09 部下
ヘレナ(猫耳)とセラ(犬耳)の二人の部下を迎えた。
「俺の名はニーゲンカイト、カイトと呼ぶがいい。」
「はい、カイト様。」
「カイトくんですね。あっえ〜。か、カイト様。」
セラはヘレナに睨まれた。
「先言い損ねたけど、ドラゴン様って人間に化ける時可愛いですね。」
「俺は実際お前達より年下だから、こんなもんですよ。」
可愛いか、いまいちだけど悪くはない。
「カイト様にはもっと敬って話してください。」
「はい〜」
ヘレナは見た目15前後の白髪白耳の少女。
白い仔猫のような。
その白い髪から竜神のヘレナ様をリンクした、そして彼女も今日から変えて竜血騎士だし。
その名前を彼女につけた。
迷信かもしれないけど、神様の名前を付けたら、見守られるかもしれない。
彼女は相当可愛いし、スタイルもいい。
用心棒の話だと、彼女の種族である「ソードキャット」は剣に優れる種族と言った。
剣を持たせるべきか。
一方狼人族の少女であるセラは、12前後の緑髪の少女。
多分ミラちゃんぐらいの年齢。
まだ年が幼いか、顔は可愛らしい。
しかしすでに胸がけしからん方向に発展している傾向が濃厚。
だからこいつにはセラの名前を与えた。
彼女の種族である「平原狼人族」はドルイドの髪を信じ、ドルイドの力が使える種族だそうだ。
セラ様は自分が人族の神様と強調したが、同じ名前のよしみで、どうかこの子を守ってください。
そして彼女達を部下に迎えた今、俺のコマンドに「部下」欄が増えた。
レベルとステータスが見える。
その中に、彼女達のレベルと職業を見れる。
名前:ニーゲンカイト 年齢:10歳 種族:人間 職業: 時空術師 レベル:99
名前:ヘレナ 年齢:15歳 種族:猫人族 職業: 竜血騎士 レベル:1
名前:セラ 年齢:12歳 種族:狼人族 職業: ドルイド レベル:12
竜血騎士、流血したのは俺だけどね。
そういえばヘレナはソードキャットとかセラは平原狼人族だと言ったけど、種族は狼人族と猫人族となっている。
他にも猫人族と狼人族の亜種があるかもしれない。
にしても二人レベル低いな。
セラは単純に鍛錬が足りないのなら、ヘレナは単にリセットされたんだろう。
レベルアップと装備が必要だ。
俺も考えた、聖剣と魔道書が目立つなら、いっそヘレナとセラにあげたほうがいい。
いい装備だから遠慮するかもしれない。
「この剣、ヘレナ、お前が持って!」
「はい。」
聖剣をレベル1のヘレナに渡した。
うん?
「この魔道書、お前が持つがいい。」
「ありがとうございます。」
セラもなんとも思えないか。
「その本の中にある物語を熟読せよ、お前と同じ名前の勇者の武勇伝が書いてある。お前にはそれを世に伝える使命を与える。」
「ええ?嫌です。本嫌い。」
「ちゃんとカイト様の命令を従えなさい。」
「はい〜」
ヘレナとセラはいい感じの姉妹になりそうだ。
そして俺は聞き込み調査を始めた。
先ずはこの事件に関して。
「お前達はどうやってここに来たのか?」
「すみません、私には記憶が。」
「そうか。」
ヘレナはどうやら記憶喪失だ。
「今は何にも覚えてないか?」
「はい。竜血騎士になって竜の知恵を得たので、今はなんとか。」
そうか、竜の知恵があるから今は正常。
というか竜の知恵とはなんだ。
俺にもある、よな。
「私は薄々覚えています。みんなが攫われて、ライムの町に集められた。そしてあの男が、黒魔術で門を作ってここまで来た。」
男とはリマンド(偽名)のことだ。
俺は今時空術師になってる。
確かに門を開く能力、時空術師にあった。
「犠牲の扉」。
そいつを召喚するにも、一人の生贄が必要なはず。
