言論統制
この国の中には、横暴な王様の言論統制に苦しんでいる人もいる。
「お母さん、行ってきます。」
「すぐに帰って来るのよ。最近はすぐに暗くなるから。危ないわ。」
「分かっているよ。お母さんは心配性なんかだから。」
「最近お母さんが、いちいちうるさいんだ。特に今の王様になってから、言葉に気をつけなさいって」
「適当に聞き流せばいいよ。確かに今の王様になって"あれ"に気をつけないといけないけど、普通に過ごしていたら大丈夫でしょ」
「正直、大人達って小さいことを気にするしめんどくさい……」
「今の王様になって休みが増えたりいいことばかりなのにね」
「ねぇねぇ、話は変わるんだけだ昨日テレビで……。」
しばらく経った後、人だかりができていた。
「あっ王様だ王様がいるよ」
「よし行ってみよう‼︎」
「王様、こんにちは‼︎」
「はい、こんにちは、今から学校かい。気をつけて行くんだよ」
子ども達がそんな挨拶をしていると、
「よぅ、王様調子はどうだい?」
「いい調子だよ」
今度は若い男達がタメ口で話している。
「やっぱり王様っていい人だよな」
「何を言ってもニコニコと返事をしてくれるし。あれだけ気をつけないとね。どこに兵士たちがいるか分からないし」
そんな話をしていると突然一人の男性が現れて大声をあげた。
「やい、王様!俺はお前のやり方を許せない。今すぐかな言論統制を解くんだ!」
すると一人の兵士がやって来て、
「誰に向かってそんな失礼な事を言っている。それは王様の決めた唯一のルールではないか」
「うるさい、もう限界なんだ。誰と何を話すときも、あのルールのせいで思ったことを口にできないんだぞ」
「それはお前の考え方が悪いだけだ。これ以上ルールを破り続けると、お前を反逆罪で逮捕する」
「俺はこの国のやり方を否定する。ルールなんて破り続けるからな」
「なんて愚かなのだ。忠告はしたからな。皆のものこいつを連れて行け!」
そういうと、兵士達はその男を取り囲み連れていった。
一部始終を見ていた、国民は唖然としたままだった。男の身勝手な言葉の数々に驚いていた。
静まり返ったなかで王様が口を開く。
「結局あの男はルールを破り続けました。皆さんの前で逮捕者がでるのは残念です。彼には考えを改め、我が国のルールを守れるようになれば、釈放することにしましょう。朝から皆さんの足を止めてすみません。どうぞ気にすることなくそれぞれの学校や仕事場に向かって下さい。」
そういうとみんな散り散りに散っていった。
「今の凄かったな。目の前で逮捕されてたぜ。」
「全員びっくりして、何も言えなかったね。そんなにあのルールがいやだったのかな?」
「なんてことないのにね。確かに強いて言えば、会話の最後に《ん》が使えないことがちょっとだけ不満かも」
「文句を言っててもしょうがないよ。それより急がないと学校に遅れるよ」
そんな会話をしながら二人の少年は学校に向かう。
なんてことないとある国の1日。