が軒を連ねているのであろう。

商家の家並みから出ると直ぐ時代劇で見る町並みが目に飛び込んできた。映画村の中に入ったような感覚に陥り、辰夫がエキストラの一人になったようであった。

辰夫自身夢遊病のように歩いていたが、屋敷が連なるところからこのような町並みの中に入ってきて気を取り戻し始め出した。

街は、家を構えた店屋、露天商のような店、朝市のような様相を呈していた。客はといえば、老若男女問わず、中には甲冑を着た武将のようなものも歩いていた。

辰夫は、狩衣姿である。その場で違和感は全くなかった。ただ藁草履の鼻緒が痛み足を引きずるようにだらしなく歩いていることぐらいである。

辰夫は春一を助けたいというより、春一の近くに行きたいと思っており、春一が平家に囚われて苦しい思いをしているとは思っていない。少なくとも春一と分かれるときの姿は春一にとって恵まれた環境の中に入れこめていると考えた方が正しいのである。その春一をあの平家の屋敷から連れ出すということは、春一にとって苦しい環境に置かれ、その挙句平家に狙われ危険な目にあうことで、それぐらい辰夫にもわかった。

だから辰夫は今すぐ春一を助け出すとは考えず、春一のそばに行きたいと考えているのである。

辰夫にはこの時代の貨幣価値はわからないが、福原の街は活気に満ち溢れ、恐らく平家が福原に帰ってきて、宗貿易も始まり、戦に備えるためなどの軍需のため景気がよくなっているのだろうと考えていた。

そのどれもこれも平家が今後源氏と戦って、戦に勝つことが大前提であり、この福原の街は平家が勝つと信じているのである。辰夫だけはわかっていた。平家が敗れ船で屋島に向かう筋書きを。当てもなくこの活気に満ちた街を途方に暮れ歩いていた。

今まで夢遊病のようになっていたが、少しずつ気を取り戻してきた辰夫は、この街がもう直ぐ戦に飲み込まれること。それを知っているのは自分だけで、街は何も知らず時を進めている。ひょっとしたらここに居る人達みんな犠牲になるかも、そんな思いがこみ上げてきた。

辰夫にしてもこの街で起きる戦、すなわち一の谷の合戦は、吉川英二の平家物語の世界で知るだけで、史実とどれだけの相違点があるか知る由もない。

ただ、一の谷の合戦がこの場所であり、平家が敗れ屋島に逃げていくことの事実は間違いない。

それと同時に、自分と春一は何故この時代に来たのか、あの大極殿跡公園の占いの老婆は知っていたように思う。自分と春一がこの時代にタイムスリップすることを。

辰夫は思い出そうとしていた。占い老婆の話しを、一語一語正確に思い出そうと考えていた。

そのとき、「そこの人」と確かに辰夫の耳に聞こえた。自分に向けられたような方向性を声に感じたが。この時代の人間でない自分が声をかけられるはずもなく、たとえ掛けられたとしてもろくなことではないだろうという警戒心が心に働きその呼びかけに反応せずにいた。ただ、無理に反応せずにいる姿は、傍から見て滑稽なほどよく分かり、「聞こえているんだろ、そこの人」と、もう一度声を掛けられた。

わざとらしく「自分のこと」といったポーズをしながら振り向くのがパターンのようで、辰夫もやはり振り向きながら「私ですか?」といった態度で声のする方向を見た。

声から察して、女性だと察していたが、振向いて見ると間近に立っている少女であったのには、辰夫を驚かしたと共に少し安心したのである。

声はどちらかと言うと訛声で、声と年齢が結びつかないタイプの少女であった。辰夫が感じている不安は、街の喧騒な雰囲気と太陽の高さ、声の主が少女であることで解消されていた。人は、人通りが多いと一人ぐらい自分の味方がいるように錯覚し、安堵感を感じる。その何の根拠もない街の雰囲気に自分の安全を委ねる事がある。それは、警察官である辰夫においても同じである。

辰夫は往来する道の中央に立って少女が近寄ってくるのを待った。

「私に何か?」と言葉少なく返事をした。辰夫自身この時代に来て、何も分からないうちに薩摩守平忠度の屋敷に連れていかれ、自分自身心の準備もないまま流されるように話をしていた。

しかし、今度は、自分の意思で歩いてたどり着いた街、ここで自分の意思で誰かと話す。たとえ少女としても、たとえ言葉少なくとも、以外に平気に受答えが出来ることに少し安堵した。

