一時の休息
いつも読んで頂きありがとうございます!作者本人の都合もあり少し更新が遅くなってしまい申し訳ないです。しかしそれでも読んでくださるというのはとても嬉しいです!どうぞ今回もお楽しみください。
ルナとムウが部屋を去った後によく考えたのだが、そういえば状況が状況のせいで森の事以外にも色々な疑問点が残っていた。
まずルナの不死身の体質、次にルキアの血濡れたナイフと触手…
ルナの体質はルナが持っている能力で、ルキアのナイフは今までの冒険によるものだと何となく察する事ができるし、特殊な時以外森が夜にならない現象のことは後で二人に聞くとして、触手に関しては予想もできない…とても不思議に思うので、せっかくだから聞いておこう。
「…そういえば、ルキアさん。昼のあの触手ってなんだったんですか?貴方は人間じゃないんですか?ちゃんと街に入れてましたし。」
「…あ。……。」
「…いや?俺人間だけど?」
「今の間は絶対に違うっていう間でしたよね!?」
「…まぁ、またいつか話してやるよ。わかってくれ。」
「?そういうことなら…?わかりました。いつか話してくださいね。」
なんだかそのルキアの表情はいつもではありえない、すごく苦しげな表情だった。
本来、触手や獣耳、しっぽなどは他種族しか生えない特別な物である。
それぞれの種族には、必ず目に見えてわかる特徴がある。…まぁ人間は例外だが。
例えば、ルナやラナ等の獣人は音をくまなく聞き取るための長いエルフ族のような耳の他に、センサーの役割を果たすための、別の大きな獣耳が頭についている。他にも、龍人と呼ばれる種族(といっても、もう既に滅んだとされる)だと、大きな角と立派なしっぽが生えていると言われている。
また、もし仮にルキアが人間だとしても、触手を出す、いわゆる「召喚術」は大魔導師でもない限り、魔力の保存容量云々で使えないはず。
このことと、先程のことをふまえると、ルキアは人間じゃない可能性が高い。しかし。
それならば「俺は人間じゃない」と告白すればすむ話なのだ。なのに。ルキアは告白しなかった。それどころか苦しげだった…一体なぜ?
そう考えていたら下から美味しそうな匂いが漂ってきた。部屋のドアが開かれる。
「はいはーい!!あらかたご飯出来たよ!!はやく降りてきてね!」
「あっ、はい。ありがとうございます!」
「俺もう腹減って我慢出来ん!!!」
そう言ってルキアは先に下へ降りてしまった。後を追いかけるように自分も下へ降りた。
なかなかスリリングな外付けの階段を降り、玄関らしきところの前を見ると二人が外で料理を作っていた。
遠くから見たところ、吊るされているのは…背中に草の生えた鹿?そしてまな板の上にあるのは…透明な魚!?
他にも様々な特徴的外見を持った生物が調理されている。しかしどれも自分たちのところで食べているものの面影はある。そんな奇妙な状況に驚きながらも、階段から足を滑らさず無事に地面に降り立った。
「おお、来たかリリナ。今魚を焼いているからもうちょっと待ってて欲し…あ、やべ。」
「ちょっとルナ!目を離したらたらダメでしょ!!しょうがないからこの魚は私が食べます。」
「別に俺が食べるからいいんだけど…」
「おい、そんなこといいからちゃっちゃと仕上げ終わらせようぜ。」
皿を並べるルキア、魚を焼くのを失敗したルナ、失敗をカバーしつつテキパキ仕上げを進めるムウ。これはもしかしたら自分も手伝った方がいいのかもしれない…そう思っていたら既に準備が終わっていた。
「リリナちゃんはそこに座って!」
「わかりました。ありがとうございます!」
地面に横たわった丸太に座る。丸太の表面のコケが良い感じにクッションとなっている。隣にはルキア、向かいにはルナとムウが座った。
「じゃあ揃ったし、皆で食べよう!」
「はい、いただきます!」
「…そういえば人間の食卓ではいただきますと言ってご飯を食べるのが作法だったか。いただきます。」
「へぇ、そんなのがあるんだ。いただきます!」
「いただきまーす。」
読んで頂きありがとうございました!物語が面白くなくなると判断して、過去の追憶編は一旦更新を中止致しますが、次回もよろしくお願いします!