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12 武器屋と防具屋

 朝五時。起きた。

 ドラゴンだからか、睡眠は4時間でも十分だった。

 それも卵から出て来た数日、全く寝てないのにだ。

 寝る前に五時で起きたいと思ったら魔光板を見たらきちんと起きた。

 便利な体だ。

 魔光板も中々便利なものだった。

 ビーパーは時間を見れるだっけ?世代じゃないので分からない。

 食事もそうだ。

 数日食事を摂取してないのに大丈夫。

 ヘレナ曰く、好きな時食べ、量も適当でいい。

 昨日の夕方のワールドすぎるすき焼きを食べた後すぐ、魔法の都名物串焼きも大量に食べた。

 それにしても満腹にならない。

 ドラゴンって不思議だ。

 ちなみに串焼きを食べた瞬間俺は分かった、セラのすき焼きはどれぐらいワイルドないもの。

 明らかに串焼きのほうがマイルド、考えても当然、塩しか振ってない狼の肉だぞ。

 でも三人も無事食べた。

 多分ドラゴンは生臭いものでもいける口だろう。

 でもセラは違うよな、彼女はちゃんと人間。

 

 「そういえば生の肉、食べたな。」

 

 セラのワイルドさ、多分ドラゴン越え。

 それにしても、食べたい時どれぐらい食べても腹いっぱいにならないし減らない、寝たい時はどれぐらい長くも眠ってもいいし寝ないのもよし。

 なんと言う便利な体、やりたい放題ではないか。

 多分ボーナスspが間違わなくても、ドラゴンであることはほかの英雄候補に対して有利かもしれない。

 

 午後、ミラちゃんと昼飯の約束あるので、午前中幾つの用事は済ませたい。

 昨日転移魔法を使ったら、魔力がほとんど尽きました。

 lv99でもなったのにmpは切れるなんて、どうやら転移魔法はmpを全消費する確定だね。

 でもその後、リティラと酒飲んで、宿に寝てからmpが大分回復したので、魔法の糸(lv3)を大量生産することにした。

 lv4は割愛する。目立つから。

 人間変幻lv4を習得したので、レベルが99まで上げた裁縫職人は、多分この世最強の裁縫職人になる。

 聖剣と魔道書抜いたからむしろmpはlv70の時より減ったところだが、mp消費減少のスキルを取ったので、lv3の魔法の糸を200ぐらい作った。

 これはどれぐらいの金になるだろう。作るのが超つまんないからいい値で買ってほしい。

 テレビも音楽も流してないつまんない環境での単純作業はマジでマジできつい。

 せめて美少女ぐらいは眺めたい。

 一見難しい要求に見えるだが、俺はここに転生したあと美少女しか出会ってないので、問題はない。

 美少女獣耳の部下2人もいたし。

 次回の作業場は隠れ家で決定だな。

 変幻と聖剣も使い放題だし、効率は上がるだろう。

 製作に小一時間掛かったので、もう魔光板は6時に回ってる。

 俺は鍵を預かり、宿屋を出た。

 冒険区の防具屋へ向かった。

 さすがは6時、街中の人間はまだ少ない。

 防具屋、やってるのかな。

 無駄足でないことを祈る。

 

 「よかったやってる。」

 

 異世界の人は勤勉だな。

 冒険区のほとんどの店が空いてる。

 冒険者らしきものも少なながらいる。

 

 「おお。」

 

 異世界初の防具屋、感動する。

 しかし何だろう、魔法の都だからか、布系の装備が多い。

 金属が全体的に足りない。

 むしろここ服屋。

 戦士型のヘレナの装備を揃うにはちょっと厳しそうだ。

 でも店主は服屋のお姉さんじゃない。

 ガッリガリのヒゲ筋肉おっさんだ。

 

 「よう、坊主。朝早いじゃないか?装備か?それとも修理か?」

 

 修理?何を?装備か?

 壊れるの装備?

 まぁ壊れるか、普通。

 俺のも修理出来るの?

 生活職業を開くと、武器修理士と防具修理士があった。

 

 「その、素材を売りたいです。」

 「ほう?うちにか。冒険者は普通、ギルドに売りに行くんだが。」

 「冒険者ではないもので。やはりギルドに売った方が値段が上がるのか?」

 「そいつは教えられねぇな。まっ、実際はケースバイケースだから。」

 「魔法の糸を売りたいです、こちらで扱えそうなので。」

 「魔法の糸か、確かにドロップアイテムでないなら、うちに売った方がいいだろう。で質は?」

 「こんなものです。」

 

 糸lv3一個を差し出す。

 

 「おいおいおいおい、最高質ではないか?」

 

 最高質?いやレベル3ですけど。

 lv5の糸も作ってあげようか?