「あんた、薩摩守のお屋敷に子供と一緒に入って行った人やろ、あんたらの着ているもん見なれへんもんやったから、それに頭も変やった。何か悪いことして捕まったんと違うやろ、悪いことしたらあそこにいかへんもな、」

少女の少しかすれた声は、つっけんどんではあったが、嫌味ではなかった。

辰夫自身、この少女には記憶にない。でも、この世界で始めて平等の立場で話しが出来ることに何処かしら気を許してしまう感じがあった。その気を許す相手を辰夫は早く見つけたいと思っていたのである。焦りに似たもので、この世界で誰かの助けがなければ春一と会うことが出来ないことぐらい分かっているからである。

「何処で、見ていたのですか、自分は何も分からず、薩摩守様のお屋敷に連れられただけですので、悪いことはしていないし、見ての通りこの街には始めてですので迷っています。何故こんな私に声を掛けたのですか。」

辰夫は、ひょっとしたら自分の助けになる一人かもとの期待と自分を騙す者かもしれないという不安を感じながら出来るだけ上下関係を作らないように普通に話した。その中に臆病さから丁寧さを付け加え話した。

少女は、辰夫の話し方が不思議な言葉に感じた。言っていることはよく分かるが何とも言えない心地よさを言葉に感じた。これが公家言葉かと、少女は急に顔を赤らめ、

「ちょっと、待っとき」と言って、目の前の飯屋の中に入っていった。

辰夫は、急激に不安に感じた。少女が店に入っていく時、辰夫は声にもならない声で

「えっ」と言って、心の中で「何処行くの、別に何故声を掛けたか答えなくていいよ、私はもう少し歩くから」とつぶやいた。

少女が急に誰かを呼んで来る様子は、少女が次に強い兄ちゃんと一緒に現れると直感的に感じた。

だからその場から去ろうと思ったのである。しかし、黙って立ち去ることも咎められないか臆病になり不安で、辰夫はその場に立ったままで、何も出来ない状態になったのである。

案の定、店から少女に連れられ、熊の毛皮を着た猛者が4人ほど出てきたのである。これほど不安に思って想像したことが、そのままになることはそうないと辰夫は思った。辰夫は観念するしかない、「なるようになるだろう。この往来で切った張ったは、ないだろう。危なかったら走って逃げよう」と考えた。というより他に選択肢はないと思った。

猛者の一人がいきなり、

「おぬし、名前は、」

辰夫は、いきなり名前を聞かれるとは思いもしなかった。心の準備をしていたわけではないが、たとえ心の準備が出来ていても、いきなり名前を聞かれるとは思わなかっただろう。名前を聞かれた辰夫は、今まで何人かの人と言うより、平家の家人とあったが誰一人辰夫に名前を尋ねなかった。それに今辰夫自身も気づいた。平家にとって付き人の名前などどうでもよいのである。

ここで急に名前を聞かれ、そのいきなり名前を尋ねられる意味を考える余裕も時間もない、辰夫にしてみれば即答しなければならないのである。

答えようとした瞬間、猛者の一人一人が

「わしは、高尾山の猟師で一郎、」

「わしは、次郎、」

「わしは、三郎、」「須磨山の菅六」

と、次々名前を言い、訳もわからず飯屋に肩を組み引きずり込まれた。辰夫にすれば一瞬の出来事で考える暇がないのであるが、

辰夫は、聞かないのであれば

「まあ、いいか」と思ってそのまま過ごした。

店に入ると、一段高いところに上げられ、

「お前さん何処から来た。腹が減っているか、餅食え、公家さんはこんなの食わんか、」と全てが、いきなりで、問答無用で、自分勝手な行動であった。

辰夫は、彼らの行動は明らかに自分に対して厚意的で、自分が何かに間違えられているためのものと思った。

辰夫は、今回早く誤解を解かなければ後から嘘をついたと言われ、危険な目に会うことを恐れ早めに誤解をとろうと思った。

この猛者達は何と自分を間違えたのか。

木の皿に薄っぺらな餅が出され、猛者の一人が「ひろき餅だ、こんなの食うか」と進めてきた。辰夫は、思いきっていった。

「私は、お金をもっていません。それに何の力もありませ。私を何かと間違えられていませんか、」

猛者達は、辰夫の話し方を聞いて、

「やっぱり、都の者の話し方は違う、顔もつるつるだし、体も細い、都の何処からきた。」

「金は要らね、この店はおら達猟師の店だ、福原での寝泊りに使っている。だから遠慮するな」

辰夫にすれば答えになっていない、「私を誰と思っておるのか、」と聞いているのに、

でも、ひとつわかった。私を京の公家と勘違いしているようである。

私は、正直に答えた。といっても「未来から来た」など言えば殺されるか、「あほ」扱いされるのがやまであるから、平家が勝手にしたてた、「宗の国の船で来て、帰る船に乗り損ねた王子の従者である。」といった。

