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15 シャルロット姫の奇遇

 シャルロット・ニル・ミールフォーレ。

 赤髪に赤い瞳を持つミールドワーフ族の姫。

 今はただのシャルロット・フォーレ。

 彼女は末っ子として、国王陛下から一番可愛がってる子。

 3歳から、王家の銃士団は彼女の鍛錬のために、迷宮に入っていた。

 12歳の時、彼女の竜殺しの夢と付き合うため。銃士団最強の4人と、精鋭銃士500名は竜の山へ進軍した。

 しかし二年後、国王は老いて亡くなり、第一王子は国王を継承した。

 国王の寵愛と銃士団の兵力に、赤を好むミールドワーフ族ゆえの彼女の人気。

 こんな彼女はもし王都に残ったら、次期国王は彼女に間違いない。

 ミールドワーフは赤を好く。

 ミールドワーフは火薬を好く。

 そしてミールドワーフは自由を好く。

 自由自在で、赤い銃士の姫様は、ミールドワーフの象徴とも言える。

 たとえ今でも、500の精鋭銃士と四銃士と呼ばれる王国最強の4人となら、王位奪還も有り得る。

 しかし彼女やめた。

 竜の山の遠征軍と四銃士は王都に呼び戻し、彼女は魔法の都へ追放。

 

 「姫様、こんなに突っ走らないでください。パトロールですから。」

 「アカーシャ、グリフォンって中々面白いね。」

 

 アカーシャは、魔法の都周囲を警戒する、「赤い悪魔」という名のグリフォン隊の一員。

 そしてグリフォン隊の10代の女の子中では、かしらでもある。

 自然に姫の護衛に当たっている。

 辛気臭いのグリフォン隊隊長のルードより、美しき赤い姫さまの護衛なら喜んでやっている。

 

 「もし竜の山に、グリフォンを投入したら。きっと手間が省けたわね。」

 

 グリフォンは、別にドワーフが訓服したではない。

 魔法の都でしか、グリフォン騎士はいない。

 もしグリフォンの機動力があってら。

 いや、別にどうでもいい。

 竜が見つからなくでも。

 

 「竜に見つかったら困るよ。絶対死んちゃうよ。」

 

 竜はこの世で最も強い生物。

 「魔将殺し」の強さを持つ、魔法の都の創造者であるリティラファナ・イシェンドラも、かつては緑の竜王の弟子との噂もある。

 この竜殺しの夢を見る姫様は、正直どうかしてると、アカーシャは思う。

 

 「しかし別に竜は殺せないものではないのよ。」

 「姫様、ちゃんと活けていられるのは一番だよ。」

 

 竜が怖いアカーシャをみると、シャルロットはかつての自分を思い出す。

 ずっと小さいな時、竜に憧れた自分と。

 そしてあの4人のことを。

 

 「シャルロット様、いまから竜を倒すぞ!」

 「バカ言え、シャルロット様はまだ12歳、連れ出すのはいけない。」

 「いや、わしの見込みでは、シャルロット様は既に十分な強さを持っている。そろそろだろう。」

 「ジーリックは心配性だな。」

 

 ミールドワーフは自由な民族。

 例え王の銃士団でも、同じだ。

 いえ、最強の4人だからこそ、自由自在にやりたい放題かもしれない。

 その4人は、姫の「竜殺し」の夢を付き合ってるではない。

 自分達の「竜殺し」の趣味を、姫が付き合いされている。

 シャルロット姫はただ、付き添いでしかない。

 当然その夢は果たすことは無かった。

 竜はそう簡単に見つからない。

 だからシャルロット姫は、追放される時、四人はそれぞれ最強の装備を、シャルロット姫に託した。

 

 「儂らの夢を叶えてくれ!姫ならあり得る!」

 「俺の研究では、シャルロット姫は同じ経験値で、常人より上のレベルまで上げることが出来た。いずれlv99になり、竜を倒す。」

 「ドワーフ以上の腕力、ミールドワーフの素早さ、ホーミングの異能。シャルロット姫はいずれ最強の座に君臨する。」

 「儂らの最強装備があれば、確実だな。」

 

 知るか。

 竜を殺すより、むしろあたしは・・・

 シャルロットは、そう思った。

 