リマンドのレベルでは、近隣の町ぐらいの近距離しか門が開けない、だから場所を隣町のライムにしたのか。
これは後で調査したほうがいいか?しかし変えて怪しまれる危険もある、難しいところだ。
「セラは、もしかすると家族とかはいるんですか?」
よく考えるとヘレナとセラはここの村人だったかもしれない。
無理矢理彼女達を家族から奪えるのも可哀想だ。
まぁ、向こうからの従属希望だけど。
「え?いいえ、私はライムの孤児院にいました。」
「ヘレナもか?」
「その中の一部の子は私と同じ孤児院でしたが、ヘレナさんはライムの町では見当たれませんでした。多分他所から来たかと。」
「そうか。」
誘拐、ではないよな。
しかしこの事件に関し、これぐらいの手掛かりしか残ってないとは。
「俺の正体はお前達も見た、ドラゴンだ。」
「はい。」
「凄かったです。」
凄いのか。
お前のビビリ姿覚えているぞ。
「ですが、俺は人の世に過ごすには、身分の隠蔽が必要となります。今俺はしばらくこの山の前の魔法の都を拠点にする。今日もその目的だからここに来た。ここは俺の隠れ家にする。ここまでわからないとこはないな。」
「はい、ドラゴン様は世界を征服するつもりですか?」
「はぁあ?そんなつもりはない。」
「ええ〜勿体無いのに。」
「何それ。でもお陰で思い出した、俺の当面の目的は、十年後魔王を倒すことだ。お前達も心かけるがいい。」
「はっ!」
「はい〜」
そういえば、リマンドは魔将を召喚するつもりだったか。
意外と魔王倒しには重要のイベントかもしれない。
ヘレナとセラも部下に入ったし。
しかしなぜセラは俺の目標を世界征服だと思ったんだろう。
さてはこいつ厨二だな。
「では話を続ける。俺は身分上、お前達を魔法の都に連れ出すことはできない。よってお前らにこの隠れ家の守備を頼む。」
「分かりました。」
「私はランディアの方が…」
犬を無視し、話を進める。
「でも心配いらない、俺はドラゴンだ。大体なことが出来ます、大工鍛治裁縫。ここを良い住処にする、心配はいらない。そして今後お前達を鍛錬する、そのつもりで。」
「はい〜」
ヘレナは俺の話を聞いて、何を思いついたみたい。
「カイト様。」
「なんですか?」
「カイト様はドラゴンであることを隠したいなら、どうかこの私を身代わりに使ってください。」
「どういう意味だ?」
「カイト様は今後、ドラゴンになられた時は、この場所に戻ってください。もし他人がここを探るのなら、どうかドラゴンはこの私と宣言させていただき。」
「ちょっとわからないな。」
なんで、なんでヘレナは自らドラゴンだと宣言するだろう。
「今後カイト様が活動する時、必ずドラゴンの力が必要であろう。しかしカイト様は自分がドラゴンであることを隠すつもりです。」
「ああ、絶対に世間にばれてはいけない。お前らも他言無用だからな。」
「ですがドラゴンの存在は大きく、例えカイト様は密かにドラゴンになり、ばれなくても、行動中ドラゴンが居たという事実は変わりません。ドラゴンの存在がばれるだろう。」
「それは、そうかもしれない。」
今日飛んでるのを見たやつもいたかもしれない。
「そんな存在を人々を惑わせるよりも、いっそその正体を明確して貰いましょう。ドラゴンの正体はこのヘレナだと。」
「おお!ちょっと分かってきたかも。」
つまりあれが、俺コ●ンだ。
ドラゴンになって事件を解決するには、ヘレナという小●郎が必要。
いや、ヘレナの場合は、は●せだ。
「そしてドラゴンの存在を隠すより、逆に利用したほうがいいかと。ドラゴンは知恵と力の象徴。人間界にも影響力がある。私にセラ、ドラゴンとその代理人として人間界を繋がり、カイト様は人間の内部で頑張って貰います。そして連携が取れます。」
