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10 共喰い?

 「カイト様、今後の計画とかあるなら私に教えてください。私達にできることなら先にやります。」

 

 猫耳の秘書ヘレナはとても役に立つ。

 今やりたいことたくさんだ。

 

 「そうですね。ここに来たのは隠れ家を作るためだな。」

 「はい、打ち合わせ次第作業を始めめましょう。他には?」

 「そうですね、君達のレベルアップをしたいね。これは今後のことだから今はいいですね。」

 「私達はカイト様が不在の時でも出来ます。」

 「二人で大丈夫なの?」

 「大丈夫でしょう、ここのまものはさほど強くありません。そして賢者の結界を張れば、私達以外の生き物は近付けません。」

 「そうですか?」

 「はい、隠蔽中心の結界ならば、カイト様の力で、魔法の都の術者でも気づけない結界を張れます。」

 「お、おお。」

 

 バレることも考えたか。

 さすが竜の知恵。

 

 「でも装備は揃いたいね。」

 「それは是非。」

 「防具は簡単のが作るけど、ステータスはイマイチだな。」

 「人工の素材だけでは、効果はhpと丈夫しかないので。今はそれでいいでしょう。」

 「金なしな。これも問題だな。」

 「あ、あの〜その前に。」

 

 俺とヘレナの熱い打ち合わせの中、セラは恥ずかしながら手を挙げる。

 

 「どうした?」

 「腹が減りました。」

 「…」

 「私達はここ数日食べてないので。私は竜血騎士になったので、食料の摂取は控えてもいいが。今後このセラの食事だけでも用意します、育ち盛りなので。カイト様、何か食材でもあるんですが。」

 「ああ、あるよ。」

 

 ヘレナはなんだかんだ言って、セラに甘いかもしれない。

 

 「俺も数日食事してないが、やはり竜には食事は不要なのか?」

 「不要ではございません、ただし食事の効率は高いです。」

 「効率?」

 「はい、同じものを食べても、長く持ちます。」

 「少食ですか。」

 「大量摂取でさらに持ちます。カイト様の場合、卵の栄養を摂取したので、かなり持ちます。しかし、竜血騎士となった私と違い、カイト様もセラ同様育ち盛りなので、多めの摂取を勧めします。」

 

 なるほど。

 食べれば、育つと。

 これは家を築く前に、まずは腹ごしらえを済ましたいな。

 でも、一つの問題がある。

 俺は今食材を持っている。持ってるから問題なのだ。

 

 「セラよ、一つ聞きたい。」

 「はい。」

 「お前の種族は、あの、食べられないものはある?」

 「食べられないものならいっぱいあります。種族は関係ないですけど。えっと、私は肉以外殆ど好きではありません。」

 

 偏食家か。

 いや問題はそこではない。

 

 「狼人族って。狼、崇拝してますか?」

 「孤児院育ちだけど、狼人族の一族は狼を崇拝してはいないと思います。我々平原狼人族は大精霊の女神エルナ様を崇拝しています。」

 「狼を飼うとかありますか?」

 「それは樹海狼人族のことだと思います。我々平原狼人族は基本人族と同じ生活をしてます。」

 

 セラは俺と会話はしてるけど、目が「肉くれ」を言ってる。

 

 「お、おおおお狼の肉とかは?」

 「…食べたことないです。」

 

 ああ、やはり共喰いになるですか。

 これは地雷を踏んだ。

 

 「食べてみたいです。」

 「…」

 

 はぁあ?

 なんだよこいつ。

 

 「大丈夫ですか?」

 「腐ってないければ。」

 

 だけら問題はそこじゃない。

 アイテムボックスにあるから、腐ってはいないと思う。

 

 「君達、料理は出来る?」

 「ち、知識が持ってます。」

 

 ヘレナは自信がないみたい。

 耳動いた、動揺してるな。

 

 「肉の処理が出来ます。香り付け、焚火、大抵の肉と海の幸の切り方も。ほかは焼け方しかないかな。」

 「いやなんでも出来るんじゃないか、ならこの三つの肉とこの前股肉を処理してくれ。腐ってないよね。君達鼻が良さそうなので匂いで分かるか?」

 「おお!凄そうな肉!」

 「狼の肉だけどね。そういえば犬と猫の嗅覚どっちが上だっけ。」

 「樹海狼人族は一番嗅覚のいい種族とされてますが、平原狼人族は多分我々ソードキャットと同じぐらいかと。」

 「私の鼻が超凄いだから!」

 

 そうやってセラは鼻を肉の近く匂いを嗅いだ。

 そして舐めた。

 

 「え?」

 

 俺思わずショック。

 そしてセラは懐の中革の鞘のナイフを取り出し、肉の筋に沿って刺身一切れを切った。

 美味しそうに食べた。

 

 「この足の肉、凄く品質の肉ですよ。」

 

