003 おっさん、やっと理解する。
003 おっさん、やっと理解する。
警察に突き出されると思ったけれどそんな事はなかった。
腰に剣、手に槍を持った人達に囲まれて、そういえば性犯罪関係は私刑で殺される事も多いんだったかと思い出し、せめて楽に殺して欲しいと思った。
とりあえず暴れず素直に従っていたら、石壁にずんずん連れていかれ、中に入った。
どうもこれは建物だったらしい。
ならばさっきの場所は中庭?
四畳半アパートに住んでいるおっさんにはスケールがでか過ぎて認識できませんでした。
中は壁こそ石積みだが、床も天井も板張りだった。
ギシギシと通路を連れていかれ、そして、一室に放り込まれた。
そこに跪かされる。
どこの宗教なのか分からないが、祭壇の様なものがあり、その前に、白髪白髭の老人が立って居た。
背筋がしゅっとしていて、カッコいい年寄りである。
おっさんもこんな年寄りになりたいけど、その前に私刑で人生終了なんでしょうかね。
警備員? と、老人が少し話をした後、老人がおっさんの前に来た。
すっと、おっさんの頭に手を伸ばしてきた。
おっさんは跪いたまま、黙って老人の手が頭に乗るのを放っておいた。
老人はおっさんの頭に手を置き、
「ーーーーー、ーーーーー、ーーー、ー、ーーーー」
何か言っている。
これは懺悔しなさいとかそういう事なのだろうか。
「…… その…… 私は何で自分がここにいるのかも分からなくて、
だからその、猥褻物陳列罪とかそういうのじゃ……
だけど、若い女の子に不快な思いをさせてしまった事は深く謝罪しまぃいだだだだだだだだだだ!」
老人とは思えぬ強力なアイアンクロー!
……ではなかった。
おっさんが老人の手から離れて床を転げ回っても、まだ痛い。
頭を抑えてみたが、出血しているわけでもない様だ。
5秒ほど痛みでのたうち回ったが、しかし、今度は完全に痛みが消えた。
治ったとかそういう感じではない。消えたのだ。
「どうかね? 言葉がわかるかね?」
「え? あ、はい」
めちゃくちゃ流暢な日本語だった。
この老人は日本に長く住んで居た事があるんだろうか?
「あの、えっと、私はですね、突然光に包まれて…… 気付いたらここに……
決して、変質者とか、そういうものでは…… 」
必死に謝罪の言葉を探すおっさんだったが、
「まぁまぁ、待ちなさい。少し話をしようではありませんか」
すわ示談金の交渉かと思ったが、そうではなかった。
そこで、おっさんは衝撃の事実を知った。
□
全裸のまま、一通り老人と話をしたおっさんは
「ゼ◯の使い魔かよ……」
おっさんはその世代である。