 「ルードは、まだ追いついてないの?」

 「ルードは裏山の方を回っています。」

 「山好きだなあいつ。」

 

 ちなみにルードは、グリフォン隊の隊長。

 アカーシャ、紛れなく自分の上司を呼び捨て。

 彼は既に糸の交渉を終えて、シャルロットのところまで来るはずだけど。

 

 「ルードは以前山を全然回らないけどね。最近おかしいよあいつ。」

 「あたしは山はもういいかなぁ。二年も山に篭ったし。おい、どうした!」

 

 シャルロットのグリフォンは、突然もがき始める。

 前へ進めない。

 

 「私のグリちゃんも、どうしたのよ。」

 

 アカーシャのグリフォンも同じだ。

 

 「この前何かあるのかな。」

 「でもグリフォンはA級魔物の中でも強いとされてるよ。そのグリフォンが怯える物って一体?」

 

 アカーシャは想像力を働いた。

 ずっと彼女の生涯に強く影響を与えたアレが。

 そして見当がつけた瞬間、シャルロットは突っ走った。

 

 「ひ、姫様!」

 「付いて来い!」

 「え〜嫌ですよ。」

 

 シャルロットはグリフォンを接触した一ヶ月もんしと思えないの騎術とグリフォンの怯えを圧倒する迫力で、前へ進む。

 そして1人でたどり着いた空(場所)に、美しい白きドラゴンは飛んでいる。

 魔法の都の薄い青い色の結界に、ピッタリの生き物だ。

 

 「なんであいつらと離れたら、すぐ竜に合うだろう。皮肉だね。」

 

 -----カイト視点-----

 

 ミールドワーフのフォーレ家を訪ねたあと、軍資金を得た俺は適当な買い物をして、飼いヘレナと飼いセラのいる隠れ家へ向かう。

 しかし異世界の空三回目で、初の交通事故に遭遇した。

 後ろに何かがいると感じたら、確かにいた。

 振り向くば、赤い少女がグリフォンに乗って俺を追っている。

 ドラゴンでは、レンジャーのスキルは使用できないのに、これを感じ取るというのはドラゴン自身の察知能力かもしれない。

 そして少女の正体は分かっている。

 金を恵んだフォーレ家の新族長だ。

 名前は確か、シャルロット。

 やはりカリスマは効いたのか、俺のほうをどんどん距離を詰めていく。

 ていうか、グリフォンの速度速いなぁ、ドラゴン並みだ。

 加速して逃げようとするが、少女は発砲した。

 愛を語ってるじゃない、攻撃して来た。

 さすがはミールドワーフ、知らない相手でも構わず銃を撃ってくる。

 俺は仕方なく弾丸を避けて安全運転する。

 これぐらいは余裕だ。

 少女は俺の後ろどれぐらいの距離は分からないが、近くはない。

 そんな距離でも撃てるものだなと驚いたが、威力と速度、どれも普通。

 しかし少女は「エンチャント:ホーミング」とか唱えて、その銃に魔法をかけていた。

 しかしドラゴンの耳はいいなぁ。

 あんな距離の詠唱もはっきり聞こえてくる。

 そして俺は避けても命中された。

 不幸な交通事故の始まりである。

 

 俺はやむなく運転を止めた。

 そしてドラゴンとして初のダメージを受けた。

 1とは言え立派なダメージ。

 少女、いやシャルロット姫か。

 俺を初体験をさせた人だ。

 しかし彼女の方はキョトンとした顔俺を見つめる。

 

 「さすがはドラゴン、弾丸では通貫することも出来ないんだ。」

 

 そして彼女は銃を構える。

 

 「爆炎弾!」

 

 火の玉は俺を飛ぶこむ。

 避けられなくもないが、自分の火耐性300を試したいので、あえて受け取った。

 なんだろう、ドラゴンの状態で戦闘すると、妙に気分が落ち着かない。

 いかんせん敵の攻撃を見くびる?の思考に至る。

 

 その火の玉は、俺の懐にぶつかり。ダメージは最初20で、その後も10ぐらいの連続ダメージが3秒ぐらい続いた。

 

 「嘘…」

 

 シャルロットは俺の具合を見て絶句。

 

 「仕方ない。」

 

 そしてシャルロットは、剣を出した。

 なるほど、銃士でも銃と剣両方使うだ。

 しかし、あの剣、どこかで見たこと。

 

 聖剣?

