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星霜のイヴ ~希望の詩と絶望の永遠~  作者: 二神 秀
EPILOGUE
48/48

エピローグ



 宇宙艦ヘセドは警告音が鳴り響くなか、最も強く揺れ、ソフィートがパネルを押した。あまりの揺れに床に手をついて不安を抱きながら耐える。

 少しするとピークを越えたのか、揺れが急速に収まり、建早たてはやアダムはホッとし立ち上がる。


 イヴは席に座り、パネルの上にせっている。ソフィートは最後に見た光景のまま、パネルの前に立っており、その横にニャルが座っている。


(あれ? いつの間にニャルはそこに座ったんだ?)


 視線をニャルから移し、ソフィートに尋ねる。


「おい! タイムリープは成功したのか?」


 変わらないままの表情で、ソフィートはこちらに顔を向ける。


「アダム様。一緒に着いてきてください」


 アダムに一瞥いちべつし、ソフィートは歩き出す。「おい!」と声を上げて、アダムは急いでニャルを抱きかかえてソフィートを追う。


「おい、イヴはあのままで大丈夫なのか?」


「あのままでかまいません。アダム様。とりあえず、一緒に来てください」


 何故か笑顔になっている彼女は、ただただついて来ることをアダムにうながす。


 ソフィートの笑顔に気を緩め、イヴのことは気になるものの、とりあえずソフィートについていく。



 コントロールルームから来た道を引き返しながら、同じことをソフィートにまた尋ねる。


「おい! タイムリープは成功したのか?」


 同じ質問をぶつける。


「ついてきていただければ解かります」


 そう言うだけで、ソフィートは歩を止めない。


(おかしいぞ。タイムリープが成功したのなら、過去は変わり、今この場にイヴたちがいるはずがない。そもそも、イヴ・ナンバーズによる遺伝子操作も行われずに、おれが存在するはずもない。……失敗したのか? それとも、この世界線には何も変化がないということなのか?)



 そんなことを考えていると、ブリーフィングルームに戻ってきていた。ブリーフィングルームに入ると、そこには、ピンク・緑・青・黄色・紫・オレンジ・茶・金・水色・パステルグリーン・赤、と色とりどりの髪色をしたイヴ・ナンバーズ12体が席の後ろにそれぞれ立っていた。アダムは困惑する。


「え……ソフィート。これはどういうことなんだ? なぜ、いないはずのイヴ・ナンバーズたちがここにいるんだ」


 現状を理解できずにソフィートの返事を待つ。ソフィートは言葉ではなく、右腕を動かす。


「あちらをまずはご覧ください。アダム様」


 ソフィートが指し示したのはディスプレイだった。いつの間にか電源が入っており、そこには、信じられない映像と音声が流されていた。


「あ! アダム。……生きてたのね!」


 驚いた。目と耳を疑う。その音声と映像は間違えなくマリアだった。


「マリア! まさか、生きてたのか!」


「あぁ……アダム……。もう会えないと思ったわ……」


 マリアが画面越しに涙を流している。マリアの容態は深刻な状況だったし、あのタイミングで間に合うわけがない。さらにディスプレイには、違うものも写しだされる。


「アダムさーん。無事でしたかー? よかったー」


「ミランダ! きみも生きてたんだね」


「うぇーん……。よかったー。アダムさんが生きてたー」


 ミランダも怪我なく、無事に調査艦ホルスから脱出していたようだ。さらには、その後ろには一緒に仕事をした整備士たちの姿も見える。さらにその後ろには、ホルスにいた面々にプロメテウス財団のメリダと横たわっているカールの姿も見えた。ホルスに搭乗していた人たちが、ディスプレイ越しに映し出されている。



