表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

三題噺いろいろ

旅立ちの日 - 内定、公園、野球 -

作者: 星野 雫

 これは、とある三題噺専門のサイト(今はもうありませんが……)でもらったお題です。そのサイトに投稿したものを書き直しました。大筋は変わってないのですが、細かいところでは結構変わったと思います。また、文字数は1,000文字ちょうどとしています。

 それにしても、投稿する時、これはどんなジャンルなんだろう? と大分悩んで、結局わからなくて、もーいーや! と『その他』で投稿しました……。



 今、僕は住み慣れた町を散策していた。

 変わらない小学校への道。 変わってしまった小学校。

 いつの間にか、家の近くの公園のベンチに座り、ぼんやりと公園で遊ぶ子、行き交う人たちを眺めていた。この公園はほとんど変わってない。

 何をどう考えればいいのか、何だかうまく考えがまとまらない。何を言ってるのかって?

 実は、僕は、明日、この町を出ることになったんだ。

 僕はずっとこの町で暮らしてきた。大学も、片道二時間の通学に耐え、この町から通いとおした。きっと就職しても。そう思ってた。ずっと、おそらく一生、この町で暮らすんだ、と。

 別に、そうすると決めていた訳じゃないけど、何となくそう思ってた。

 昨日までは。


 どうしてこの町を出ることになったのか、と言えば、就職のためだ。僕を雇ってくれる会社が、とてもとても遠い場所にあるからだ。

 今年の就職は困難だった。言われてはいたけれど、少なくとも僕の想像を超えていた。一年をかけた就活で、これまで、一つも内定の連絡は来なかった。

 けど、昨日になってやってきた連絡は、内定を通り越して、即日の採用通知だった。しかも、その翌日から即戦力になって欲しいから、移動中に仕事を教えるために迎えをよこすと言うのだ。

 正直、戸惑った。

 嫌なのかって? そんなことはない。

 自分で望んだ会社だ、入社後のことには希望がある。


 あまりの展開にびっくりしてるだけかもしれない。



 いつの間にか、公園ではちびっ子たちの野球が始まっていた。思えば、僕もよくやったもんだ。それが高じて、中学でも高校でも野球部だった。レギュラーをとれるほどじゃなかったけど、でも、楽しむことができた。それも大学への長い通学時間と引き換えに止めてしまったけど。

 ふと、公園の反対側に、同じ様に野球を眺めてる女性がいることに気付いた。

 そうだ。僕が野球を始めた理由を思い出した。近所の女の子に誘われたんだ。「さ、野球するわよ」って。 彼女は、僕の返事なんか待ってなかった。

 まったく……。 彼女には逆らうことなんかできなかったな。

 でも、後悔なんてまるでない。本当に楽しかったから。

 あぁ……。 そうだ。今さらだけど思い出した。

 何が楽しかったのか、そして彼女に逆らうことができなかった理由を。

 もう、苦笑いするしかない。

 明日、この町を出るって言うのに、ホントに今さらだ。



 でも、その時の僕は知らなかったんだ。

 翌日、僕の前に現れた案内人が「さ、仕事するわよ」なんて言うことを。






 書き直し始めたときは、最初はちょっとだけ、と思ったのですが、いつの間にか全面改稿になってしまいました。出だしは同じですし、共通する記述はありますが、かなり違う感じになりました。旧作は私のHPで掲載しています。もし、興味があれば、お願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