 形、色具合、大きさ。

 全く同じ。

 これはあれだろう、俺の聖剣と同じタイプの剣?

 聞きたい、この子がセラの使徒かを。

 いや、セラは人族の神様だから、この子は関係ないだろう。

 そしてなにより、喋るにはいかない。

 声がバレるかもしれない。

 自分では、ドラゴンの時の声と、人の時の声が違うと感じているがどうだろう。

 バレたらどうする。

 

 「次の技を使う前に、お前に聞きたいことがある。」

 

 お前だと?失礼な。

 あれ?なんで怒るだろう。

 さき「ガキ」と言われた時もこんなに怒ってないのに。

 

 「す、すみません。あなた様、ドラゴン様に聞きたいことがあります。」

 

 俺は何も言ってないが、シャルロットは勝手に畏まった。

 これもドラゴンのスキルか?

 

 「姫様!」

 

 そしてシャルロットの後ろ、もう一人の女の子は来た。

 しかも俺に向かって。

 

 「姫様のためなら、ど、ドラゴンだって。!」

 

 愛されてるな、シャルロット。

 

 「馬鹿、まだ戦うとは決まってない。」

 

 いや、いやいやいやいや。

 お前はもう俺を攻撃したんけどな、バンバン。

 三発と、火の玉一つ。

 剣まで、何考えて喋ってんのよ、ミールドワーフ!

 そして新しい女の子は俺のところへ突っ走り、銃を何発もぶっ込んだ。

 

 「喰らえ!」

 

 もちろんほぼノーダメ。

 

 「これなら!」

 

 そして彼女はレイピアを抜け、俺を接近する。

 俺にとって針みたいで、すこし怖いな。

 

 「あっ!」

 

 そしてレイピアは俺の体に衝突し、切断した。

 なるほど、これが3500の丈夫だ。

 ダメージはまたしても1。

 そしてレイピアが折れたあと、女の子はグリフォンごと俺にぶつかった。

 グリフォンとともに両方失神して落ちる。

 

 「アカーシャ!」

 

 なるほど、アカーシャという名前か。

 このままだと、このアカーシャの子は地に落ちて死ぬだろう。

 でも虫けらのような生き物だからいいか。

 

 「待ってろ!」

 

 シャルロットは全速力でアカーシャのところへ飛ぶ。

 しかし距離あるので、間に合わない。

 そうだ、助けなきゃ。

 何考えてるだよ俺は。

 ドラゴンになって、人間とここまで違うとは思わなかった。

 俺も彼女の方を飛んで回って、キャッチした。

 さらにグリフォンも確保。

 女の子ゲットだぜ!

 そしてシャルロットは驚いた顔で俺を見る。

 

 「ドラゴンが、アカーシャを・・・そういえば、ドラゴンはなんの攻撃もしてこない。」

 

 シャルロットはさらに興味深い目で俺を見る。

 

 「その、彼女を返してくれませんか?」

 

 いや、独り占めするつもりは断じてない。

 つもりはない。

 そもそも助けるつもりだった。

 でもしゃべるのもいかないので。

 無言。

 

 「ありがとうございます。」

 

 通じたみたい。

 シャルロットは俺のところへ飛び、女の子、アカーシャを受け止めた。

 

 「やはり、ドラゴン様は・・・」

 

 何が言いたい?

 

 「ドラゴン様のことは、内密に致します。だから、その、我々に被害を与えないでください。」

 

 与えないよ。

 

 「では。」

 

 シャルロットはアカーシャを抱え、深く礼をし、ここを去った。

 なるほど、ミールドワーフでも、礼はするんだ。

 いや待て、なんか忘れた気がする。

 自分の手(爪)を見る、グリフォンはいった。

 結構大きい、虎ぐらいはある。

 

 「ひ、いやヒールはないなぁ。」

 

 グリフォンにヒールをかけて暴れる可能性もある。

 

 「と、とりあえず持っていこうか。」


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