予感
「で、どーだったよ」
「どうって……何がですか」
「何がじゃねーよ。誰が一番よかったかっていうお前の率直な意見だよ」
「いや、誰がって言われてもそんなのもうちょっと関わってみないことにはわからないでしょ」まあ、水戸さんが一番印象よかったですよ、と付け足す。
「あの、先輩。こんな大事な事を人と決めていいんですかね」
「大事な事だからお前にも考えて欲しいんだよ」
な、といって肩を叩かれた。
じゃあ先輩はどの子が一番いいのか、と聞いてみたら簡単にわからない、と答えてきた。
俺より3人との時間が長いくせにどうして選べないんだ。3人のことを全く知らない俺が3人のことをよく知ってる先輩より答えが出しにくいのが……。
そこまで考えて自分の間違いに気がついた。
先輩はよく知ってるからこそ。3人の悪いとこも良いとこもわかっているからこそ選べないでいるんだ。
けど同時に苛立ちも生まれた。
浮気なんてする先輩が悪いのに、その責任を俺に押し付けようとしている先輩に苛立った。
その時突然ポッケの中で突然ケータイが震えたもんだから少しびっくりした。
そして、なぜか妙にはっきり感じ取れたその震えは大事なものだと思わせた。
「先輩、そろそろ次の講義始まるんで、行きますね」
「ああ、またな」
ケータイを開いてみるとメールが一件。篠田さんからだ。