第1話 館内の踊り子
ようこそ! 鉄道博物館へ!
ご来館いただきまして、ありがとうございます!
当館自慢のAR体験型アトラクション『追想列車』はいかがでしょうか?
お客様の、想いと夢を共に乗せ、あの時感じた車窓には、変わらぬままの風景が。
どこまでも、いつまでも……
本日の公開内容は「館内の踊り子」です!
目の前に広がる青い空と相模湾を、ぜひご堪能ください!
「ご乗車、ありがとうございます!」
紺色の制服を身にまとった一人の少女が立っていた。
15、6歳のクリーム色の長い髪、瑠璃色の瞳を持つ少女。
可愛らしさと美しさを兼ね備えた妙齢の少女。
表情は悪意のない、可愛らしい笑顔を男に向けたままで立っている。
「お客様、乗車券を拝見させていただいても、よろしいでしょうか?」
「……い、いや。持っていない」
なぜ俺は動く列車の中にいるのか?
この景色は?
今どこにいる?
誰もいないと思っていたこの場所に、突然、人が現れた?
しかも若い女に、奇妙な格好をして……
今置かれた状況を理解する間もない男は、気が動転し思わず正直に口に出してしまった。
少女は不思議そうに小首をかしげ、男の姿を全身くまなく見渡す。
そして……
「お客様は、もしかしますと……」
「…………」
「もしかしますと…………」
「…………」
「もしかしますと、修理業者の方でしょうか?」
「…………は?」
この少女が何者かは分からない。
力ずくで服従させることも可能だろう。
だが、ほかに仲間がいるかもしれない。
なによりも、不法侵入してきたという男自身に後ろめたさもあった。
ここはあえて争うようなことは避けて、業者が迷い込んだことにするのだ得策だと判断した。
「……ああそうだ。修理に来た」
少女は男のこの格好を見て、そう判断したのだろう。
むしろ奪いに来た人間ではあったが、ここは話を合わすことにした。
男の返事を聞くや否や、両手を合わせた少女の笑顔が、こぼれ落ちるほどに花開いた。
「お待ちしておりました!! よかったです! ようやく来ていただいたのですね!」
当面の危険は逃れたと、男は安堵する。
相手に敵意はないようだった。
そして人を疑おうとしない、年相応にあまり賢くはないようだった。
「少々お待ちください!」
少女は肩から下げられたポーチを触りだす。
もし、そこから銃火器の類が出てきたらと、男は慌てて身構える。
「お客様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「……敷島だ」
下手に動こうとせず素直に答えた男は、敷島と名乗った。
それを聞いて少女は、ポーチのスロットから排出された一枚のカードを手渡す。
「では、こちらを発行いたしました!」
「……?」
一枚のICカード。
表面には
『鉄道博物館 一年間有効館内フリーパス』
『敷島様 2042年5月31日から2043年5月31日まで』
鉄道……博物館……?
フリーパス?
ここは博物館なのか?
フリーパスってなんだ?
ところで、こいつは?
なんで俺は列車の中に?
未だに現状を理解できていない男に、少女が語りかける。
「心配なさらないでください。こちらは、わたくしからの来館記念プレゼントとさせていただきます」
「…………?」
「久しぶりのお客様なので……実は敷島様が今年初めてのお客様なのです。なのでわたくしの独断ですが、今回は特別にフリーパスをお渡ししました」
「…………??」
「この事はどうか館内のスタッフにはご内密に。バレると、また怒られちゃいますので」
そう言って、おどけて笑って見せる。
まだ事態がつかめないでいた。
男にとって、何一つ疑問が解決されていない。
「お前は? いったい? ここは? なんなんだ?」
「はっ! 失礼いたしました。わたくし当館解説員のロボット『シーナ』と申します!」
丁寧にその場で腰を60度曲げて、頭を下げる。
ロボット?