当然、猛者達には何の事かさっぱりわかるはずもなく自分達で何か想像しているようである。

この時代の人間は、身分の上下を問わず、わからないことや知らないことは自分達で想像し、それが事実と異なろうと構うことなくその想像したことを肯定していくようである。

猛者達は、辰夫の言葉に一瞬話しが止まった

辰夫は、猛者達が見た目と違い以外に人懐っこいことと、人がよさそうであるため、まず自分の疑問を何とか解決しようと尋ねた。

「何故、私に声を掛けたのですか。」

「兄貴」と猛者の一人に声を掛けられた、4人の中でのリーダー格の一人、一郎が話しだした。

「お前、子供と一緒に薩摩守様のお屋敷に入って行っただろう。お前達の格好、変わっていたし、大納言平時忠様に声を掛けられていたろ。おら達は、薩摩守平忠度様のお屋敷に猪肉を届けに行って、そのついでに今度の戦に連れていってもらおうと思っていた。源氏をやっつけて、お手柄を立てて京の都に行こうと思っていた。

そしたら、衛府(宮中の警護に当たる役所)の役人に関の守所へ行けと言われた。同じ武者になるなら偉い人の下で働いた方が徳だろ、なのに生田の関まで行ってこいと言われたんだ。門前払いもいいところだ。そこにお前さん方が入って行った。気になっていたら、お前さんだけがのこのこ歩いているから、声を掛けた。」

始めて辰夫に声を掛けてきた女の子を指して、

「この子、小夏と言うんだ。おらの妹で、公家さんの嫁にしたい。お前も公家さんみたいなものだろ。そうでなかったら薩摩守平忠度様のお屋敷の中に入る事もないし、大納言様に声なども掛けられないだろう。どうだ、小夏の婿にならないか。」

辰夫は、あまりの唐突さにあきれた。何を言われているのか、何故自分が声を掛けられたのかはわかったが、すれ違っただけで結婚とはどういうことか。

確かに、この時代を描いた平家物語では、義経が平泉の藤原家に行ったとき、都人の憧れから義経が一夜の宿を求めると、宿を貸す変わり、娘を床へ入れると言う約束があるように描かれていたし、地方では、都人の血筋への憧れが強いことはなんとなく本の世界でもわかっていたが、辰夫自身に降りかかってくるとは思いもよらなかったのである。

辰夫も男である。小夏の容姿は、幼くかわいい。頭の中を過ぎるものがある。頭を振って追い出すが、次から次へと頭の中に浮かぶ、自分で自分の考えを無視しようと一生懸命になっている。「俺は、ロリコンじゃない。」

「まあ、食え、」という言葉が他の猛者から声がかかった。辰夫は朝から何も食べていないことに気づいたが、空腹を感じたことはなかった。現に今、お腹が空いているかと問われれば、空いていないと答えるだろう。

「食え」の言葉に、食べなければという義務感と同時に辰夫は今の時間が知りたいと思った。食事イコール朝昼夜の決められた時間をイメージするからである。

勧められたひろき餅を遠慮がちに口にしながら辰夫は、今の時間を聞こうとしたがどのようにして聞くと時間が推測できるか考えた。

「今、何時」とは聞けない、思いきって、「今、ナンドキ」と落語の時そばのように聞いた。時間は、干支の子が0時で後は2時間毎に丑寅兎辰巳と進んでいくことは知っていたので、思いきって聞いてみた。

意外と通じるものだろうと、安易に言ったが全く反応なしで、顔を見合わせてしばらくしてから、何かわかったように「もう直ぐ日が暮れる」と一人が言った。

辰夫は、以外に彼らの勘がいいのに安心した。言葉の通じない国に言って、右も左もわからない場所で話せるようになるまでには、要するにお互いの勘のよさが決めてであることが、その国の言葉を覚えるコツであるように思った。

辰夫は、彼らのとっぴよしもない求婚の申し込みはあっさりと断って、何処かへ行こうと考えていた。少しずるく、今、出されているこのひろき餅と言う食べ物は、あっさりしていて食べやすい、今食べておかなければ次は何時食べられるかわからないのでしっかり食べてから彼らから離れようと決めた。

