002 おっさんは少女と出会います
002 おっさんは少女と出会います
光が収まり、おっさんは恐る恐る顔を上げる。
目がチカチカもしなくて、本当の光ではなく何か幻覚的なものだったのだろうかと訝しんで……
「…… どこここ……」
思わず声が出た。
まず、空が青い。
夜だったはずだ。もっと言えば、室内だったはず。
跪いている場所が、芝生の上。
見回すと、周りを石壁に囲まれている広い空間。
そして、周りには人間がいっぱい。
一次大戦ごろの軍服っぽい服装をしている。
みんな同じ格好をしているから、制服的な何かだろうか。
歳のいっている人がちらほらいるが、ほとんどは中学生ぐらいの子供に見える。
と言っても、なぜか皆んな外国人らしく、年齢の判断が合っているのかわからないが。
人種も多様。アメリカ? じゃないか……
「…… っ? うおおおっ?」
おっさんは思わず立ち上がり、飛び退いた。
置物か何かかと思っていたものが動いたのだ。
子供達の中に混じって、異形の存在がいる。
「ドラゴン? …… それに、なんだ? 熊?」
ロボット…… ではない。たしかな生物感がある。
それがポツポツと子供達の中に混じっている。
よくよく見ると、肩にトカゲを乗せている子や、子犬を抱いている子もいる。
「なんだよ、ここは…… いったい…… ?」
振り返ると、そこには女性が立っていた。
背が高い。
おっさんが身長169cmなので、この女性は165cm前後はあるだろう。
最近の若い子は背が高い。いや、外国人だから?
だが、顔のあどけなさはやはり子供ものである。
「ーーーーー! ーー!」
よくわからないが、何か言っている。
言葉は通じない。どう見てもジャパニーズではないし。
だが、おっさんは昭和の俳優よろしく顔が濃い。
髭も濃いので、たまにハーフか何かと勘違いされる。
それゆえ、外国語で話しかけられたのかもしれない。
「えっと、日本語、日本語わかりませんか? ジャパニーズ」
おっさんは英会話が苦手です。
「ーーーーー! ーーーーー!!」
ダメだ通じない。
彼女はラテン系だろうか?
薄い褐色の肌に、皮下脂肪の薄い顔、唇はぷるっとしているが、突き出ている感じは無い。
鼻筋は通っているが、鼻梁はそこまで高くない。
メスチソの美女?
制服は男女共通らしく、結構な厚手に見える。
暖かそう……
「? さぶっ!」
すうっと吹いてきた風に、身を縮める。
そして……
「って! 裸?」
おっさんは叫んで、再び身を縮める。
おっさんは若い女の子に裸を見られ…… 見せてしまった。
ヤバイ! 捕まる! 人生終わった……
おっさんの頭の中で人生終了の鐘が鳴り響く。
メスチソの美女は、しばらくおっさんを見ていたが、おっさんはそれを甘んじて受け入れた。