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 どうしたんだ、傷は浅いぞしっかりしろと半笑いでオリバーを励ましていたらハンナさんやローナ、預かってもらってるナンシーも隣家から出て来たので、ざっくり事情を説明すると、半ば呆れながら理解してくれた。転がってるのは朝には警察に引き渡すんでそのままにしといてくださいね。


「それでアル君は、これからどうするの?」


「もちろん借りを返しに行きますよ、ナメられたままじゃあここで暮らしていけませんからね。僕らも後がないんですから」


「アル兄ちゃん、オリバー兄ちゃんは大丈夫なの?」


「ああナンシー、オリバーは卑劣な敵の罠にはまってしまったけど心配ないよ。じきに回復するはずさ」


「てめぇ……うっ!」


 ナンシーが健気にもオリバーの背中をさすさすしている中、次第に周囲が騒がしくなり、その中には剣を持った昼間のクレクレ爺さんがいた。


「おうなんじゃ、加勢しようと思ったらもう終わっとるのか」


「悪かったね爺さん、活躍の機会を奪ってしまって。そのたいそうな剣の舞を見てみたかったな」


「はっはっは、よう言うわ!」


 カラカラとお爺は笑うが、目の奥がまったく笑ってない。でもそれは僕も同じだ。


「僕はこれからギャング共に仕返しに行くんだけど、よければここで家のみんなを守ってくれないかな? もちろん報酬は払うから」


「ほっ、わしのようなどこの骨ともわからん奴を信用するのか?」


「……僕は紳士の道を尊んでいるけれど、それは騎士道についても同様です。その剣は見るからに業物の魔剣だし老いぼれたフリも見せかけだ。力を貸してくれませんか? 元近衛歩兵連隊(グレナディアガーズ)隊長殿」


 一瞬空気が張り詰めてフェルが僕と爺さんの間に入るようにして割り込んできたが、僕は大丈夫だよと言って頭を撫でる。


「……護衛は引き受けよう。だがもめ事が終わった後で落ち着いたら話がしたい」


「もちろんですよ、僕もあなたの秘密について興味があるんです。じゃあ契約成立の握手を」


「……」


 無言で握手をするとえらい力で握り返されたが、フェルが歯をむき出して唸ったので離してくれた。


「じゃあよろしく。レイラ、出かける準備を」


「もうできています」


「ああそう。じゃあフェルは……」


「ガウ!」


「なにがなんでも付いて来る気だよね、じゃあしょうがない、行こうか」


「ミーナも行くにゃー! アルの敵はミーちゃんがボコボコにしてやるにゃー!」


「あー……ありがとうミーナ、その気持ちだけ受け取っておくよ。ローナにハンナさん、頼めるかい?」


「うん!」


「それは任せて」


「わーやめるにゃー! 離すにゃー!」


 ちっこいもちもちにゃんこちゃんがハンナさんの腕の中で暴れているが、一緒には連れていけないので仕方ない。


「オリバー、時間が経てば経つほどマイケルとブランドの命が危ない。ねぐらの場所を教えてくれるかい?」



「ごほごほっ! お、俺も行く」


「無理するなよ」


「ふざけんな、あいつらの命がかかってるんだ。それにお前にはビルが誰かもわからねぇだろうが」


「んーそれはそうだが、まぁいい。目立つようなことはするなよ」


「わかってる」


「じゃあ装備の点検だ。武器は装備しなければ意味がないぞ!」


「なに言ってんだお前」


『私にはわかりますよマスター! 古のTVゲームネタですよね!』


 僕はアンサーに脳内でザッツライトと返しながらオリバーのくたびれたシャツに各種のバッジを付けてやり、これがあれば安心だと言ってスタングレネードも二個渡して使い方を教えてやる。そして落ち着いてきたところで吸入器を渡す。


「これは?」


「こう使うんだ」


 僕は喘息用の吸入器に似たプッシュを使い内容物を吸い込むと、オリバーにも同じようにすることを促した。するとどうだ。


「おお、すげぇや、なんだか力が漲ってくる!」


「僕がクラフトしたアイテムで名付けてストロングプッシュだ。効果は筋肉を主とした各種ステータスを一定時間向上させてくれる。時間をおいて三回使えるが副作用は小さいけど乱用はダメだぞ」


「ああ、わかった」


「それじゃあ行こうか、朝飯前には終わらせたいね」


「気軽に言うなぁ、奴はロンネルスラム街のボスだぜ」


「ふん、それも今日までさ」


 闇夜を駆ける三人と一匹はオリバーに案内されてスラム街の一角を目指した。その場所は廃墟となったかつての病院のようで、ロンネルのギャング団が根城にしていると有名で、誰も近づかない場所だった。


 病院の廃墟で寝起きするとかどういう神経してるんだ。まぁその辺で死体が転がっていても珍しくないから特に気にしないのだろう。現代日本から来た身としてはいたる所が鈍感だと思う。だがそうでないと生きてはこれなかったのだろう。


 走りながらも思案しているとやがて目的の場所近くまでたどり着いた。廃病院からは僅かに光と声が漏れており、なにやら興奮した若者の声が辺りに響いていた。




 名前:ストロングプッシュ*

効果:各種ステータスアップ(小)

価値: ☆☆☆

吸入器の形をしたクラフトアイテムで、内蔵された特殊なエーテルを吸入すると一定時間各種のステータスが向上する。副作用は少ないが、使用後に倦怠感が出る。



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