2 ユニコーン
あれから更に1時間くらい歩いたけど、いっこうに道には出ないし誰にも会わない。
体感だから、実際は全然時間たってないかもだけど。スマホを持つようになってから腕時計はしなくなったんだよね。まぁ、その肝心なスマホは家にあるわけですが…残念でした、私。
このまま森をさ迷っていて、水とか食べ物とかどうしよう。
野いちごとか、木の実とか探し始めた方がいいのかもしれない。キノコは見付けてもスルーしよう。危ないからね。あと火もないし。
沢でも無いかと耳をそばだてていると、葉や枝を踏みながら何かが近づいて来る音が聞こえてきた。
ドキドキしながら様子を見ていると、前から真っ白な馬が歩いてきた。
「なんだ馬か…」
音の正体がわかってホッとしたけど、自分よりも大きい動物に会う事って動物園でしか無いから、ちょっと怖いかもしれない。
だって犬や猫以外の動物に遭遇する事って無いじゃない?ペットのハムスターとか、野生のリスや狸は見掛ける事もあるけど。
っていうか普通に森に馬っているんだ?
私がカチコチに硬直していると、馬は私の少し手前で止まってこちらをじっと見てきた。
(なんて綺麗な馬…)
本当に真っ白。睫まで白くて、瞳はブルー。鬣は絹のように滑らかで、しなやかな首に沿って流れている。全身がうっすらと光っているような、そんな神々しさがある。
実際に光っているのかも…だって…馬の額には20センチくらいの螺旋状に溝のある角が生えている。
光ってても不思議じゃないよね!だってこれユニコーンだもん!
日本の森にユニコーンっているんだっけ?????