表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

011 おっさんとドラゴン

011 おっさんとドラゴン



死ぬと思った。

すぐに降参すべきだと思った。


「どうする? オッサン、降参する?」


うしろからフェリ様の心配そうな声が聴こえてきた。

距離にして50mは離れている。

これは召喚獣と主人の繋がりによって聞こえるものらしい。


おっさんは闘技場中央で、対戦相手と向かい合っていた。


ドラゴンである。


体格はおっさんより一回り小さい。

背中の翼は小さく、飛べないらしい。

胴体より長い尻尾が伸びていて、肉食狩猟恐竜の様な立ち姿だ。


勝てない。

いや、殺される。


フェリ様がなぜすぐに降参しないのか。

おっさんのメンツを気にしているからである。

戦う前から主人が降参してしまうというのは、召喚獣の価値を下げることになる。

おっさんはこんなのと戦えるわけがないのだが、おっさんがイレギュラーなのだ。

魔力をもつ召喚獣達は見た目では勝敗がわからない。

魔力量の差があっても使い方でまた勝敗がわからない。

戦う前から怖気付いて主人に降参してもらうような召喚獣は、見下されるのだ。


「とりあえず、やってみます」


本当は逃げ出したかった。

だけど、逃げるわけにはいかない。


そこらじゅうからクスクスと笑い声が聞こえてくる。

生徒達だ。

どうやら青階級の生徒はフェリ様だけらしい。

他はフェリ様より低い身分の生徒達だ。

彼ら、彼女らは、おっさんを、そして、おっさんを召喚獣にしているフェリ様を笑っている。


逃げるわけにはいかない。

こんなの、逃げるわけにはいかない。


怖いけど、おっさん、できるだけはやってみます。





試合開始の銅鑼が鳴った。


先手必勝!


飛び込みだけは兵士にも褒められた。

その瞬発力で踏み出し、槍を突き入れる!


がしっと、硬い感覚が伝わってきた。

まるで、硬質のゴムにぶち当たった様な……

でもこれは槍で、突き刺さるもので……


おっさんの槍は、ドラゴンの胸のあたりでがっしりと止まっていた。


少しは刺さっているが、入らない。


ぎゃおっ、ぎゃおおおっ


ドラゴンは痛がっているようだが、動かない。

はるか後方のドラゴンの主人は手を掲げていた。

その手が何やら光っている。


おっさん訓練で見てました。


あれは召喚獣に明確な命令を与える時の行動です。


つまり、おっさんの槍を正面から受け止めろと、そういう命令を出している。

ドラゴンが鳴きながらもまったく動かないのがその証拠。


「くっ…… うおおおっ」


おっさんは頭に血が上ってしまった。

バカにされている。

ちくしょう、ちくしょう、

体重をかけて、槍を押し出す。

ザリザリと足が滑る。


「ううっ……ああああああああ!」


全力で槍を押し、そして、


「んがっ!」


おっさんは転んだ。


乾いた音が目の前から響いてくる。

へし折れた槍が転がる音だった。



おっさんは武器を失いました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