彼らは、なかなか能天気な雰囲気で色々話をする。その中で辰夫が気になることは、平家のことである。

ここ福原の町では平家の威光が多く残っているようで、一旦木曽義仲に敗れ九州にまで逃れた平家がまた勢力を盛返し、この平家の都である福原に戻って来た事は、「やっぱり、平家は強い、」と周辺の国々に思わしたようである。

衛府には周辺の国司や豪族が押しかけ、この機会に勝ち組みに便乗し名を成そうと来ている。これらの武将は少しでも目立つところで戦働きをしたいとの思いで、直接平家のお屋敷に自分を売りに行くのである。彼ら猟師も他の国司や豪族と同じように、この機会に一旗上げて京へ上ろうと考えていたのである。そういった者達で福原の町は人が溢れかえっており、その中に辰夫が飲み込まれている。

猟師達が話す平家のことは、平家が勝つことが前提とした話で、源氏は平家を恐れ、京を立つことが出来ない、頼朝は東国から平家を恐れて出てこないと言った楽観的な話しをしている。猟師達の話はおおよそ福原の町というより、難波から西側での予想であるらしい。

辰夫にしてみれば一の谷の戦いは、義経の鵯越の奇襲で平家が一気に崩れ、敗れることになっている。辰夫の前で話している猟師達の話しを聞いているとなんだか平家が勝ちそうな雰囲気で、結果を無視した想像が辰夫の頭をよぎった。

辰夫にしてみれば「いやいや、そんなことはない、平家が負ける。」と思いなおしているのである。辰夫は何時までも猟師達の話しに付合っていられない。頃の良いところでこの場所から離れなければならない。ただ、猟師達の話しに所々相打ちを打っている間に猟師達は、辰夫が小夏と夫婦になることを了解しているものと感じているようで、それが辰夫にひしひしと分かった。

辰夫は、何処で切り出そうか、どんな言葉で切り出そうかを猟師達の話しに相打ちを打ちながら考えていた。始めは気安く考えていたのに、いざ話すとなると億劫になり、心が高揚しだすのである。

言い出し損ねているうちに、頭と心は、逃げることを考える。自分の人格の中に辰夫は独り言を話す。

「いつもこうだ、どうでもいいことなら何でも話すのに、相手が少しでも不愉快に思うことだと、言葉を必死に選び、言いたいことの半分も話せない。そしていつも間にか勝手に相手が言わなくても分っているだろうと話すことから逃げてしまう。」

辰夫は今度も頭と心が、自分自身に話さなくてもすむような、何か都合のいいことはないか考え出し、そのことから逃げようとする。

こんな経験は、今までに何度か会った。いやなことから逃げ出したいときいつもである。辰夫はそんな自分の弱さを知っているし、今までそんな弱い自分を克服できたことは一度もない。

追い詰められると、それに流されていく。話しが続くにつれ、時間が経つにつれ気が弱くなる。辰夫自身「今回も、」と思ったとき、猟師の兄貴と呼ばれている者が小夏に「祝言は何時にする。」ととんでもないことを言った。

辰夫は完全に後戻りできない状況に入った。猟師達はここで話しているときは危険を感じることはないが、いざ猟師達に敵対すればどれほどの牙をむくのか。

「ここで猟師達の怒りをかうようなことがあってはだめだ。」と理由を付け自分で自分に言い訳を見つけた。

それでも、「もっと早く断っておけば良かった。」と思って煮えきらずにもじもじしている。

「小夏が、「いや」と言ってるよ、」とあまり話さない一番下の弟、三郎が返事をした。

辰夫はほっとした。まさか向こうからの話しで、向こうから断ってくるとは思いもよらなかったからである。

辰夫自身今までの心の高ぶりが「すうー」と引いていくのが分かった。良かった、本当に良かったと何度も心でつぶやいた。

「小夏、本当か、こんな話二度とないぞ、」と次郎が小夏に向かって言った。

猟師の兄貴各のものが「頭に話そう、頭は、小夏をいいところの家に嫁がせたいと、そればっかり言っていたんだから。頭に言わすと鷲尾家は清盛侯から直々に村長を授かっている。今回のことにしたって、おら達に戦に行って手柄を立てて都へ上れと言っていう事聞かなかったからな、」