 

 「これは幾つで買取しますか?」

 「魔法の糸は、毎日市で値段発表してるからだ。高級糸は今日銅貨87枚で売っているだ。ちょっと安めだな。」

 

 安めでこれか。

 でも200作ったから、それでも金貨2枚ぐらいか。

 最初の買い物は地図だから、その値段は軽く金貨一枚取られたけど。

 串焼きは一本銅貨5枚にちょっと高級な宿の宿代は銀貨1枚の驚きの安さでやっとここの物価の感覚が掴めたがそれか。

 

 「幾つ持っている?」

 「2、200ぐらい?」

 

 本当の在庫を全部ぶち上げるかどうか迷ったけど、今後の量を考えたら白状した。

 それを聞いて防具屋の旦那はため息を吐いた。

 驚きでも疑いでもない、ため息。

 そして目には同情。

 俺また何かまずったか?

 

 「お前の糸の質は最高だ。魔法の糸と布の市の値段は、裁縫職人連合の連中が、裁縫職人連合の連中が作った全てのものを同じ値段でうまく売りつけるようにつけた額だ。お前の糸は市に出回ったら、すぐ買取されるが。その価格は銅貨87枚だ。」

 「そ、それがまずいですか?」

 「やばいに決まってるじゃないか。お前のものは87枚以上の価値がある。裁縫職人連合はお前のような奴が作った糸を定価で売るのが大好きだ。けどもし、お前がそれ以上の値段でこの糸を市に売るなら、狙われる。」

 

 おいおい、たかが糸を売るぐらいのことで、狙われるの?

 裁縫職人連合怖え。

 

 「困ります。」

 「この質だと、多分お前は1日5、いや6しか作れないだろう。mp回復も含めて、お前は二ヶ月ぐらいの作業時間と見る。それが一つ銀貨にもならない値段で売るのなんて、あんまりだ。」

 

 旦那さんなんか勝手に興奮している。

 俺が質重視の頑張り屋職人と勘違いされただろう。

 

 「俺には分かる。出だしの職人で、質にこだわるあんまりに、金が回らなくなり、けど意地でも高価で売りたいその気持ち。」

 

 いや、分からない。経験談ですか?

 むしろ質を下げた。

 

 「俺はこれを銀貨で買う。が、こっちも魔法の都に店張った男だ。仕入れルートがある。信頼に関係するんだ。でもお前みたいな若い職人がほっとけるにはいけない、だから20、いや25。25個を買う。」

 「ありがとうございます。」

 

 俺は別に銅貨87枚も銀貨一枚もどっちでもいいけど

 串焼き二、三本ぐらいのものだ。

 

 「でも心配するな坊主、ちゃんと残り分のルートを用意してやる。」

 「それは、ありがとうございます。」

 

 いいおっさんだなこいつ。

 正直25個は微妙な量。

 

 「坊主、「赤い悪魔」は知っているか?」

 

 何それ、魔王軍幹部?

 

 「ごめんなさい、知らないです。」

 「まぁ無理もない、街中じゃ見かけないだから。とりあえず、これを持って結界区、いや今は若い奴らは防衛区と呼んだな。その防衛区の役所に、これをグリフォン組の奴に渡せば、あいつらお前の糸をいい値で買ってくれる。糸が大量必要で、そしてお得意様の裁縫職人連合なんて躊躇なく蹴っ飛ばす奴らだから。」

 「その方達は赤い悪魔ですか?」

 「ああ、なるべく早く行くようにな。今回は多分近日で素材を確保するだからな。」

 「はい。」

 

 ちょっと意味分からないな。

 グリフォン組か、グリフォンって赤いだっけ?

 グリフォンをイメージした部隊か?それとも本当のグリフォンを飼ってるのか?

 なぜ魔法の糸を必要だろう。

 裁縫職人連合はお得意様だそうだが、これで俺と裁縫職人連合の間なにが起こらないように祈る。

 俺はおっさんの手紙と銀貨25枚をアイテムボックスに締める。

 そして店の外。

 

 「聞こえるか、ヘレナ。」

 

 ヘレナに念話。

 竜血騎士特有のスキル。

 カップル割引だな。

 朝一で悪いけど。

 

 「はい、カイト様。」

 「セラはまだ寝ているか?」

 「はい、熟睡です。」

 「熟睡か、イラ立つな。」

 「そうですね、起こしましょうか。」

 「いい。俺が来る時にしろ。」

 「はい、まだまだ子供だから、十分な睡眠を取るべきかと。」

 「今からそっち向かうけど、食事以外何が必要なものは?」

 「いろいろありますけど。衣服類はカイト様がお作りになるから。後は生鉄を買って、ほかの生活用品や武器防具なども一気に揃えるはず。」

 「生鉄か、探してみよう。ほかは?」

 「セラは昨日調味料がないとうるさくて。」

 「分かった、調味料ね。じゃ揃ったら向かう。」

 「はい、お待ちします。」

 

 この会話、前世の幼馴染を思い出す。

 付き合い一週しかないけど。

 あいつ今どうしてんだろう。

 こっちの時間の流れは一緒かどうか知らないが。

 一緒なら、あいつもう37になるけど。

 

 「…」

 

 食事。後は鉄に、調味料が。

 石鹸とかいるか?