 生。生の狼肉。

 なるほど、これは獣人あるあるか。

 生の肉ぐらい食べるよな。

 俺はヘレナのほうを見る。

 

 「生肉はやめなさい。」

 「いたっ!」

 

 叩かれた。

 よかった、獣人あるあるではなくて。

 

 「セラ、君はこれらの肉の処理をやって。カイト様、その狼王の前股肉は、料理スキルで処理した方がいいかと。」

 

 セラは俺にアドバイスをした。

 

 「でも作った料理は味しないでしょう?」

 「能力が一時的に上がられます。」

 「え?まじ?」

 

 そういえばそうでしたか。

 あんまり覚えてないけど。

 

 「はい、そして長く保存出来ます。」

 「え?アイテムボックスでは長く保存出来ないの?」

 「ある程度なら腐敗を防ぎますが、長くには。」

 

 でも先の肉は大丈夫だった気が、ひょっとしてアイテムボックスイコール冷蔵庫?

 

 「うん、塩しかない。カイト様、魔法の都に戻ったら香辛料を買ってきてね。」

 

 なんでお前が塩を持ってんだよ。

 

 「この布なに?すごっく酸っぱい匂いだけど。」

 「酢布ですね。」

 

 なるほど、用心棒が調味料を持ったか。

 よく見つけたな。

 やはりセラとヘレナ、鼻が効くか。

 

 「塩は必要だけど、このおっさんくさいの酢布は要らない。きもい。」

 「同感。」

 

 しかし裁縫は糸とか作れるが、料理人には香辛料生成とかないの?

 アンバランスだ。

 こうして、彼女達は肉を焼き、俺は料理スキルを初披露目。

 「狼王の前股ステーキ」三つを作った。

 

 狼王の前股ステーキ ギアスコア 5/10 料理

 五時間以内、基礎素早20%アップ

 

 五時間か、思ったより長い。

 効果の方はどうだろう、割といいと思う。

 

 「これはみんなそれぞれ一つ持ちます?」

 「これは売った方いいですね。今の私達に必要ないから。金の足しになりましょう。」

 「味がしないなら売った方がいいね。」

 

 どうやら女の子二人は俺の高級料理を興味ないみたい。

 今セラは凄まじいナイフ裁きで狼の肉を肉きれにする。

 

 「焚火なら、私にもできます。」

 

 ヘレナは小枝とか拾っている。

 そして肉の作業を終えたセラは槍の男の兜を洗っている。

 すき焼き?

 

 「カイト様のアイテムボックスの中に結構眠らせたか、水分が抜けていてちょうどいいです。」

 「しかしこの防具はもう駄目になるですね。」

 「仕方ないことですよ、ヘレナさん。」

 「そうですね、セラとカイト様は食べないとね。」

 

 簡単なすき焼きを済ました。

 野営には悪くない味だ。

 

 「ヘレナ、屋敷を作るには、どんな職業になった方がいいか?」

 

 どうせヘレナは把握してるだろう。

 俺にはない竜の知恵で。

 俺は聞くだけでいい。

 

 「そうですね。生活職がスタンダードだけど、幾つの高級職には特殊な建築物が召喚出来ます。」

 「え?そんなの出来るの?」

 「はい。賢者の魔女の家とか、樹海大賢者の林古屋敷とか。」

 「いいじやない?」

 「でしたら林古屋敷にしてください、これがセラが作ったことにします。」

 「おお、用心深いな。」

 

 俺は樹海大賢者に素早くジョブチェンジした。

 林古屋敷は第五層にあった。

 

 「召喚!」

 

 木造校舎みたいなものは召喚された。

 でもそんなに多くはない。

 

 「さすがです。」

 「おお凄い!」

 

 セラはあっさり門を開けて中に入った。

 ヘレナは彼女を叱りたいが辞めた。

 

 「おお!なんだこれ!狼人族の血が沸く!」

 

 リビング?らしき部屋だったが、古の宗教の儀式を行う部屋みたい。

 やたら正体不明の動物の骨とか、変な編み方の植物とか飾ってる。

 

 「これは樹海狼人族の大賢者が霊獣を召喚する建物です。奥の部屋に大きな動物の毛皮が敷いてあるので、三人が暮らすのは問題ないかと。」

 「三人。」

 「???」

 「な、なんでもない。」

 

 野性味溢れる部屋の中、無防備な猫耳少女と犬耳少女。

 イカンイカン。

 

 「俺は結界を張る、そしてランディアに戻る。今夜二人だけでいいな。」

 「はい、大丈夫です。帰りの時はくれぐれお気をつけてください。」

 「帰る時は転移魔法を使う。でも毎回転移の間の人に見られるのがよくないな。」

 「ランディアの転移魔法先は自分の住所により変わります。宿を取れば。」

 「そうか。それもそうね。あんまり邪魔するとね。」

 

 リティラ、切れそう。


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