辰夫は、

「おいおい、この子がいやといっているのだから」と心でつぶやいた。

一郎が、

「お前さん名前聞いてなかった。なんて名前だい。」

辰夫はそれなりの名前を考えていた。何時かは名前を聞いてこられると思っていたからである。

「私は、平居辰朝、琉球国司平居辰朝です。」

完全な、でまかせで、辰夫の夫の代わりにこの時代良く使われる頼朝の朝を拝借したのである。琉球は平家の薩摩守平忠度の屋敷で言ったでまかせの続きみたいなものである。

猟師は、「やっぱり、公家だぜ、国司だろ、」分かっているようで分かっていないようで、嘘をついた辰夫も実のところ分かっていない。国司が、公家なのかどうか、両方とも分かっていないのに、お互い分かったふりをして、会話が続いているのである。

猟師にすれば、何々家の血筋と言う肩書きが欲しいようで、その根拠さえ示せればそれでいいのである。そのための辰夫であり、辰夫の容姿や言葉使いが公家らしきものであれば、村のものや親族一同は信じるのである。

現に連れて帰ろうとしているこの猛者達もなんとなく信じているのである。連れていかれようとしている辰夫は、そういう訳にはいかない。調子に乗って名乗ってしまった以上いまさら、「嘘です、」とはいえないし、また、ここでもじもじしていると直ぐに、猟師のペースに流され逃げられなくなる。

言いたいことが言えない辰夫であったが、黙っているわけにはいかなくなったのである。

何度も息を吸って、分かれる言葉を捜していた。この場から去ろうと考え、名案が思いつかないまま、「御馳走になって申し訳ありませんが、私は行かなければならない所があります。これで失礼します。」とそんな言葉しか出てこなかった。

この言葉に対して、いとも容易く猟師の兄貴分である一郎は断った。

「そうはいけねえ、もう暗くなる、宿はねえだろ。今夜はここで泊まって行け、明日、朝に鷲尾山に戻って親方に聞いて見る。一緒に行け。」

彼らは、気が良さそうな、何も知らない猟師ではなく、相手をしっかり観察をしており、辰夫には、言えば言うことを聞くだろうと分かっていた。

彼らの観察どおり、辰夫は黙ってしまった。


その夜は、直ぐに暮れてしまった。辰夫も猟師達と同じ部屋で雑魚寝状態になり一つの部屋で寝たのである。

みんなに宛がう部屋がないのではなく、冬の日、暖をとらなくても、一部屋に大勢で寝ることによって寒さが防げるからである。

辰夫自身猟師達と共に寝ているとき、助かったと思った。部屋で寝られたことに、ある意味、幸運であったと思った。

朝、まだ猟師達が寝ているが、辰夫は目が覚めていた。時間が分からないので正確には朝とは言えないかもしれないが、少なくとも辰夫にとって、夜、暗くなり床に入って寝て、そして起きたのである。その起きた時間は分からないが、寝て起きたのだから朝だろうと感じていたのである。

辰夫は、まだ猟師達は誰も起きていないので、そのまま寝床で考えていた。

昨日、何故こんなことになったのか考えようとして、急に小夏に声を掛けられ、その後色々なことがあり、考えることが出来なかった。

「はじめから順を追って考えよう。占い婆さんは知っていた。春一と自分がタイムスリップすることを、占い婆さんはあの時春一と自分に何を言っていたのか、思いだそう、何か手掛りになるようなことはないか、」を辰夫は寝床の中で探っていた。

あの占い婆さんは春一を始めてみたとき、歳を聞いて「ちょうど良い年頃じゃ」と言っていた。一番大切なものを取戻せるチャンスだとも言っていた。

他に何か言っていたが思い出せない。辰夫は、もっと大事な言葉を自分達に言っていたようだが思い出せそうで思い出せないことにだんだん苛付いてきた。

言葉を整理するどころか、胸の中にもやもやが溜まって、「ん、」と、つい声を出してしまった。周りをみわたしたが誰も起きてこないことに安心して、また考え出した。

「ちょうど良い年頃」って、春一の12歳の何処が良いのか、と心でつぶやいたとき、確か薩摩守平忠度邸で公家の一人に同じようなことを言われたような気がした。

春一は安徳天皇と同じ年頃でちょうど良いということなのか。「大事なものを取戻せ」とは何か、春一を取戻せということか、他に何かあるのか考えてももう一つはっきりしない。あれこれ考えて、考えて、また、胸の中にもやもやが溜まり、声を出しかけたが今度は声を呑み込んだ。はずであったが、周りがぞろぞろと起きだしたのである。

