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ウェルズギメア  作者: 川崎 しめじ
旅立ち
2/13

謁見

今回は少し長めのお話となっています!

ゆったりと道を歩く。そういえば、


城には何処から行けばたどり着けるんだ…?


いや、決して冗談では無いのだ。大マジメである。城に行く機会が全く無かった為、道などが全然分からないのである。しかし。城自体は、家々の隙間からでも、しっかり大きく見える。…まぁ、適当に歩いていれば着くだろう。


……そう思っていた1時間前の自分を殴りたい…。「アンタは方向音痴」だって散々お母さんに言われてたのに、なぜ適当に歩くなどという愚行を犯したのか…。1時間たっても全く城には着く気配は無い…。絶望から、細い路地で顔を伏せていると、どこからともなく声がした。


「おいお前。こんな所で何してんだよ。」

「…え?」

「いやだから、何してんだよって聞いてんだよ。」


声をかけられ、顔をあげてみると、私よりも背が低く、フードから赤い髪と青い目が覗く異質な少年が立っていた。


「あっ…えっと…実はお城までの道が分からなくて…」

「成程…だったら大通りとか、大きい道に沿って進んでいくといいぞ。」

「え?」

「お前''え?''しか言わねぇな…。そもそも道ってのは、人が通らないと出来ないだろ?という事は、大通りってのは、それほど人が通る道って事だ。つ、ま、り。人の出入りの多い城への道も、それだけ大きいって寸法だ。わかったか。」

「凄いですね…よく街を見てる…」

「まぁ、よく街を観察してりゃ、すぐわかることよ。」

「…さて、方向音痴の悩み事も解決したし、早くここをどけ。」

「うわっ…!ちょ、ちょっと!きゃっ!」


そう言って路地裏から追い出されてしまった。


その後、路地裏の出口を離れる直前。

誰かの悲鳴を聞いた気がした。




「はぁ…はぁ…やっとついた…」


あれから約20分後。何とか私なりの猛ダッシュで、時間までに城に着けた。あの少年に感謝しなければ…。しかし、謁見の時間まであと約15分を切っている…。

とりあえず、早速城に入ろう。ついでにどこかで休めたらいいな…と思っていた。しかしその矢先。


「おい止まれ!!ここは一般市民立ち入り禁止だぞ!」

「通りたければ、なにか証明出来るものを下さい。」


なんだか『いかにも』という人達に門を塞がれてしまった。しょうがない…。こういう時には招待状を…ん?


招待状が…無い…!?


「どうされました?」

「…まさか貴様!!あの宗教の狂信者か!?」

「いや、あの宗教がどの宗教か、わかりませんが…招待状を家に忘れてきました…ははは…」

「…お名前は?」

「リリナ・スカイアです。」

「ふむ…少し荷物検査をさせて下さい。」

「良いですよ。」


そう言われて数分後。


「大丈夫ですよ。お入り下さい。」

「は!?危ないものが無いからって危険じゃないとは限らないぞ?正気か!?」

「いや…名前を1度上司から聞いた事があるんだ。それに無害そうだから多分大丈夫だろう。」

「…どうなっても知らないぞ!!!」

「さ、お入りください。」

「えっ?ありがとう…ございます…?」


なぜか入れてもらえてしまった!