よく見ればこんな髪の色をした人間は見たことない。
そして瞳の色も。
よく見れば強化ガラス製の瞳の中に、焦点を合わすフォーカスのようなものが見える。
その瞳は自ら発光しているようにも見え、怪しくも美しい輝きを放っている。
この時代ロボットなどは珍しい代物ではなかった。
人手不足解消のため接客から介護まで、さまざまなロボットが人間の社会へと進出していった。
男の職場にも配属されていたロボットがいたが、作業のみを忠実かつ合理的に行うだけのものだったために、このような会話などする機能はなかった。
目の前のシーナと名乗ったロボットは、解説員というだけあって違和感なく会話をする。
一人の男と一体の少女は、車内の通路で向かい合う。
その間も列車は止まることなく走り続ける。
「順を追ってご説明いたします。ただいま乗車しておりますこの列車は、館内でも人気のアトラクション、ARの疑似体験列車『追想列車』でございます」
「アトラクション? 追想……列車?」
「はい!」
まるで水を得た魚のように、意気揚々と解説しだすシーナ。
「様々なお客様からの思い出の沿線、車両などを募り、それを疑似体験として記録、保管し多くの方々に、その時の思いを共感していただくことを目的とされています」
「実際は館内に設置されたこの車両ですが、乗車することにより、AR……拡張現実により本当に走行しているような感覚を楽しめます」
「車窓から見える風景も、風も香りも、音も光も匂いも感覚も、全て疑似体験できる、素晴らしい乗り物でございます!!」
そう、長々と誇らしげに語る。
「要するに、シミュレーターというわけか?」
「はい! どうぞ、こちらにお座りください!」
よく見ると座席が当初のベンチシートから、いつどういう仕組みでなったのか、二列横並びの転換型シートに変化していた。
男は促され窓際の席へと座らされる。
やや狭く、硬い、古めかしいシート。
なぜかその横に、馴れ馴れしくシーナも座る。
「どうですか? ここから眺める車窓は?」
そう言われ男が窓の外へと目を向ける。
窓の外には、大きく広がる青い海と空が、ひたすら奥まで広がっていた。
「海!? だと?」
「はい! ただいま、海岸沿いを走行しております!」
果てしなく広がる青い海に、白く漂う波。
スカイブルーの空に、白くたなびく雲
美しい自然に満ちた光景が目に飛び込んできた。
世界大災によって、すでに沿岸部は壊滅していた。
もちろんこのような場所の、河岸や線路などは無事では済まなかった。
それが大災前の、あの美しい光景が広がっていた。
そうか……これはすべてARの世界なのか……
男は高鳴る気持ちを落ち着かせるように、自分自身に語り掛け納得させる。
「ただいま早川から熱海間を走行しております。目の前に広がる海は、相模湾でございます」
男はシーナの声に耳を傾けることなく、ただひたすら海を眺めていた。
失われた風景。
この国から、この世界から消えた景色を……
「敷島様。この追想列車の風や香りも、ぜひ体感されてみてください!」
そう言うとシーナは、男の横の窓を両手でつかみ、持ち上げる。
瞬間、生暖かい潮の香りのする風が舞い込んでくる。
心地よい風が髪を撫でていく。
俺はまだ夢でも見ているのだろうか?
