再会
今回も読んで頂きありがとうございます!宣伝になるのですが、実はこの物語内で出てくる用語やキャラクターの説明を担うお話(解説)を今度出そうと思っています。良かったらそちらも読んで下さると嬉しいです
この国と外の境界部の宿に来た。
この国は人外禁制(といっても特別な条件下だと人外でも入れる)国であり、国全体が大きな壁で囲ってあるのが特徴だ。基本的に人間より圧倒的に強く、話が通じない可能性もある人外が居ない壁の中は、外と違ってある程度安全な為、冒険者やトレジャーハンターなどの人達はよく旅の合間に訪れ、このような宿に泊まりに来るという。
とりあえず話を整理したいし、一旦宿の部屋を借りよう…そう思い、入って最初に目に付いたのは
「…あ!?お前!!あん時の方向音痴!?!?」
「え?あの時の男の子!?」
「ちょっとお客さん…もう少し声の大きさを下げて…」
「あっ…すみません…」
「すんません。」
なんとあの時の少年。しかし、決定的にひとつ違うのはフードを被っていないことだった。
真紅の髪と澄んだブルーの瞳が、宿の照明の下で輝く。私は驚きからその場を動けないでいた。
「…一旦俺の部屋に来い。」
「えっ、あっ…ちょっ」
突然少年の部屋に引きずりこまれた。
「おいおい、お前…なぜここにいるんだ?まさかまた迷ったのか…?」
「いや、そうでは無いんですけど…実は国王様にお願いされて…」
「は?」
「祝福っていうもののバリアを強化しに行くんです。」
「いや正気か!?!?あんなバリア…近づくだけで死にそうなのに!?」
「?はい…どうしても断わりきれなくて…あはは…」
「……。しゃーねぇ、俺もついてってやるよ。ほっといたら危なそうだし。」
なんだかすっごい呆れられた目で見られたような気がする。まぁでも、身の安全を守れない自分にとって一緒に行動してくれる人が増えることは凄くありがたいことなので、とりあえず知らないふりをしておこう。
「はい、ありがとうございます!!男の子くん!!」
「は!?!?おれ''男の子''って言われるほど背ちっちゃくねぇよ!!!というか、俺の名前はルキアだし!!この方向音痴!!!」
「…私は方向音痴って名前じゃないです!!リリナって言います!!!よろしくお願いします!!!!」
なんと、バチバチと火花が散るような喧嘩で二人の関係はスタートしてしまった。
翌朝。結局ルキアの部屋に一緒に寝かせて貰ってしまった。しかも本人は床で寝て、代金まで奢ってくれた。
もしかしたら怒りやすいだけで、案外良い人なのかもしれない…。
そう考えながら頭を整理するのもついでに、食堂で城を出る前に貰った地図を広げる。真正面でガツガツと食べていたルキアは地図を覗いた。
「なぁお前、これからどこ行くんだよ。」
「とりあえずここに行こうと思うんです。」
私は地図を指した。
「ふーん。ま、たしかにそこなら今のお前に合ったレベルだな。いいんじゃねぇの。いざとなったら俺が敵をバッタバッタと倒してやんよ!!」
「…ルキアさん、戦えたんですね…チイサイノニ。」
「あ?」
「とりあえず早く出ましょう。あまり居てもあれですし。」
「…お前もしかして!!!さっきのやつを無かったことにしようとしてんな!?!?おい!!!まて!!!!」
ここで1章目は終わりになります!次回からは2章目に突入します。読んで頂きありがとうございました!