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ウェルズギメア  作者: 川崎 しめじ
旅立ち
1/13

目覚め

皆様初めまして、作者のもやしめじと言います!前々からこういうファンタジー系の小説が書きたいと思っており、小説家になろうにて初めて小説を書かせて頂きます。拙い文章ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

「………………」

「…………」

「……っ!」

「っ、はぁ…はぁ…」

まただ。またこの悪夢だ。起きて早々、不快な思いをしてしまった…。

慣れてしまった惨状、染み込んだ血の匂い、ぬるぬるとした感覚。もしも現実にあったらと思うとゾクッと悪寒がするものだが、どうせ夢なのだからと、考えないようにしておく。現に今の今までそのようなことは起こってないわけだし。うん。


とりあえず今日は、我が国「フェルディナンド」の建国記念日である。本来、この国の大抵の人々は、毎年建国記念日に開かれる盛大なお祭りのために仕事などを休めるのだが、何故か私は国王様に城に出向くよう言われている。何やら事情があるらしいが、一体なんのことだか…。とりあえず国王に呼び出されるのだから、何か手伝えばいいのだろうと思う。だとすると出来損ないの私にできることは限られてくるが…。


「…リリナ!起きておいで!」


そうこうしてるうちに母から呼び出しをくらってしまった。まずい…!


「はーい!今行きます!!」

風の如く身支度を整えて階段を降りた。しかし案の定、母に捕まってしまう。

「遅かったわね…大丈夫?何かあった?いつも早く降りてくるじゃない。」


全く、身内というものはこういう時、勘が鋭い…。

しかし決して困らせたい訳じゃないから夢のことは黙っておこう。


「大丈夫だよ!お母さん。」

「……そう、ならいいけど。無理しちゃだめよ!無理するような子には私が24時間寄り添ってあげちゃうんだから!!」

「それはちょっと…あはは…」


こんな陽気な母は私の唯一の家族だ。

幼少期、腕に火傷を負って魔力の出力に限界ができてしまった私を、父や親戚とは違い、庇ってくれた唯一の人間だった。後から聞いたのだが、私はどうやら膨大な確率の元で生まれた使う魔力に限界がない珍しい人間だったらしい。

しかし、私はその確率を一日で無に返してしまった。父達は、私が死んだ大魔術師の祖父の跡継ぎだった事もあって、それはそれはもうカンカン。それから母は父達と仲違いになったらしい。

…今になって、すっかり火傷した理由は忘れてしまったが。


とにかく、そんなことがあってもなお、母は私を愛してくれている。

だから、そんな母への感謝は忘れたくない。


「うーん…私の24時間付き添いを断られちゃうなんて…残念…。まぁいいわ、もう朝ごはんできてるから。食べてちゃっちゃと王様の所へ行ってきなさい!」

「わかったよお母さん…じゃあいただきます!」

「はい、いただきます!」


そう言って向かい合った食卓には、ほのかに湯気のたったスープ。バターの乗った焼きたてのパン。綺麗に盛り付けされた、水々しいサラダ…という感じの、まさに理想と言える豪華な朝食が。


「ちょっと、コレどうしたの?見るからに高そうだけど…。」

「今日は朝からいい事が沢山あってね。例えばそのパン!パン屋のおじちゃんに、いつも世話になってるからね〜って貰っちゃったの!!なんか一生分の運使っちゃった気がするなぁ…。」

「へ〜、よかったね!お母さん。」

「いやそれがさ…そうもいかなくって…」

「?」


という具合に、今日も相変わらず母との会話を楽しみながら朝食を食べる。私はこのいつも通りが大好きだ。

朝食を食べ終わり、玄関に立つ。

「じゃあ、行ってくるね。」

「ちゃんと帰って来なさいよ!お菓子作って待っておくからね!」

「わかった。ありがとう!」


そう言って家を出た。

何事も無く家に帰れると思っていた。

実は、これが事の始まりだった。


お読み頂きありがとうございました。これからも更新頻度はまばらになるかと思いますが、更新を続けていこうと思っています。なので、よかったらこれからも是非読んでいってください。

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