 あったら買う、女の子だから必要だろう。

 問題は生鉄、生鉄ってどこが扱えるだろう。

 とりあえず向こうの武器屋でも当たってみる。

 

 店主は20後半の女の子。

 体がとっても華奢で細い。

 とても鍛治ができるように見えない。

 しかし彼女は鉢巻巻いて、皮膚は焼けた小麦の色。

 こんなの売り子じゃないな、絶対。

 

 「すみません、生鉄ってありますか?」

 「生鉄?生鉄を買う奴初めて見たわ。」

 

 お姉さんは不思議そうに俺を見る。

 

 「ないですか?」

 「坊やさ、生鉄が扱ってない武器屋の店見たことある?」

 

 いや、武器屋自体は初めてなので。

 でもまぁ、武器を作るには、鉄がいるのは間違わない。

 

 「でもさ、生鉄はないよ、生鉄は。こっちとらこの腕で食っているんだから。なんの処理もされてない、そこいらの鉱山のドワーフのおっさんに酒一本くれば交換できる生鉄なんて売うわけがない。少なくとも精錬したてインゴットでも買え、あたしの腕でちゃんと生成した質のいい奴をよ。」

 「ではインゴットの方を。」

 「あくまでも製品買わないんだ、ショックだな。」

 

 文句を言いながらお姉さんは店の中にインゴットを二つを持ち出した。

 

 「二つ種類あるんけどどっちがいい?5キロと10キロの奴。単位値段は変わらないが。」

 「金貨一枚でどれぐらい買えますか?」

 「そんなに買うの、同業者?いや武器屋に来てインゴット買う同業者の阿呆はいないか。金貨一枚なら、ちょうどこの二つを買えるぜ。」

 

 精錬されたインゴットは金貨一枚で15キロ買えるか。

 想像以上多いな。

 

 「言っとくがこの魔法の都ランディアは、この私に求められるのが技術。これら鉄のインゴットは何本の武器もできるだろうが、その技量で価値の差がつく。」

 「はい、肝に銘じます。また来るかもしれないので、その時は。」

 「次は武器買えよ武器!」

 

 なんかちょっと怒られた。

 このお姉さん見た目綺麗な女性だけど中身は職人だな、それもおっさんタイプの。

 

 そのあとは、雑貨屋で調味料を大量購入。

 塩はもちろん、酢、醤油、味醂、料理酒、ジャムそして何種類の得体の知らない「ジャン」も。

 

 「種類多いね。」

 

 思わず感想を言う。

 こんな多種多味の異世界はあっていいものか。

 

 「四十年前の大戦後、なんとなく調味料と新しい食べ物が出て来るようになったよ。変な発明ものも」

 「そうなんですか?」

 「んで魔法の都は常に世界各地の賢者様は来るので、新しいものはすぐここに出回る。」

 「おお。」

 

 これは、あれですね。

 これこそ同業者ですね、いや先輩か。

 セラ(女神の方)に騙され、転生する哀れな奴。

 

 最後は大量のパンと何かの動物の片方の肋骨(生)丸購入。

 全部安かった。

 パンは一番高い奴、1個銅貨5枚。

 買う時なんか店の人にもっと安いパンを勧められた。

 俺の財布を気にしてたか。

 俺の糸で20個も買えるパンなんて節約する理由がない。

 とりあえず20個買った。

 これで3日は持つだろう。

 やはり鉄は高いな。少なくとも20個のパンを買える糸より高い。

 買い物を済んだ後、俺は西へ向かい、人気ないところでドラゴンになり、無事隠れ家に到着。

 不審なものはない。

 降りる前に見える。

 (ヘレナ)(セラ)はすでに待ってる。

 犬の方は尻尾舞いてる。

 自分で起きたか、ヘレナに起こしたのか。

 彼女の口の形から何と無く

 

 「ごはん〜ごはん〜。」

 

 のようなことを言ってる気がする。

 なんか俺が子供で、密かに秘密基地に野良猫と野良犬を飼うみたいな感じだな。

 微笑ましい。

 でもまぁ、俺がガキの頃、そんなバカなことやったことないから。いきなりこの可愛さの猫と犬が俺の所有物になるのは、ちょっとおじさんに刺激が大きいすぎるかもしれない。


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