え、大丈夫か…?この国…。




とりあえず、城に入れてもらえた。中もとてもきらびやかで私とは全く無縁そうだ。少し休憩したので早速国王様に会いに行こうと思い、門を鳴らす。


「国王陛下様。入ってもよろしいでしょうか?」

「構わない。」

「失礼します。」


門を開けてもらう。凄く広い王座だ。どこもかしこも眩しく、逆によく直視できるなと思ってしまった。ステンドグラスから差し込む陽の光が美しかった。


「リリナ様、ここまで御足労ありがとうりがとうございます。本日貴方様をお呼びした理由は…」


と召使いが言おうとした所を、王が口を挟む。


「お前に、リリナ・スカイアに、滅びゆく人類の運命を救って欲しいのだ。」

「…え?」


まさかありえない。私は本来使える筈の力が使えなくなってしまった人間である。わざわざ私にする意味がわからない。


「国王陛下…なぜ私が…?」

「それについては私が順を追って説明しましょう。」



それは昔。この国が形を成す前…



人間は幾多の国々に分かれ、戦争を起こし続け、地上を踏み荒らしていました。


ある国は他生物を巻き込んだ膨大な実験をし、

ある国は生命を枯らす程の魔法を大地に投下し続け、

ある国は川に毒を盛り、


人間も他生物も、見境なく殺し続けました。

自分の利益の為に。


さてそんな惨状を見ていた神は思いました。

『人間という生物に果たして価値はあるのだろうか?』

それはそう考えたくもなります。なぜなら、実際に人間はそう考えるしかない程、世界を我が物顔で荒らし続けていたのだから。


結局、神は慈悲を捨て、人間という生物を、文明を、滅ぼすことにしました。

人々は懇願しました。


「助けてくれ!俺は何もしていない!」

「やめてっ!!この子だけはっ…!!!」

「ま…マ…?」

「う…うわぁぁぁ!?」

「クソっ…!!!このっ…うっ」

「貴方!?!?」


しかし神は気づきました。


「大丈夫!?お父さん!!」

「……」

「っ…!!!!やだ!!お父さん!!!!!」

「…………………」

「うっ…お父さん…………」



「……何が''人類を滅ぼす''なんですか…」



「結局、あなた達も同じ事をやってるじゃないですか!!自分勝手に判断した正義を押し付けて!!!無実の人まで殺して!!!」



そう、人間と同じ事をやっていることに。


「…なっ!?」


神は戸惑いました。ではどうすればいいのかと。


そして出た結論は。


自分の考えが押し付けじゃなければいいんだと。


他生物の人間に対する感情を集め、人間を滅ぼすかどうかを決めるというものでした。



その後神は、あの神に抗った少女を初め、様々な人類と関係している他生物を集め、思考を覗きました。

思考を覗くという行為は、犠牲を払うものでしたが。


結果、他生物には、人間を恨んでいる生物と恨んでいない生物がいることがわかりました。


そこで神は、人類に最後のチャンスを与えました。




「では、この''祝福''を私達に持ち出されなければ、多少の事なら目を瞑っておいてやる。」と。





「祝福…」

「はい。その祝福というものは、世界各地にあり、何重にもバリアを貼って現代まで保護されています。」

「あの…祝福というものは、どんなものなんですか?」

「祝福というものは七つあり、それぞれ


茂る生命の祝福、

流れる大地の祝福、

澄む鏡面の祝福、

枯れた光の祝福、

生きる闇の祝福、

死んだ大地の祝福、

贖罪の祝福。


と言われています。」


「は、はぁ…」

「そしてそれぞれの祝福は私達人類がある掟を破ると神の元へ飛んでいくとされています。そして、現在、祝福は神の元へ飛び立とうと、魔力を蓄積し続け、バリアを破壊しようとしています。」

「…という事は、その掟を破ったんですか?」

「まさか。心当たりはありません。そこで貴方様にお願いしたいのです。」

「?なんですか?」

「その祝福を抑えるバリアをより強固なものとして欲しいのです。」

「…えっ!?いやいや無理ですって…!?!?」

「それが…どちらにせよ、貴方様しか出来ないのです。」

「あのバリアは元はと言えば貴方様の祖父様に作ってもらったもの。祖父様しか仕組みが分からないものとなっています。」

「ですが祖父様は自身が死ぬことを憂いて、バリアの仕組みを知る人間を作ろうとしました。しかし、万人にその仕組みがわかってしまうと、破滅を招くかもしれないので、その仕組みを理解させたのは跡継ぎとなる者のみ、と死ぬ直前に仰っていました。」

「でも…私その修復方法分からないですよ…?」

「…とりあえず物は試しです。一度どこかに出向いて下さい。」

「えっ?…まぁ私にできることなら…わかりました。やります。」

「と、なったら。早速出てもらわないとな。」

「え?」

「?もちろん未来がかかってるんだ。休む暇など無いぞ?」

「…わかりました。」



(気迫に押されて結局引き受けてしまった…)

正直訳がわからなかった。

あんなにいっぺんに色んなことを話されて、理解しろという方が難しいと思う。絶対。とりあえず今日は…いや暫くは家に帰れなさそうだ。母にこの事を伝えないと…


私は家に帰り、母にこの事を伝えた。

母は泣き腫らしながら、見送ってくれた。

私も泣きながら母に別れを告げた。

今回は少々長めとなりましたが、読んで頂きありがとうございました!次回もよろしくお願い致します!

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