辰夫は、何でと不思議に思ったが、ただ単に朝の起床時間だけのようであった。

辰夫も同じように起床し、周りの猟師がすることを真似て、同じようにした。

猟師達は長兄の一郎と次郎が高尾山の猟師の村である鷲ノ谷村に帰り、長である父鷲尾庄司武久に平家への家臣を断られたこと、福原の町の状況、小夏の婿話などの話しをして来ようと考えていた。三郎と管六は、この茶店に残り平家の家臣になれる、良い手立てはないか、良い口はないかを探すことになっていた。

辰夫は、藁草履の鼻緒で足が傷だらけになっており、一郎と次郎もこんな柔な男を連れて山道は御免こうむりたいとの思いから、辰夫をこの店に置いていくことにしていた。

辰夫にすれば、先行きはどうであれこの時代の居場所を確保出来たことは「良し」としなければならないと思った。

十日程で戻ってくると言って一郎達は帰っていった。

三郎は、辰夫のお目付け役のようなもので、いつも辰夫について回ることになっているが、辰夫の行動範囲はたかが知れており、辰夫にいつも気をつけているほどでもないと感じていた。


その日一郎達が茶店を離れ、山へ帰っていった後、辰夫は、三郎に話しかけた。

三郎は兄弟の中では、あまりしゃべらない方で、始めてあった時、一人後ろに下がって兄達の手伝いやら、後片付けをやらされていた。もう一人の管六といわれる仲間が兄弟達とどういう関係かわからないが、三郎とは仲が良いようで、何かと三郎の用事を気に掛けており、何気なく手伝っているのが、傍から見ていても分かった。

兄達が居なくなって三郎の顔が少し緩んだように感じたのは、辰夫だけではなく管六もで、管六が三郎に「十日ほど、ゆっくり出来るな」と声を掛けていた。

「鷲ノ谷村は、遠いのですか、」

三郎は、「近い、半日もあれば帰れる。」

辰夫は不思議の思い「なら、十日も戻ってこないのは何故ですか」と当たり前の疑問である質問を三郎にした。

「他に行くところがある。」

辰夫は、あまりにも短い返事とつっけんどんな物言いに、これ以上質問はするなと言っているようで、黙った。

辰夫は、朝、粥のようなご飯と大根の漬物の食事を済ませ、猟師の店から出て行こうとした。当然散歩のような感覚で、戻ってくる予定であった。

三郎は、出て行こうとする辰夫に気づき、直ぐ「何処へ行く」と聞いた。

「街を歩こうと思って、」と辰夫は答えた。

三郎は、

「ここに居ろ」と言った。

三郎の口調は、相手の言い分をまったく受け付けないような物言いではなかったので辰夫は口答えをした。

「その辺を見て回るだけだ、直ぐ戻ってくる。」

そのとき、管六が表から入ってきて、

「辰朝様、後で一緒に出かけましょう」といって、辰夫を家の中へ引っ張って行った。

辰夫は、辰朝様と言われ一瞬自分のことと気づかず、その動作が不自然になってしまった。そのことから家の中へ自然に戻され、抵抗することも忘れてしまい、あまりにも素直に管六の言うことを聞いてしまった。

辰夫は、昨日自分の名前を「中居辰朝」と言ったことを思いだし、その呼ばれ方に直ぐに反応できなかったため、自分が何らかの形で疑われてしまったのではないかと心配になったためである。

そのあたり、辰夫の小心者が見受けられる。

辰夫は、店の奥で何もすることなく「ぼー」とする時間を過ごすことになった。

辰夫自身は、行く当てのない散歩のように言ったが 行く当てがあった。それは薩摩守平忠度のお屋敷である。春一に近づきたいという思いもあったが薩摩守平忠度の屋敷まで行くと何か手立てがあるのでは、と考えたからである。

三郎は、鷲尾家の三男坊であることは名前から想像がつく、年齢も見た目では十七・八歳というところだろう。兄達がいなくなりよけいに無口になってしまった三郎、管六がいつの間にか出て行き、店の中には三郎と辰夫の二人っきりになってしまった。

辰夫は三郎に何か話でもしなければという義務感に襲われた。黙っていることは、三郎を嫌っていると受け止められるようで、居候の身分となった辰夫にとってお尻が落ち着かないのである。

