8 お世話になります
「私をしばらくここに置いてください!」
勢いで言っちゃったけど、他に知り合いも居ないし、この世界のこと何も知らない。
フェンネルさん、お願いします!
「いいですよ」
フェンネルさんがふわっと笑いながらそう言う。天使か?????
「あ、ありがとうございます!でも…お願いしておいてなんですが…」
こんなアッサリOKしちゃっていいの?
「今日初めて会ったのに、私が悪い人だったらどうしようとか…」
「珊瑚さん、悪い人なんですか?」
「悪い人じゃないです…」
「なら、大丈夫ですね」
えええ……フェンネルさん……
「珊瑚さんこそ、実は私が悪い人だったらどうするんですか?」
そうゆう発想は無かったな。でも優しい人オーラすごいもん。大丈夫!
「フェンネルさんは優しい人だって分かりますもん。それとも、悪い人なんですか?」
「ふふ、悪い人じゃないと思っていますよ」
さっきと逆だね!
「フェンネルさん…ありがとうございます。よろしくお願いしますね」
「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」
私たちはお互いに笑い会った。よき出会いに感謝!です!
「珊瑚さん、家の中を案内しますね。自分に家だと思って自由に使ってください」
「はい!ありがとうございます」
フェンネルさんが案内してくれたこの家は2階建てで、今私達が居た部屋は、薬草や毒消しなのを販売する場所も兼ねているそうだ。
奥には台所やシャワーなどの水周り。お水は川から汲んでくるんだって。
そのお水をフェンネルさんの属性の魔法で、ろ過してくれる植物を生み出して浄水してるそうな。…排水とかも魔法でうまくやってるんだろうな。
上の部屋はフェンネルさんのお部屋と、調合したりするいろんな道具が置いてある部屋、あと素敵なバルコニー!
「珊瑚さんのお部屋も必要ですね…作りましょうか」
「そんな!わざわざ申し訳ないですし、居間で大丈夫ですので!」
いきなり増築の提案が!でもできるだけ迷惑はかけたくない。
「すぐにできますから、大丈夫ですよ。ちょっと離れていて下さいね?」
す、すぐできるとは……?
フェンネルさんはそう言うと30センチ程の杖を取り出し、指揮者が演奏を始めるかのように振り上げた。