「敷島様、この車両はとても面白いのですよ。気が付かれませんでしたか?」
「……いや、別に」
シーナは本当に面白そうに笑いながら付け足す。
「この列車は、特急列車なのにもかかわらず、窓を開けることができるのです!!」
「……はあ?」
大げさに説明するシーナだが、なにがそんなに面白い事なのか男には全く理解できなかった。
むしろ、表情豊かなこの少女がロボットだということに、まだ理解がついていけなかった。
リアクションの乏しい男を見て、シーナが我に返り慌てて説明しだす。
「あっ、そうでした。まず、今わたくし達が乗っておりますのは、185系 特急列車「踊り子」と申しまして……」
「……は?」
「東海道本線の東京から熱海を経由しまして、伊豆急下田と修善寺を結んでおりました。観光客や地元住民の方々に長年愛され続けました、人気の列車でございます!」
「いや、待て。そんなことを知りたいんじゃない」
「それとですね、この列車は1981年に運行開始しましたが、この「踊り子」という名前は公募によって付けられました。実を……申しますと……このわたくしの『シーナ』名前も! 一般のお客様からの公募により……」
「だから! ちょっと待て!!」
「…………はい?」
無駄にお喋りな解説ロボットは、男の言葉が理解できないような顔をしながら首をかしげる。
「まずだな……ここは鉄道関係の博物館なんだな?」
「はい! 当館は2022年に開館いたしまして……」
「待て待て、待て! で、今この乗っている車両ってのが、博物館の中に設置されたアトラクションで、中にいれば実際に走行している体験ができるってことか?」
「はい! このAR疑似体験列車は、わたくしどもは『追想列車』と……」
「まて!! 聞かれたことにだけ答えろ!」
「はい。かしこまりました」
「外に出れば、博物館の中なんだな? 別にリアルで走っているわけじゃないんだな?」
「はい!」
「……で、お前はこの博物館の解説員で? ロボットだというんだな?」
「はい! わたくしの名前は『シーナ』です。2038年に初めて当館に配属されまして、何か月かの研修と……」
「分かった、もういい!」
「……はい?」
「じゃあ、俺は、この博物館にたまたま……修理に来て、この車両で仮眠してたら、その疑似体験ができるっていう『追想列車』というのが動き出して。で、ここのスタッフであるロボットのお前がやって来たと…………というわけだな?」
「はい! 敷島様のおっしゃる通りでございます!」
男は久しぶりに会話をしたため、顎と耳が痛んでしかたなかった。
「敷島様は当館のご利用は初めてでしょうか? せっかくですので、ぜひ敷島様には、修理作業をされる前にでも、この『追想列車』をご利用していただきたいと思います!」
「あ……あぁ、まあ、少しだけならな」
奇妙なことに巻き込まれてしまった。
と、男は思った。
しかし悪い気はしないのだった。
久しぶりに誰かと会話をする男。
それがたとえ、血の流れていないロボットだとしても、久しく一人で旅を続けていた男にとって、温もりと望郷のような、どこか心の安らぐような気持がしていたからだ。
「この車体は古いですが、その分多くの歴史と人々の想いを積んで、走り続けました」
シーナがそう切り出すと、席から立ち上がり通路をゆっくりと歩きだす。
「多くの方々が、老若男女問わず、ビジネス、カップル、ご家族、学校の遠足や林間学校の臨時列車といった具合に、ご利用されてきました。例えば……」
車内の照明がいっきに消える。
車窓から入り込む光も消え、車内は一転して暗闇に。
シーナの瑠璃色の瞳だけが、宙に怪しく灯る。
そして不意に車内に明かりが灯ると、いつの間にか男の周囲には大勢の子どもたちが席を埋め尽くしていた。
「こ、これは!?」
「林間学校の生徒たちです。都心の学校の生徒たちが、伊豆にある宿泊施設へと向かう様子です」
男は思わず立ち上がり周囲を見渡す。
なんの憂いもない、希望に満ちた子どもたちが騒ぎ立て、落ち着かなく車内を歩き回る。
男の子が窓の外を見ようと男にぶつかってくるが、なんの衝撃もなくそのまますり抜けていく。