だからついつい考えもなしに話しかけてしまった。

「この時代は、若者が多いね、」

三郎は、いきなりわけの分からないことを話しかけられ怪訝な顔で辰夫の方を見た。

「しまった、」と思ったがたかが十七・八の少年である。辰夫は、そのまま一気に話し出した。

「この、福原の町は若いのが多いね、」

「平家が来たからだよ、それまではこんなに賑やかじゃなかった。平家が来て、あんたが乗ってきた宋の船や商人を連れてきたから、ほら見ろ、港にあんなに平家の船が浮かんでいる。それに源氏との戦が始まるということで、一旗挙げようと食いつぶれの国司や豪族が集まってきて、」

三郎は、そこまで言って自分もその食いつぶれの豪族などと同じようなもので、この源氏と平家の戦いに乗じて一旗挙げようとしている一人であると気づいたのである。

辰夫は、この若者の歳が知りたくなった。このしっかりした若者は幾つなのか、

「三郎さんは、幾つですか。」

三郎は、この辰夫の少し変わった、やさしい話し方が気に入っており、ついつい答えてしまう。

「十八だ、もう一人前だから、兄貴達の後ろばかりついていけね、」

「猟師ではだめですか」就職時の面接官のように辰夫は聞いた。

「山では大人数は無理だ、だからといって米は急に作れね、急に百姓は無理だ、男だから今一旗挙げなければ、」

三郎は、三郎で兄たちには引けはとらないつもりでいた。

「福原には三郎さんと同じように、一旗挙げようとする人たちが溢れているようですけど」

「そらそうだ、今度の戦で勝つのは平家だ。負けるとわかっている源氏に行くのはアホのすることだ。まず、数が違いすぎる。それに勢いが平家にはある。お前も見ただろ、薩摩守様のお屋敷、港の船の数、源氏は船ももってねえ、」

「だからといって、源氏が負けるとは限らないのでは、戦の勝ち負けは時の運とも言います。東国から多くの武将が来ることもあるのでは、」辰夫はタイムトラベラーとしての常識として歴史に影響を及ぼすことは、絶対に言ってはいけないことぐらい分っていた。

「だから、兄貴達が京まで行っているのさ」

と言って、三郎はいらぬことを言ってしまったと思い、急に話すのをやめてしまった。

辰夫は、急に三郎が話をやめてしまったことが少し不快に感じた。きっと自分が源氏贔屓のように聞こえて、ある意味、平家に仕官するつもりの三郎からすれば平家が負けるという不安材料を上げるこの公家のような者を嫌ったのだろうと思った。ただ、京へ一郎と次郎が行っているということが少し気になった。

辰夫にしてみれば、この戦必ず源氏が勝つことになっている。そうでなかったら歴史が変わってしまうではないか、自分が記憶している歴史物語の枝葉はいろいろなところで異なっているだろうが、源平合戦の一の谷の合戦で平家が勝つなどありえないと信じているのである。だからついつい源氏が勝つという前提で話してしまう。

三郎がうつむいてしまい、話すのをやめてしまった時、店の表から戻ってきた管六が三郎に変わって話し出した。

「辰朝さん、この福原の街は始めたか、確か宗の国の船に乗り損ねて帰れなくなったって言っていたけど本当か、」

辰夫はお調子者のようである管六が苦手なタイプであった。どうもずけずけと人の気も知らず話し掛けてくる。しかし、今の自分の立場から考えるとそれを拒むことは出来ないからとりあえず答えなければならない。

「その通りです。ですからこの街も始めてです。」と言って、ついでに「この時代も始めてです。」と言いたかった。

管六はじっと部屋に居ることが苦手なようで、かといって自分一人でうろつくのも面白くないようであった。

「三郎ちょこっと港まで行ってみねえか、平家の船がどれくらい集まっているか見に行こう。」

三郎は自分の役目は何かわかっているため、辰夫を一人置いて行く訳には行かないことを管六に言った。

「三人で行こう。辰朝さんも街を見てえはずだ、そうしよう。」

三郎は、管六の強引な誘いに対して断る理由がないように思えた。辰朝という男は確かに得体の知れない者ではあるが、信用できる男に見えていて、黙って逃げていくような男には思えなかった。

結局、三人で福原の町を歩くことになった。

辰夫は、冬に晴れた透き通った空気中に身を置いたとたん、自分の置かれている状況を完全に忘れた。

真冬であるのに、薄着であるのに、寒さをあまり感じない。福原の街は街である以上、人が作ったものであるのに、人口的な建物や立ち並ぶ木々を含めた全てのものが自然そのものに感じていた。三人で歩きながら見るもの全てを辰夫は三郎に質問した。

