水戸さん
講義が始まるまで大学に早く来てしまった分暇になってしまった。
まだ講義が始まるまで1時間もあるのにぶらっと歩いてきたからもう講義に行く以外で動く気力はなかった。
適当なベンチに座って首を後ろにかくんと落としぼーっとしているとなんだか雲の動くのがゆっくりに感じた。
「何してんだよ」
首をあげて声のした方を見ると先輩がいた。
「先輩こそどうしたんですか?今日講義ありませんよね?」
「いや、なんか臨時でやることになって」
「はぁ、大変ですね」
「本当だよ」
「先輩今日は誰かとデートするんですか?」
「いや、今日は予定ないけど」
「珍しいですね」
「そりゃ3人もいればな」
ふと俺はわかりきっている質問をしてみたくなった。
「先輩って篠田さんと最近どうですか?」
「あってないな。そう言えば」
そう言えばか。俺は昨日彼女と寝たというのにのんきなもんだ。
「じゃあほかの2人とは?」
「春香とはしょっちゅう会ってる。つか向こうから来るんだ。秋もまあ少しは会ってるよ」
「じゃあ篠田さんはもう対象外ですか?」
「そんなわけあるか。アホなこと言うな」
先輩のアホの中に彼女を感じてしまい、心に黒いもやがかかった気がした。
「篠田さん、可愛いですよね」
「何?お前明香理推しなの?」
「推しって、アイドルじゃないんだから」
「あいつはやめといた方がいいぞ。正直手に余るしな」
「じゃあ篠田さん誰かに取られても困らないですね」
「だからアホなこと言うなっての」
そんじゃあおれ午前で終わりだから帰るわと言った校門のほうに歩いていった。
その先輩の姿をぼーっと眺めていると先輩に話しかける女の人がいた。
うちの大学にあんな人いたっけなと思ったがよく見るとそれは水戸さんだった。
どうやら先輩を見ている限り水戸さんがいることは先輩も知らなかったらしい。
そのまま先輩は水戸さんを連れて大学の門を出ていった。