 助かるはずのなかったみんながいる。嬉しさはもちろんあるが、尚一層、疑問が深まる。

 この状況の説明をソフィートに求めようとしたとき、後ろの通路から足音が近づいてくるのが聞こえた。振り返ると黒い髪のイヴがそこにはいた。


「アダム様が悲しまないように、みんな助け出しました」


 そういうイヴの左耳に、赤いイヤリングが小さくゆらめいていることに気づく。イヴの手の指を見ると、あったはずの指輪をしていない。


 振り返り、赤いイヤリングをしているであろう赤い髪のメルを見ると、耳には銀色のイヤリングをしている。ピンと思考が働く。


 その彼女に遠くから声をかける。


「おい、きみはメルなのか?」


「……やっぱり解かってしまいましたか」


 メルと思っていたアンドロイドは、そう答えると髪の色を変え、鮮やかな銀色になる。


「はじめまして。アダム様。イヴ・ナンバーズ・ヨッドダレットです。だますような真似をして申し訳ありませんでした」


 その変貌へんぼうに驚くが、つぎにイヴのほうを向くと、髪が黒から赤にみるみると変わる。


 赤髪に戻ったメルが見慣れた笑顔になる。


「メルは私ですよ。アダム様」


 イヴがメルであったことの意味も、ヨッドダレットがメルに偽装してたことも、マリアたちが生きていることも、アダムには理解ができていなかった。とにかく、一番の疑問を尋ねる。


「メル! 結局、イヴはどうなったんだ?」


「はい。イヴ様は無事にマスターと脱出し、結婚されました」


「そっかぁ。タイムリープは成功したんだ。……でも、どうしてきみたちもおれも、今ここにいるんだ?」


「繰り返したのです」


「繰り返す? 何を?」


「私たちが調査船ヘセドでこの地に降り立ったときから、すべてを同様に繰り返したのです」


「すべてを同様に?」


「はい。私たちが行ったことは、すべてタイムリープした私の中に記録データが残ってましたので、私たちが地球で行った行為もそのタイミングもすべて、同様になるように振舞ったのです。最後にニャルちゃんが、コントロールルームにいたことに気づかなかったので、驚きましたが」


 アダムは呆気にとられる。メルが言うことが本当なら、2億4000万年もの時間をもう一度、まったく同じに繰り返したことになる。理屈は解かるが、それだけの時間を繰り返せるものなのだろうか。しかし、今イヴ・ナンバーズがこの場にいることは、アダムが見た記録映像と異なる。


「繰り返したのなら、なんで他のイヴ・ナンバーズの彼女たちがここにいるんだ」


「どう展開するのかは解かってましたので、彼女たちが起動停止後に、彼女たちをこっそり回収して同じデータを残した機体を代わりに置いてきたのです。そのための宇宙船も、その他もろもろの準備もしっかりしてきたので、誰も失わずに同じ状況を再現できたのです」


「マリアたちは?」


「アダム様が悲しんでおられたので、こっそり見つからないように助けておきました」


 笑顔で応えるメル。言われて思い出す。彼女たちがアンドロイドであることを。



 そして最後に、メルに尋ねる。


「どうして過去が変わり、アダムもイヴも救われたのに、2億年もの時を繰り返したんだ?」


「アダム様に伝えたいことがあったからです」


 そう言うと、メルもソフィートも含め、イヴ・ナンバーズがU字型のテーブルに沿い、並び、代表してメルが言う。



「アダム様。私たちの使命を果たさせていただいたことに感謝を。もう一度、どうしても直接会って、私たち全員であなたにお伝えしたかったのです」


 イヴ・ナンバーズがみな笑顔でアダムに、伝えたかった言葉を述べる。














「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」


「ありがとう」









「……ありがとう」



最後まで読んでいただきありがとうございました。

良かったら、評価やブックマークしてもらえると今後の励みになります。感想なんて書いていただけたら満員電車内でガッツポーズしちゃうぐらい喜んじゃいます♪


設定や世界観に凝り過ぎて分かりづらい部分が多々あったと思いますが、テンポとのバランスで最低限の説明にさせていただきました。映像化してもらえたら丁度良い塩梅になるかなーなんて思ってます。


アダムのように遺伝子にまで思いが刻まれるような生き方・在り方ができるよう今後も執筆や生活も熱く熱く続けていきたいです。


改めて、拙い小説を最後まで読んでいただきありがとうございました。

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