03 製作活動
「裁縫職人」「革職人」「鍛治師」「料理人」。
俺は月光暗殺狼との死闘の後これらの職業を注目している。強敵たる月光暗殺狼は果てた末、以下のドロップアイテムを残した。俺はこれらを職人スキルで裁くつもり。
狼王の硬革*2 ギアスコア 7/10 素材
狼の肉*3 ギアスコア 2/10 食材
狼王の前股肉 ギアスコア 5/10 食材
狼王の爪 ギアスコア 7/10 宝石
革のと爪はレアらしい。しかしこの爪はなぜ宝石になってるのか。確かに月光暗殺狼の爪はカラフルで光ってるけど。宝石じゃあ宝石かもしれない。とりあえずこの二つの素材を何とか古竜のローブの替わりにを作りたい。問題は、
「工具ですね。」
もしこの世界の道具は全てお手製だったら、作るのはまず無理。俺には無理。そんな器用じゃない。器用1000あるけど器用じゃない。
狙うは「魔法」、その真意は奇跡。マナが手元に光って、あら不思議、無双の装備の出来上がり。これで作れるなら上等。俺には職人lv70の力がある、それも最大のステータスで。
しかしもし、裁縫の針、革のナイフ、鍛治のハンマーなどの工具は必要なら。それは出来ない。俺の手元にこれと俺の卵の殻しかない。
もちろん手元にはこの「ありとあらゆる職業に適用する聖剣」があるけど、確かにこいつのおかげでほとんどの職業に変幻出来た。しかし先の戦いで俺はこの聖剣が「ありとあらゆる職業に装備することが出来るだけで、全てのスキルに適用なんて一言も言ってないよ〜だあっ!」のことが十分分かった。聖剣には世話になっているが、今後こいつには過ぎた期待はしない。
とりあえず革の服でも作ろうと思う。この三つの素材で上下揃い全裸と半裸を防ぎたい。最低でも革のコートとかで下をカバー。
聖剣を握り革職人にジョブチェンジ、スキルツリーを見る。やはり職人のスキルツリーは品質アップ、ステータスアップ、宝石効果増強などのスキルがメイン。そしてこんなのも。
「糸生成lv4!」
聖剣を構えてスキル名を念じる。
「出来た。」
魔法の糸 ギアスコア 6/10 素材
「では聖剣なしで。おお、やはり出来る。」
魔法は不思議ですね。これで無料の素材が手に入り。これから本格的に装備を作る作業に。
アイテムボックスの中の「狼王の硬革」を選択、数多くの分岐が浮んだ。多分この素材に適用する全ての装備品だろう。その中目星の装備名を想定、そこに素材欄の二つに革*2と糸*2、最後のおまけ枠に宝石。
「生成!」
狼王のレザーコート ギアスコア 7/10 胴装備
hp+47 器用+44 丈夫+29 素早さ+52 闇耐性+60 流血状態の敵ダメージ+10%
「おお!ギアスコア7の割に良い装備ではないか。」
聖剣と魔道書に比べもんにならんが。やはり自分が作った装備は愛しい。特にアイテムも自分の戦利品だし。
「えっ!レベルアップした!」
人間はlv4になっている。そしてドラゴンは相変わらずちょっとしか上がらないが、6ミリぐらい?
それにしても装備品を作るのは経験値になるとは。そして効率は戦闘よりなんて。
「もしかして。糸生成!」
人間lv4は十分の一ぐらい上がった。
「これは待っていられない!糸生成糸生成糸生成糸生成糸生成糸生成!」
マナ切れそうな時、俺はlv9/lv1になってた。
魔法の糸*57 ギアスコア 6/10
満タンのmpは糸生成60回ぐらいか。マックス成長かける2倍プラス100なのに作る回数は少ないな。もしかして並の職人は十数回の糸生成でマナ切れになる?いやそもそもlv70の職人は並の職人じゃないし。
マナ切れなので早速新装備を装着することにした。これで半裸、コートだから隠せるところは隠せてるんよな、ギリギリ隠せるよな、隠してほしいな。
「そうだ!」
魔法の糸を選択し、やはり魔法の布が作れる。
「マナ切れは面倒臭いなあ、自動回復、1分につき1しか上がらない。職人のmp回復の遅っ。」
革職人に裁縫職人にチェンジする。
「流石に満タンにならないな、じゃあ賢者に。」
魔法の上位職の賢者、出来るだけmp回復のスキルを取得。それにしても1分につき10ぐらいあがらない。
「そうだ、一旦変幻を解く。」
周りの気配なし、安全。
「人間変幻!」
そして再度裁縫職人に。
「おお!全快!」
どうやら人間状態のmpはドラゴンのmpに全く関係ないのようだ。そう考えると人間変幻はドラゴン本体にとって完全なるのおまけかもしれない。hp、mpが無くなったら、本体に戻り再度人間変幻すればいい。損失するのは変幻するmpのみ。「エインシェント」「ウォー」のスキルは確かに凄いけど、これなら「ヒューマン」もそれらに対抗するかもしれない。
「生成生成生成生成!」
魔法の布*10 ギアスコア 6/10 素材
「からの〜」
魔法のズボン ギアスコア 6/10 下装備
hp+36 丈夫+33
狼王のレザーコートに比べ、随分しょぼい。宝石を抜いたせいか。それともドロップ素材と魔法素材の違うか。
とりあえずこれで上下揃った。
「次は、食事ですね。」
料理人のスキルツリーを見ると、仕様は職人とほぼ一緒。しかし流石に調味料生成はない。そしてどうやら料理人の料理は基本hp、mp回復と腕力知力などアップの効果がつけるが。味をうまくするスキルは一方に見当たらない。これなら本末転倒ではないか。
「いずれにせよ、今のところ料理を作るのは無理だな。」
次に考えるのは移動。出来れば早く町、都市のようなところへ、この変な場所でぼっちの十歳の子供の形で人に出会いたくない。
たとえ竜じゃなくても、変なロープを着なくても。後聖剣なんか握らなくても。この月光暗殺狼一匹しか生き物がない山から下りるガキは間違いなく、疑われる。
そう考えると、この月光暗殺狼の背中にそっくりの赤い紋章のデザイン、狼王のレザーコートもないな。俺はオオカミ人間疑惑を被ることになる。
やはり町へ行きたい、この世界の常識と魔王の動きを探りたい、十年は長いかもしれないが、一睡する間で過ぎてる可能性もある。
でもどうやってばれずに早く町へ移動出来るか。その心当たりは、先初めてジョブチェンジした「賢者」にある。
賢者のスキルツリーに、第三層から「転移・魔法の都ランディア」、第四層には「転移・魔法聖地ダンテハーディア」がある。第五層はspちょっと足りないからわりあい。
魔法聖地は町かどうか分からないけど、この魔法の都はきっと町だろう。問題は転移先、俺は目立つかどうか。しかし、ここで誰かと遭遇するよりはマシだろう。そしてここ数日むやみに歩い続けると町へ着くがどうかも分からないし。疑われるなら、いっそ町の方で疑われろう。
怖いのは今後ここへ戻るかどうか。一応故郷だけど、今後誰かに聞かれたらどうする。
「いや、知らないほうがいいか。」
あくまで人間として魔王を倒すよね。
「武器オッケー!」
そこら辺斬った木で作ったステッキ。
「服オッケー!」
魔法のズボンに魔法の服。
「聖剣も魔道書もアイテムボックス!」
この一式の装備なら怪しまなくて済むだろう。これで。
いざ、魔法の都!