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02 月光暗殺狼

 洞窟に出ようと決めた。

 この洞窟の出口に心当たりはある。それは、空だ。だいぶ上だけどこの洞窟の真上に大きな穴が空いている。ドラゴンを通すには十分の大きさだろう。察するに、ここはドラゴンの巣かもしれない。

 もしかすると、この「ナナシ」の自分は生みの(ドラゴン)もいて、ここで俺を産んだかもしれない。本当だったら完全に子育て放棄だけど。

 しかし軽く考えた末、飛ぶこと、というよりドラゴンに戻すことは一旦お預けにした。そもそもあそこまで飛べるかどうかは分からない。例えそれが出来ても、もし空にほかの先輩(ドラゴン)が回ったら、このlv1の(ドラゴン)は対抗出来るかどうか分からない。さらに空そのものが安全だとしても、人間に目撃されたらこれもまたまずいかもしれない、今後の英雄活動に関わるので。

 ここは一旦人間姿でほかの出口を探す。

 

 洞窟の探索は順調だった、この「巣」は大きいものの、構造は単純。洞窟の裏に登りの一本道が曲って続くと、今度はまた大きな洞窟にたどり着く。その洞窟の真ん中は空いて、その下は俺の産まれた場所らしく。下から見れば分からないが、これでこの竜の巣は多層構造だと分かった。最後に最高層への道をたどり着けると、今度道は二つに分かれて。道を長く長く潜ると、ようやく外へ出た。

 

 「疲れた。」

 

 と言いたいところだが体感では疲れてない。これはドラゴンの体力でしょうか。洞窟探索のとき、たまに空の色を伺うと俺は少なくとも二日をかけた。体力どころか、腹すら減ってない。

 洞窟のそとは、山。人の気配も、ない。

 

 「そうか、気配か。」

 

 すでに外出たので、ここは人や魔物の注意が必要ね。今の俺は大分の職にジョブチェンジ出来るので。今の場合、俺はこういう時一番心当たりの強い遊撃兵(レンジャー)にジョブチェンジする。

 

 「どうでもいいけど、どんな職業になっても服はその一着ね。」

 

 俺はさいしょに人間変幻を使う時、裸ではなかった。一着だが長いローブを身につけている。そしていかなる職業に変えてもそのロープは必ず装着している。一応装備欄を開けてみる。

 

 古竜のローブ ギアスコア 10/10

 仮装備 外すと消失する

 

 スコア10ね、ステータス全くないくせに。まあ、これは山の中第一村人の美少女に変態だと思うよりマシだ。しかし、俺はどうもこのローブの図案が気になる。デザインにうるさいではない。ただこの神々しいというか忌々しいというか分からないが、明らかにこれ竜とか古竜を代表す紋章とかだろう。俺には分かる、むしろ分からない方がおかしい。

 これを着ると俺、目立たないの?ばれないの?種族隠蔽は取得してるけど、隠蔽の効果はこの世の鋭い奴の勘まで歪めるの?

 

 「とりあえず人に当たる前に、替わりの服を。」

 

 そう決めた俺はレンジャーのスキルツリーを開け、適当にspを振る。とりあえず周りの状況を把握したい。

 

 「気配探知lv1。」

 

 気配探知は五層でそれぞれlv5まである。そしてやはり探知出来るのはlv1(10-25)、lv2(26-40)、lv3(41-55)、lv4(56-70)、lv5(70-99)。この世界では多分全部この仕様になってるだろう。

 

 「lv1だと何も感じないな。小動物もないのか?それとも脅威のない生命は対象外?まあ、この探知範囲延長のスキルを取得、第二層までどんどん取得しよう。おお!魔物図鑑もlv5まである。暇の時勉強しよう。」

 

 魔物図鑑は文字通り魔物のデータが書かれる図鑑。そして戦闘中敵のスキルなどコメントで映る。これは使いそうだ。圧倒的便利。今までのコマンドなどはゲームのように画面の一部に表示されるじゃなくて、脳に浮かぶだから、視野に問題がない。この図鑑は相手のスキルが表示するとこれに勝る補助ツールはないね。

 それにしても仮spの使い心がやはりいい。振ってもなんの心配もいらない。どんどん振ってもいい

 

 「2も3も駄目か。」

 

 魔物図鑑と探知範囲も取得、余りのスキルは矢系のスキルに振った。見たところ探知系と戦闘系は半々だから、今の俺は多分探知特化のレンジャーになるが。

 