全て実体のないホログラムであった。
呆然と立ち尽くし、その様子を男はただ眺めるだけだった。
学校。子どもたち。林間学校。
それはすべて失われた光景。
つい数年前までは、どこにでも見られたありきたりな風景が、ここにはあった。
「生徒だけでなく、ご年配夫婦方の観光ツアーも人気でした」
車内は再び暗転し、今度は周りに年老いた男女の団体で埋め尽くされる。
お茶を飲み、菓子を突っつき、弁当を美味しそうに頬張る。
談笑しあい、車窓から見える景色を、昔を思い出すかのような目で見つめている。
「休日になりますと、カップルやご家族での旅行などでご利用されました」
老人に変わり、希望に満ちた幸せそうな若いカップルが現れると、窓の外の海を指さし眺める。
はしゃぐ子どもをたしなめる母親。酒を飲む父親に、カメラを向ける姉。
そこには、この世界から消えかけた、幸せな風景が広がっていた。
「人々の寄せられた記憶、想いの数だけの風景が、この列車には備わっております。ご希望に合わせて、さまざまなシチュエーションの情景に合わせることもできます。例えば……」
「いや……もういい」
「……はい?」
「一回止めてくれ」
男には刺激が強すぎた。
ホームシックの様な望郷と哀愁。
久しぶりの動く人々の姿を目にした歓喜と、それが架空のものだという落胆。
様々な感情が逆流しては、行き場のない心の奥底へと蓄積されていった。
「いかがでしたか?」
「充分わかった、分かったからもういい」
「敷島様は、どのようなシチュエーションがお好みでしょうか?」
「……しばらく一人にさせてくれ」
「……はい……かしこまりました」
意をくんだのか、しおらしく大人しくなるシーナ。
心が車両が揺れるように落ち着かない。
今の喜びは偽物。あの景色が蘇ったわけではない、現実ではない。
しかし一瞬ではあるが、妙な居心地よさと安心感が男の体を包んでいったのは確かだった。
男は座席に身体をもたらせ、考えを整理させる。
俺は車で集落を探し、物資を集めながら旅をしていた。
昨晩、ふと目に留まった大きな施設に、なにか使えるものがないか探しに侵入した。
内部はあまりにも広かったため、詳しい探索は夜が明けたらにし、そこで座り心地のよいシートを見つけ、夜を明かすことに決めた。
で、振動と光で目が覚めたら、シーナというロボットと出会い、ここはアトラクションの中だと告げられた。
俺はこんなところで、のんびりしているわけにはいかない。
遊びに来ているんじゃない。
早いところ、取れるもん取って、ここから出なくては。
なにか使えるものがあるかもしれん。
なによりもこの電力。
これはどこから供給されているんだ?
これをうまく利用できれば……
無言で腕を組み、今後の行動を思案している男に、シーナが心配そうに近寄る。
「お客様? 敷島様?」
「……あ? なんだ?」
「どうされましたか? 顔色がすぐれませんが?」
「…………」
「もしかしますと……」
「…………」
「もしかしますと、お腹が空いてるのでしょうか?」
「…………」
この機械人形には悪気はないのだろう。
人間を傷つけるようなプログラムは、組み込まれていないはずだ。
だが、おせっかいにもほどがあった。
ロボットとは、全てこんなものなのか?
「敷島様! 少々お待ちくださいませ!」
今度は慌ただしく車外へと飛び出していく。
車内は本当に男一人となってしまった。
その間でも、疑似空間での列車は止まることなく走り続ける。
男は流れ去っていく車窓からの景色を、ただぼんやりと眺めていく。
家屋や木々が後ろへと流れていき、空はどこまでも広く青い。
そんな当たり前だった景色を目で追っていく……
「敷島様! こちらはいかがでしょうか!?」
落ち着きのないロボットは戻って来るやいなや、一つの筆箱のような物を手にし、男へと差し出した。
「なんだこれは?」
「下田名物のキンメダイの押し寿司でございます!」
すし? だと?
いったいどこから持ってきたというのだ?
この崩壊した世界で……
これも、疑似体験というものなのか?
