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後悔しない事を願っています。
友達のヒカルは真面目。
俺は不真面目。
だから自然と授業の態度が変わってくる。
ヒカルは教室で先生の話を真面目に聞いている。
俺は普段は開かない屋上の鍵を開けて、サボっている。
タバコを吸いながら。
「何で皆はこれまずいって言うんだよ」
タバコの銘柄はラッキーストライク。
好きな人は好きで、嫌いな人は嫌い。
俺は多分依存しているんだと思う。
屋上から見えるグラウンドには3年1組の生徒がいる。
なぜ3年1組なのか分かったのは、秋口 瑞穂がいるから。
学校で一番優秀な生徒。
そして学校で一番美しい。
そういう評判だ。
屋上の扉が開く。
俺は来た人物が誰なのかわかる。
「いっつも何でお前は屋上に来るんだよ、はっきり言ってうざいぞ」
「あなたはいつも他人に冷たいわね」
落ち着き払っている。
相手の名前は綾。
学校で3番目に優秀な人物。
いっつも俺を気にかけるうざい奴。
ちなみに綾はヒカルが好き。
「何で力があるのに使おうとしないの?」
こいつはいつもこんな質問をする。
だけど俺の答えはいつも決まっている。
「俺の自由だろ」
嘘じゃない。
決して嘘じゃない。
綾は、ため息をついて俺の横に座る。
「うざい」
本当にうざいのだ。
こいつはヒカルが好きなくせに俺を異常なまでに気にかける。
もしかしたら俺を通じて、ヒカルの好感度アップを狙っているのかもしれない。
「授業あんだろ、戻れよ」
「あなたにだけは言われたくないわ」
綾は呆れ顔。
そりゃそうだ。
「うるさい、ヒカルに嫌われるぞ」
「そんな事であの人は嫌わないわ」
そんな事分かってる。
恐らく俺が一番ヒカルを分かってるのだから。
あいつの親よりも、あいつを好きな奴よりも、あいつの友達より。
「それとタバコは止めなさい」
これも毎回言ってくる。
もちろん止めるつもりは無いのに。
「嫌だ。俺がこれを止める時は俺が死ぬまで来ない」
当然。
「それはあなたにとってそんなに大切な物だとも思わないけど?あなたの一番大切な物はあなたの腰に差してある刀でしょ?」
「当たり前だよ」
その時チャイムがなる。
なんだかんだ言ってもこいつとは気が合う。
うざいけどいつも最後まで喋ってしまう。
こいつはヒカルを好きな奴の1人。
進みません。物語は進みません。まだです。