「おお!さすがヘレナ。」
さすが竜の知恵を持つヘレナ、俺より頭が切れる。
いや、え?竜は俺だよな。
「でも私達弱いですよ。孤児院の子供では一番強いだけど。竜の代理人なんて、私が務めるの?」
lv12で孤児院のガキ太王になれるか。
無駄な情報を聞いたな。
でも人間界の内部でどうにかするって、俺も自信がないよ。
「黙るだけなら私がカイト様の代わりになるか?面倒ことはヘレナさんに任せます。」
セラは情けない妥協案を提出。
「お前には無理、表情でバレる。」
「セラには無理ね。」
「ひどいです。でも私、本当に弱いよ。」
「そこはカイト様の助けと私達の努力しかない。カイト様、どうか第四層の「ドラゴンロード」のスキルを取得してください。そうなれば部下の職業を変えることが出来ます。さらに私達の基礎ステータスも上がります。」
「お前そんなの分かるんですか?」
何この子、ドラゴンでもないのに、滅茶苦茶詳しい。
「はい、分かります。竜血騎士は竜の知識と知恵があるので、スキルに関する質問はどうか私にお聞きください。」
「おお!頼む。」
ヘレナ、お前今日から博士のあだ名を授ける。
いや、違う。どこが違う。
「その竜の知恵ってのは、俺自身にはないの?」
「竜血騎士たる私そのものはカイトの所有物だから、当然カイトには竜の知恵があります。」
言い方がすっごく嬉しいだけど。
違う。
「俺の脳には、ないの?」
「残念ながら。そこは勉強するしか。でもご安心ください、分からないことなら、このヘレナにお聞きください。」
「ぷっ、ドラゴンなのに。」
セラは小声で俺を嘲笑う。
「ではセラには下水道工事人という職になって貰おう、今後我が家の便所の清潔をお前に任せる。」
「その方がいいかと。」
「嫌です、私はエルナ様のお教えで、やっとドルイドになれたのに。何その今わからない職業は」
お前先竜血騎士になろうと思ったばかりなのに、なにがやっとだよ。
「カイト様、セラの平原狼人族の優位性を発揮するには、ドルイドの上位職「平原賢者」と「平原狼司祭」のどちらかになればいいかと。」
先ヘレナの相槌、冗談だったのか。
しかし、
「よくもその二つの職業を知っているな。」
「なれるんですか!なるなる!」
そしてセラは大歓喜。
ドルイドの上位職になれるのは、嬉しいだろうな。
俺はスキルツリーの「ドラゴンロードlv1(1sp)を習得して、セラの進学希望を聞く。
彼女は絶賛悩み中だ。
「えっと、賢者様も司祭様も凄いから、どっちにするの?迷うな。エヘヘ。でも司祭様は狼に変幻すると、戻る時だんだん毛深くなる都市伝説あるから、ここは平原賢者の方で。」
「なんかムカつくな選び方だな。」
「平原狼司祭になって、変幻中心の戦う方を徹底しましょう。」
ヘレナも中々冗談を言うやつだな。
くそまじめのやつと思ったけど。
「え〜やめてくださいよ。も、もしも今後カイト様に夜の御奉仕になったら、全身毛並みだった私、カイト様も嫌だろう。」
なんだこいつ、ガキのくせに何を言ってる。
そしてくそまじめ疑惑のヘレナ、ちょっと顔赤い。
耳もちょっと動いたし。
「その時俺はお前が俺を裏切り、狼と変身して俺を襲い掛かるつもりと認識する。まあ、平原賢者?でのはいいだろう。お前にはヘレナのサポートに任せる。」
「その方がいいかと、私も竜血騎士のため、精神と丈夫が高いが、治癒耐性は-100なので、少しでも高位なる治癒魔法の術者がいるほうが、私としても助かる。」
「よろしくね、ヘレナさん!」
「こちらこそ。」
俺はセラの職業を平原賢者に変えた。