「あの、寿司、か?」
「はい! あの寿司でございます!」
試しに受け取り、包装紙を破り捨て、蓋を開けると……
中には確かに押し寿司が、箱いっぱいに詰まっていた。
「これ、食べれるのか?」
「はい! もちろんでございます!」
嘘、偽りのまったくない素直で純粋な笑顔。
しかし男には、にわかに信じられなかった。
この時代に押し寿司などが、気軽に出てくるなどとは。
もう寿司などは大災後、一度も口にしていなかった。
「……お前、試しに食べてみろ」
「私は……ロボットなので、食べれません」
シーナはそんな男の考えをくみ取ったのか、必死に説明しだす。
「当館では最新の冷凍技術により、全国津々浦々の駅弁を常備し、いつでも召し上がっていただくことが可能となっております!」
「……」
「こちらも冷凍保存されておりましたのを、先ほど解凍してまいりました。出来立てと変らぬ味を、ご賞味いただけるかと思います!」
「マジか!」
「はい!!」
シーナの言葉と笑顔を信じて、男はその一切れを手でつまむ。
触感……匂い……共に問題はなさそうだが……
男の目の前では、それに食いつくのを楽しそうに待っているシーナが、満面の笑みで待機している。
男が昨日から何も食べておらず、空腹なのは確かだった。
こいつが嘘をつくとは思えない……
男はしばらく躊躇したが、意を決して手にした押し寿司を口の中へと押し込んだ。
……
…………
男が咀嚼する様子を、ただ嬉しそうに眺めるシーナ。
「うまい!」
「それは良かったです!!」
手を合わせ、これ以上ない喜びを示す
魚の肉質、酢飯の歯ごたえと酸味と甘み。
味や品質には全く問題はなかった。
男はあっという間に、その全てを胃袋におさめる。
その絶妙のタイミングで、シーナがペットボトルを一本差し出す。
「どうぞ、こちらは冷たい静岡茶となっております」
「おう!」
それを奪うように取ると、今度は何の疑いもなく、勢いよくキャップを開け中身を喉へと流し込む。
なにもかもが、舌を潤わせるほど美味であった。
男にとって、久しぶりに食事という食事をしたような気がした。
「敷島様に喜んでいただき、わたくしも光栄に思います!」
「ほかにもあるのか? 食料……というか、駅弁ってやつが?」
「はい! まだたくさんご用意しております!!」
男にとってはこれは朗報だった。
食料があるということは、ここを拠点にすれば、周囲の探索とパーツ集めを行なうことができる。
「敷島様! 次は何を召し上がりますか!? 東京駅のカツサンド、横浜駅のシューマイ弁当……」
「……いや、今はもう食えない」
心も身体も満たされたような感覚におちいった男は、微笑むシーナを見て、それにつられ顔をゆるませる。
そんな幸せそうな男を見てシーナは、この上ない使命と職務を達成したような満足感で、表情を笑顔にさせる。
列車は止まることなく、二人を乗せ海岸線を走り続ける。
車窓からの風がニーナの長い髪をなびかせる。
日差しは顔を明るく照らし、その笑顔をさらに輝かせる。
一年ぶりの訪問者に胸のモーター高鳴らせながら……
この景色に懐かしさを感じつつ、忘れかけていた何かを思い出すかのように見入る男、敷島。
シーナの笑顔で一人旅を続けてきた寂しさを埋めるかのように、時折視線をシーナへと向ける。
徐々に列車の速度が落ちていく。
流れる風景が、走馬灯のようにゆっくりとなる。
車内には鉄道唱歌のオルゴールが鳴り響く。
物悲しくもその美しいメロディーは、人々へ旅の終わりを告げる。
「あっ、忘れてしまいました! 敷島様、もうすぐ終点です!」
「あ?」
「本日もご利用くださいまして、ありがとうございます。まもなく終点、伊豆急下田に到着いたします!」
「……おまえが……ここでアナウンスするのか?」
線路の終わりを告げる終点駅。
そこは終点であり、始点でもある。
列車は折り返し、別の物語へと進む。
この二人の終点へと向かう終わりの物語は、今、始まりを迎えたのであった……
それは0から始まった。
戦後の荒廃からの高度経済成長。
それは人々に明るい“ひかり”を見せる。
ホームに“こだま”するの歓声の声。
人々は更なる幸せと発展の“のぞみ”を乗せ、
今なお進化を続けるそれは、多くの人々の夢と想いを未来へと運び続ける。
次回『追想列車の車窓から』は
「夢の超特急、憧れの食堂車」
に停車いたします。
世界最速の車窓から眺める日本一の山に、
あなたは、なにを、想いますか?