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ウェルズギメア  作者: 川崎 しめじ
茂る生命の祝福
4/13

遭遇

今回から新章突入!ぜひ楽しんでください!

鳥の歌声、川のせせらぎ、木の葉の擦れ合う音…まさに理想と言える森。


ここは''茂る生命の祝福''が安置されるというノルフォ樹海。私の国から見て、南東辺りに位置している。

ルキアと私は、戦力や難易度を考慮して最初にここに訪れることにしたのだが、この樹海の名前になっている「ノルフォ」は「怪物」を表す言葉だったはず…そんな不安と違和感を覚えながら、道無き道を進んで行く。


「なんか、とにかく暇になるな。ここ。敵も出て来ねぇし、逆に面白くねぇな…」

「いや、敵は出てこない方がいいと思うんですが…」


ザザッ


くだらないことを話していたら、突然上の方から音がした。見上げてみるが、木と木が重なり合って、よく見えない。


「おい!前見ろ!!!」

「…えっ!?」


シュッ

ガギン!!


この場に似合わない鋭い金属音が鳴り響く。

私に飛んできた槍を、ルキアが跳ね返した。


「チッ」

「っ!!おい危ないだろ!誰だテメェ!!!!」


ルキアがそういうと、前方に誰かが現れた。

空色の結った長い髪に、少し尖った耳と獣耳、しっぽ…どうやら獣人の女性らしい。

片方の黄色の目が水晶のように光る。


「誰だというのはこちらのセリフだ。…どうせお前ら密猟者だろう。せっかくだから懲りるまで叩きのめしてやる!」


そういうのも疎かに。いきなり襲いかかってきた。


「…これでは説明も聞いてくれなさそうですね…!」

「そうだな。よし!!聞かせれるところまでボコボコにしてやる!!!リリナは下がってろ!!」

「はい!!」





キン!ガッ!!


先程から、刃と刃の擦れ合う音が鳴り響くいている。

ルキアは、ナイフでその人に応戦しているが、相手は槍。なおかつその人はとても素早く、武器の相性も相まってか、ルキアはどちらかというと押されていた。


「チッ、これじゃぁまるで歯が立たねぇって…はっ!?」

「おい!お前、足切り落としたのにもう再生してんの!?!?」

「まぁ、そういう能力だからな。」

「は!?チートかよ!?!?」

「俺も思った。」

「ざっけんな!さっさと倒れとけこのっ…バケモン!!」


ガッ!ドゴッ、


互いに身を削りあうせいで、血飛沫が舞う。

しかし、その度に両方の体は再生していく。まさに終わりがないように見えた…が、


突如として終止符は打たれた。



「ッチ…!オラッ!!!!これでも喰らっとけ!!!」



ザシュッ


その人は腹部を凄い勢いで切りつけられたせいで、少し体制を崩した。しかし、その人はそれで倒れるような人では無いのですぐ直そうとする。


「ガッ…」

「いまだっ!!!!」


ドッ


突如、ルキアの背中から刃物のような触手が出てきて


「…っ!?」


グシャッ


一瞬でその人を串刺しにした。



「ガバッ…!!」



当然すぐ復帰できる訳もなく。その人は地面に崩れた。


激戦の末、その人は地面に血の池を作っていた。息は一応しているので、多分大丈夫だろう…多分。

一方ルキアは、というと


「っ、はぁ…はぁ…」


今にも死にそうな目でヨロヨロと支えを探している。


「ルキアさん!?!?大丈夫ですか!?」


とりあえず駆け寄る。今はまず、ルキアの心配だ。


「…はっ…はっ…、おう、気にすんな。大丈夫だ。」


大丈夫…というにはボロボロすぎる体。

特に頭と背中から流れてくる血が痛々しく、お得意の再生能力も先程とは打って変わって、著しく低かった。


「何も大丈夫じゃないでしょう!?とりあえず今から治癒魔法で治します。大人しくしてて下さい!」


「…おう…すまん。頼むわ…」




「…いててて…」

「だいぶ治りましたね。すみません…治癒魔法も完全じゃないので…」

「いや、お前にしては助かった。あざす。」

「ほんとにそう思ってます??」


「…おい。」


突如、先程の人が立ち上がって話しかけてきた。

その人は、とにかく血濡れで酷い有様になるほど…他生物なら致命傷と言わんばかりな怪我をしていたのに、この1時間ですっかり跡形もなくなっていた。正直怖い…


「…あ?まだやんのか??」

「ちょっ、ルキアさん!まだ立たないで下さい!!!」

「誤解するなチビ。俺もお前の攻撃が完全に治ってる訳じゃなくてな。その傷が治るまでお前らの事情とやらを聞いてやる。」

「…随分と上から目線だな?」

『ルキアさん!今喧嘩を売るのは避けましょう。勝ち目が無いです!』

「チッ」

「…はぁ、不法侵入したのはそっちだろう。」

「は?」

「え?」

「いや、しらばっくれるなよ。最近ここらの森で珍しい動物を狙ったお前らみたいな密猟者が許可なくこの森にたち入ってくるんだ。そいつらはこぞって、お前らみたいに目立たないところから入って来るもんだから、いつもこうやって見つけ次第叩きのめしてから話聞いてんだよ…その首謀者に説教するために。まぁ、今回は引き分けだったが。」

「………」

「………」

「……?」

「…ルキアさん?」

「はい…」

「だから言いましたよね?」

「スミマセンデシタ」

「??すまん…状況が分からないんだが…ナンダカスゴクジャキヲカンジルシ」

「あ、すみません…実はこういう事があって…」


~数時間前~


「…入口、あるのか?これ…?」

「そりゃぁ、あると思いますけど…」

「…めんどいからこのまま入ろうぜ!」

「え!?いやダメですって!ちゃんと入口見つけてからって…あ!?ルキアさん!?ちょっと待って…」



「…ということが。」

「つまり、二人は入口探しがめんどくさいから不法侵入したのであって、密猟者ではないと?」

「…ソウイウコトデス」

「そうですね…」

「……入口、新しく幾つか作るか……なんだかすまなかった…」

「いえいえ…ほら、ルキアさんも…」

「ホントウニモウシワケゴザイマセンデシタ」

「…とりあえず自己紹介させてもらう。俺はルナだ。よろしく。」

「リリナです。よろしくお願いします。」

「ルキアトモウシマス…ゴメイワクヲオカケシマシタ…」

「いや硬いな。」

お読み頂きありがとうございました!前回に引き続きご報告で、いつ追加するのかは未定ですが、いつか挿絵を入れようと思っています。もし挿絵が入っていた時は他の話数にも入っているのでその時はよろしくお願いします!

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