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温かい明かり  作者: 松田
10/18

不意な訪れ

俺の駅から2つ。駅を出て徒歩10分の所に伯父の手伝いをするため朝からかり出された。

伯父さんは昨日の夜、突然電話してきて腰が悪くなったから家業を少し手伝えと言ってきた。

バイトを雇う金はもうないらしくもう何年も前から何かあるとこうして伯父さんの近くに住んでいた俺の家族の誰かがかり出された。

小さい頃、父に伯父さんのところへ連れて行ってやると言われ何度も来て、自然と仕事のやり方を覚えてしまったらしい。父の思うつぼなのが癪に障る所ではあるが伯父さんの所は子供の頃の俺には新鮮な場所で俺自身伯父さん所に行く日を待ち望んでいた。

「幸ちゃん、そっち頼めるか」

「わかりました」

確かにもう腰にもくる歳だろう。親戚の集まる席では毎回決まって、おれもいつまでネジ締めてられるかわからねーから幸ちゃんよろしくなと伯父さんは言っていた。それでもしぶとく未だにネジを締めている。そろそろ跡継ぎを決めねーとなと言うのも何度も耳にしたが一向に跡を譲らず現場で頑張っている伯父さんは少しかっこよくも見えた。

そんな伯父さんも今でこそ1人身だが昔は奥さんがいた。歳が20も離れてはいたがそんなことを気にしない奥さんに子供の頃の俺は好感をもった。

奥さんが子供嫌いということで作らなかったらしく子供こそいなかったが2人は幸せに見えていた。しかし、伯父さんが定年の歳になり保険金を受け取れるようになった途端、奥さんは伯父さんを裏切った。定年してすぐ後になんの脈絡もなく離婚届に判を押させようとしたらしい。もちろん伯父さんは食い下がったらしいがとうとう裁判にまでもつれ込み伯父さんは多額の賠償金を奥さんに払うことになってしまった。子供ながらに俺は奥さんが伯父さんに何か酷いことをしたんだと理解して奥さんを憎んだ。

伯父さんの所の機械はいくつか差し押さえされてしまい、伯父さんの所に降ってきた借金はなかなか返せるものではなかった。そんなんだから給料を払えない伯父さんのとこらから何人もの人が去っていって残ったのはほんの数人になってしまった。

その時から、まだ体は動くんだと自分の体に鞭を打って伯父さんは再び働き始めた。

最初の頃は親戚も何人か集まり伯父さんを支えていた。俺も集まった親戚のうちの1人だったがまだ仕事ができるような年ではなかったので遊んでこいと言われよく父に邪魔者扱いされていたが、そんな逆境に立たされても働いている伯父さんの姿はずっと見ていた。本当にかっこいいと憧れて、小学校の作文では何になりたいかと言うテーマでみんなが野球選手やケーキ屋さんと書いてる中で俺だけが伯父さんとかいて笑われた。

だからだろうか、労働というものは疲れるけれど伯父さんの所で働くとなんだか気分がよくなる。

今行ってる大学を卒業したら伯父さんのところで働くのもありかもしれないと密かに思っていた。

「おう幸ちゃん、そっち終わったら次こっち頼むわ」

「はーい」

何本もネジを締めていると仕事の終わる時間になっていた。

「おう幸ちゃん今日はありがとうな」

「いえそんな、こっちだってお金もらってるし」

「明日も暇か?来てくんねーか?」

「明日は大学の講義があるんでちょっと」

「そっかあ、幸ちゃんも大学生だもんな、頑張れよ」

バンと肩を叩きニッと歯を出して笑う伯父さんにはとても老いは感じなくて安心した。

「それじゃあ伯父さん」

「おう、またな」

伯父さんの所をでて、まっすぐ駅に向かって歩いた。途中で街灯に我が何匹か集まっているのを見ておえっとなった。

俺は虫がどうにも苦手で特に足のない虫と悪いイメージが目立つ虫はダメだった。

人間でもあいつが嫌いだと言うとあいつはいいやつだよと反論する奴がいるがそう言う事ではない。良い悪いじゃなくて好き嫌いの問題だからどうしようもないのだ。

街灯が立っていない側の道をしばらく歩いていると見慣れた姿の女の人がいた。気の所為かと思って近づいて見ると、やっぱり気の所為なんかではなくその人は篠田さんだった。

「偶然ですね、こんなところで会うなんて」

「あ、幸太君。夜中に突然女の人に声かけない方がいいよ。通報されるから」そんなことを言って彼女は笑うと、うちこない?ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけどと言った。

「いいんですか?この前のは仕方ないとして先輩だって誘ったことないのに」

「いーのいーの。幸太君はもう私の部屋に入ったから関係ない」

それを聞くと心なしか気分が良くなった。

「そうですか、それじゃあ遅くなるまでには帰りますけどそれまでは」と言って篠田さんの誘いに乗った。

電車に乗って篠田さんの家がある駅まで行って篠田さんの家に行く途中、彼女は夕飯の買い物がしたいというので近くのスーパーに寄った。

彼女の家が近づく度に、俺の心臓はだんだん速く動くようになるのを感じた。

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