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第六話 脱出


 一応、さっきぐらいの球を二つ浮かべて眺める。

 さっきはここから近付いたり離れたりしたけど何も変わらなかったんだよな。

 離れても分からないし、結局、近くで違いが分かるかどうかだ。

 まずは火球に近づいてみる。


 五割増しの効果か、近寄るとそれなりに熱い。

 ゴウゴウ鳴ってるのはさっきと一緒の気がする。

 ホント、何が違うんだ?


 火球は諦め、雷球に近づく。

 こっちも変わらずにバチバチ鳴ってる。

 でも何だろう。肌がチリチリする。

 バチバチ具合は同じような気がするんだけど。


 んー。

 ひょっとして耐性か。

 さっきまでは指輪の効果で魔法耐性が付いてた?


 近づいたときの熱気やヒリヒリ感の違いとなるとそれぐらいしか思いつかない。

 耐性なら支援効果(バフ)と言っても良いだろうし。


 どんな属性に対する耐性なのか、精神的耐性なのか、とか分からないままだけど、違いを確認するために指輪を取りに戻る。

 指輪をつけて、さっきの熱気やビリビリした空気を感じるかどうか試すことにする。


 部屋の中央に戻ると早速透明な石の指輪をつけた。

違いが分からない。

 指輪を外して解除された効果は指輪をすると戻るのだろうか?

 それとももう一度発動が必要か?


 分からないけど、指輪も魔道具の一種だと考えると、一度起動した魔道具は魔力が切れるまではそのまま発動し続けるんじゃないかな。


 そのまま雷球と火球のところへ歩いてく。


 まずは火球の方へ近づく。

 かなり近づいてみるが熱気を感じない。

 さっきは確かに熱いと思ったのに、今はそこで燃えているだけだ。

 手を火球の上にかざしてみても、熱くない。

 そう、熱くない。


 次に雷球に近づく。


 雷球も変わらずバチバチ鳴ってる。

 そこに手の平を近づけてみる。

 音は鳴ってるし、雷光がビリビリしてるけど、肌にピリッとした感じはない。

 光がウネウネしてて破裂音が頻繁に響いてるが、距離感だけは遠く感じる。


 これは当たりかな。

 透明な石の指輪の効果は耐性付与みたいだ。

 しかも火と雷の耐性が確定。

 ほかにも耐性があるかもしれないっていう有り難い指輪です。


 ただどれくらいの耐性かは試しません。

 試した結果火傷とかしたらイヤだもん。


 転移魔法は発動しなさそうだし、検証はここまでにして扉の謎に取り組むことにしよう。

 ここがどこか分かれば帰り方も見つかるだろう。

 ホウランとホウスウが心配してる。



 改めて扉を調べる。


 ドアノブはなくて押してもビクともしない。

 顔の高さから腰の高さにかけて、五つの鍵穴がある。

 上から順に青色、赤色、黄色、白色、黒色。


 鍵穴を調べてみるけど鍵穴じゃなくて、ただヘコんでる。

 人差し指ほどの小さな窪みだ。


 五色なら簡単。

 五大属性を表す色だから。

 青は木属性。

 赤は火属性。

 黄は土属性。

 白が金属性。

 黒が水属性。


 五大属性は相生(そうせい)の関係になる。


 木は燃えて火を生む。

 物が燃えた後、灰が残り土に還る。

 土の中には金属がある。

 金属の表面には水が生じる。

 水によって木は養われる。


 青から並んでるし色が表してるのは五大属性でいいだろう。

 五大属性で鍵を作ればいいのかな?


風刃(ふうじん)

 風魔法を青色の窪みにぶつける。


 いけそうかな。


火弾(かだん)

 続けて火球を二つ目の窪みに当てる。


泥波(でいは)

 泥を小さな弾丸にして飛ばす。


鉄爪(てっそう)

 鉄の尖った塊で突き刺す。


水槍(すいそう)

 水を槍状にして刺す。


 五大属性をそれぞれの穴に嵌めた。


 ガゴン!


 扉の真ん中にジグザグに切れ目が走り光ってる。

 そしてそのまま壁に埋まるようにして左右に開いていった。


 ゴゴゴゴゴゴ。


 扉の向こうには一本の廊下が真っ直ぐに続いている。



 僕は何もない部屋を後にして廊下を歩き始めた。


 結構長い。

 背後で再びゴゴゴーっと音がしたので扉を確認しようと振り返ったが廊下はいつのまにか右に曲がっていて、扉は確認できなかった。


 廊下側から見た扉がどうなっているのか確認したかったが諦める。

 どうせあの部屋に戻っても、何もできない。


 そんな訳で廊下をずっと歩いていたけど、廊下は唐突に行き止まりで終わっていた。


 えーっ!


 いや、あの何にもない部屋から謎解きして出て来たのに行き止まりって。

 行き止まりの壁を叩いたり蹴ったりして確認する。


 何にもない。


 仕掛けのようなものがあるかと思ったけど、ただの壁だ。


 ホント、ここどこ?


 仕方がないので来た廊下を壁を叩きながら戻る。

 何か仕掛けがあるはずだ。

 でなければ、……。


 壁を壊すか?

 魔剣があるし何とか壊せないか?

 と考え始めたところで叩いてた壁の音が変わった。

 それまではコツコツ、だったのがコーン、と反響が感じられる。


 廊下の右側を叩いてたので、左側を確認する。

 左側はそれまでの壁と同じ音だった。


 右側で良かった。

 これが左側だったら気付かずに通り過ぎてたよ。


 右側の壁を叩いて、反響のある範囲を調べる。

 両手幅ぐらいだから、今歩いてる廊下と同じだ。


 次は空洞がある範囲の周辺を調べる。


 天井に微かに色のついた白煉瓦がある。


 あれは黄色か?


 なら他の色も近くにあるはずだ。


 周囲を注意深く探すと他の色もあった。


 赤色、青色、灰色。


 後は白色か。


 白煉瓦の中から白色を探すって、と突っ込んだところで閃いた!


 配置。


 普通の五大属性の並び順序ではないけれど、五角形に並んでる。


風刃(ふうじん)

火弾(かだん)

泥波(でいは)

鉄爪(てっそう)

水槍(すいそう)


 天井にある色違いの白煉瓦に、木火土金水(もくかどごんすい)の順序で属性魔法を当てていく。


 ガゴン。


 アッサリ反応した。


 さっきの行き止まりの壁の白煉瓦がへこんだり横に移動したりして、隠し扉が開く。




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