 「この「天眼」って何だろう。」

 

 天眼5sp:残りhpが50%の時、基礎素早値10%を上げる。hpの残量によって、最大50%まで。

 一応つけとく。素早さ最大50%は凄いかどうか分からないが、でも50%まで上がったらそれはもうかなりやばい状況だろう。

 

 「気配探知lv4。」

 

 第四層の探知スキルをつかう。

 感じる。何かを感じる。それも人間ではなくて、魔物、それも、かなりの至近距離であることは分かっている。

 やばい、まだスキルはスキルツリーの第四層の頭までしか取得してないのに。

 

 「せめて図鑑を!」

 

 急ぎ後ろ振り向く、さらに魔物図鑑を開く。しかしそのあと、後ろに黒影がやって来て、俺はまんまと不意打ちを喰らった。

 体勢を崩しの俺の頭の中、コメントが映る。

 

 「暗黒伏撃(シャドウアンブゥシュ)

 

 目の前には巨大の黒狼、自分の身長は分からないが、少なくとも座高でも俺より上。爪の色は全部違くて、背中に赤く光る紋章があり、目玉のない目の巣にただ黒い霧のようなものがじゃんじゃん出る。

 やばい、こいつはやばい。

 

 そして先の不意打ちは遊撃兵(レンジャー)である俺の1088hpの200ぐらいこっそり持って行かれた。

 おいおい、hp2倍おまけに+100ではないか?ボロいぞ俺の基礎hp値、三発しか耐えないのか?!

 

 そして図鑑は敵の正体を俺に教える。

 

 月光暗殺狼(ムーンライトアサシンウルフ) lv67

 

 やばそうな名前、やばそうなレベル。いきなりlv67ですか?早くないですか?とりあえず俺は慌てて体勢を戻り、攻撃スキルでも発動する。

 

 「毒蛇針矢(マンバスティング)!」

 

 選んだのは最も素早く毒蛇の毒で相手の戦闘力を奪うスキル、この矢に当てれば、相手は死ぬ同然!

 

 「矢?」

 

 矢あったけ?ない、俺の武器はザンクこと「神界量産型聖剣HT-39」しかない。でも女神のセラ様はこの剣は全ての職業が使用出来ると言った。なんとかなるはずだ。

 俺は気持ちを立て直して、聖剣を中段で構えて、マンバスティングを放つ。

 

 俺と月光暗殺狼の間は暫く沈黙の空気に。

 

 「やはり剣では、矢は出ないね。」

 

 月光暗殺狼は構えず俺にかかってくる。巨大の体を起こし、前足の二本を双剣みたいに振る舞う。

 

 「クッソ、聖剣ならなんとか魔素なんかで矢を生成するが出来ると思ったのに!」

 俺は苦し紛れに聖剣で狼の攻撃を受けた、だが攻撃は一撃ではない。連続攻撃だ。月光暗殺狼は物理規則を違反する勢いで後ろの両足で2、3秒立て、この時間で巨大の前足の爪で凄まじい回数で俺を攻める。前足が落下する間も無く再度立ち直り、攻撃を繰り返す。下手の盗賊よりずっといい剣さばきぐらい。

 しかし何だろう、自分が言うのが何だが、俺も捨てたもんじゃない。何となく聖剣で月光暗殺狼の攻撃を受け流す、さらに前足が落下する時カウンターすら狙える。心なしか、あいつの爪も聖剣に当たれ、微かな割れた場所も幾つ。

 見たか!これが聖剣!

 見たか!素早2倍はないが、lv70のレンジャーの素早+100は凄いぞ!

 月光暗殺狼も俊敏に俺のカウンターを回避するが。要所がまもられたものの、結局背中は俺に切り裂いた。

 そして見たか!これはlv70のレンジャーの器用と2倍の腕力だぞ!

 

 「瘴気回復(ミアズマリジェネ)」、黒い煙は月光暗殺狼の傷口を纏う。

 「野獣潜伏(ビーストステルス)」、月光暗殺狼はさらに姿を消した。

 

 妙に手札が多いなこいつ、回復もステルスも使えるなんて。

 

 「ここだ!」

 しかし俺は気配探知ですぐ月光暗殺狼の位置が分かった、素早く移動して聖剣で裁き。狼は悲鳴の共に姿を現した。

 これはいいのを喰らったな。

 

 「暗黒歩(シャドウステップ)」。図鑑によるスキルコメント。目の前の月光は消えた。

 

 そして探知する隙もないぐらい、俺の背後はまた襲われた。

 

 「暗黒猛撃(シャドウダンス)」、これは最初の一撃よりきつい。

 

 これは、明らかに空間移動を使ったな。忍者か?忍者狼か?そして月光暗殺狼は俺を容赦無く叩き込む。そして「天眼」の発動は俺のhp値の危機を知らされる。

 先の暗黒猛撃(シャドウダンス)の効果か、数秒間全く動けない。

 ジョブチェンジ!聖騎士!ロード!盾王!できない!