三郎は、この不思議な男の一つ一つの質問に丁寧に答えていたのである。三郎自身、いつも兄達の影に居ることで失われていたものが、この男の質問に答えることによって何か、自分自身に自信がついてきたのである。

人にものを教えることは、自分自身相手が理解できるよう話に工夫が必要になってくる。それがうまく伝わると、気持ちがいいもので、うまく伝わらなければ次へと工夫する。三郎はまさにこの循環にはまってしまったのである。

相手の辰夫は見るものすべたが質問の対象である。質問する材料には事欠かないのである。

港まで来て見て管六が、自分とは全く関係がないのに「すげえだろう、これ全部平家の船だ。これだけの船を持っている平家に一隻も船を持っていない源氏が勝てるはずがない。どうだ、」

辰夫も確かに船の数のすごさに圧倒された。ただ、船では京へ行けないと思って、言おうとしたが、この街の中では言うべきではないと直ぐ思いなおした。

辰夫はここまで質問ばかりしていたが、海を見て少し文明の知恵をひけらかしたくなり、二人に質問をした。

「海は何故、曲線を描いているの」

二人は、あまりにとっぴよしもない質問に慌てて答えを探した。

辰夫の文明の知識はこの時代の人には理解を超えているものである。結局二人は分かったようで分からないのであるが、キリスト教的絶対神のない日本人には宗教的な否定がないことが幸いして、辰夫は二人から天才的な知識の持ち主として敬意を受けることができた。三郎と管六は、今までの生きてきた世界では感じられなかったものを辰夫と一緒に過ごすことで新鮮な風を感じたのである。

この日から辰夫は三郎達と一緒に居ることに何ら抵抗感や束縛感はなかった。

お目付け役でもある三郎がそういった思いで辰夫と接していないことに原因がある。そして、三人は、毎日のように連れもって福原の街を歩いた。

辰夫は、三郎と管六と何時も一緒にいることで親近感を感じ、辰夫にしてみればいつのまにか二人はこの時代の唯一の相談相手になっていた。

もちろん、辰夫が三人で連れもって歩いているからといって、春一のことを忘れていたのではない。街を徘徊するコースにはいつも平家の武将の屋敷周りや、雪見御所周辺が入っており、平家の偉い所に仕官したい三郎達の思惑とも一致している。仕官の口はないか歩いている二人の猟師と変な大人の取合せは、何やら奇妙な感じのものであった。そのためか、平家がお高くとまっているためか、いい話は全くなかった。

辰夫は、三郎に何でも話すようになっていた、ある一線を越えては、いないが。

「何故、平家屋敷ばかりに仕官の口を探すのですか、」

三郎は、辰夫から何故平家への仕官するのか何度か聞かれる。

「おら、どちらでもええ、勝つほうであったらな、しかし、勝つのは誰が見ても平家じゃ。本当のことを言うが、今兄貴達は、それを確かめるために京へ上っている。」

「もし、京へ行った二人が、源氏が勝ちそうだと想ったらどうしますか。」

辰夫は、何か意味深な物言いで言った。

「そら、わかんねえ、ただ、辰朝さんを源氏の土産に連れて行くかもしれねえ。源氏から見れば、辰朝さんは平家ゆかりの人みたいだからな、…・嘘だ、心配すな。」

辰夫は、まんざら嘘ではないのではと疑ったが、

「もし、兄貴達が辰朝さんを餌にしそうだったら、おらが守ってやる。」

辰夫は、良い心持ちになったが、17・8歳の小僧に守ってやると言われ若干複雑な気持ちになったが、仕方ないかとも思った。

この時代自分で自分を守れないことぐらいわかっていた。

辰夫は三郎が何故自分を「助けてくれる」と言ったのか、聞いた。

三郎は、言った。

「辰朝さん、もともと公家さんかなんかの偉い人なのだろう。なのにおらみたいな猟師に対しても丁寧だし、色々なことをおらに真剣に教えてくれてる。そんなもん何処にも居ねえ、偉えやつはみんな一緒だ、辰朝さんは違ったからな」

辰夫はこの一週間程の間の三郎達との過ごしてきた日々を思い起こした。そう言えば地平線の話から始まって何かと面白い現象を話していたなと思った。自分は面白おかしく話ながら少しでもわかってくれたら良いと思って話していただけであるが、相手には色々な感動を与えていたのかと、三郎の方を見た。

辰夫は、この男を今度の戦で負ける平家に就けてはいけないと考えた。


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