 タイム!タイム!審判、タイム!

 

 「流血」「喉潰し」「腎剃」。これらのスキルを只々コメント見るだけで反撃できない。

 しかし、こっちには奥の手がある!

 

 「メガヒール!」

 

 今の俺はレンジャーだけど、ドラゴンのスキルツリーにて治癒魔法を取得した、それもいついかなる条件でも発動できる。ドラゴン状態のためとっといたスキルだけど、早速使う。

 しかし俺は治癒魔法をかける寸前、月光暗殺狼また「暗黒魔法先制(シャドウマジックカウンター)」というスキルを使い。俺の魔法を止めた。

 クソ、どんだけスキル持ってんのよ!そして俺の魔法を素早く止めるなんて、もしかすると先詠唱遅延の効果があるスキルを叩き込まされた。

 

 「これならどうだ、騎神(ゴッド)聖盾(シールド)!」

 これは発動時間0のスキル、hpは回復しないかわり、ダメージを吸収する。難なく発動出来た。月光暗殺狼の攻撃は途端に苦しく無く感じる。俺はやっと身を起き、安全な場所へ移動。

 

 「ヒール、駄目か。」

 先月光暗殺狼の魔法先制は多分カウンターされた魔法と同じ系統の魔法を一時的封じることが可能、俺はヒールを唱えても発動しない。残りのhpはまだ300前後。

 

 「世界樹(イグドゥラァシィル)慈悲(リジェネーション)

 試しに違う系統の回復魔法を使い、見事成功。hpが徐々に回復する。

 本当は流血、遅延などの状態異常も回復したいが、レンジャーのmpは厳しいそうなのでやめた。2倍+100でもレンジャーはレンジャー。

 

 「さて、戦闘中のジョブチェンジはできないみたいだけど。どうやってレンジャーのままでお前を倒すか。」

 

 月光暗殺狼は俺を追撃するが、俺は引きながら攻撃を難なく受け流す。これは多分「天眼」効果だろう。そしてさすが高級職業「聖騎士」の最高級スキル、未だこの「騎神(ゴッド)聖盾(シールド)」は破れず。対する狼の方は俺のカウンターを受けるたびに小さく悲鳴を吠え。勝敗のバランスは俺に傾く。

 まあ、ドラゴンに戻ったらこいつ即死だろう。

 聖剣のおかげもでかい、最初は矢が出なくて散々だったけど。何となくhp、mpそして腕力2倍の効果が大きい。

 月光暗殺狼は最後また「暗黒歩(シャドウステップ)」という名の断末魔を繰り出し、騎神の聖盾はそれをあっさり防ぎ、隙が出て来た月光暗殺狼の懐に俺の一振りはこいつの引導を渡す。

 

 しんどがった。

 

 キャラクターのコマンドに経験値をチェック。ここはやはり「ドラゴン」と「人間」に分けている。

 ドラゴンはlv1のまま、経験値欄みたいなものがあるけど、2ミリしかあがってない。対する人間はlv2、そして経験値欄は半分以上。

 まあ、ドラゴンはレベルアップが遅いのは心の準備が出来た。

 気になるのはスキルツリー、spは如何なる形で増えるか。

 俺のステータス欄はドラゴンと人間に分けてる。もしも、もしもの話だけど。人間としてのレベルアップは出来るかどうか。出来たなら、その増えたspは人間専用なのか?両方使えるのか?もし両方使えるなら、俺は最終的60(ボーナス)+98(人間)+98(ドラゴン)のspも確保。

 「エインシェント」「ウオー」「ヒューマン」の三本のスキルツリー、全部いい感じにスキルを取得出来るんじゃないの?

 緊張する。

 

 「19…」

 

 確かこの前は18、人間のレベルアップで19に、人間なのにドラゴンのspは19に。

 鏡ないけど、きっと俺はニヤニヤしてるだろう。

 神様に、感謝を!適当具合いに、感謝を!


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