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010 おっさんと闘技場

010 おっさんと闘技場


かくして契りの10日間は過ぎた。


おっさんは多少は強くなった。

しかし、10日で筋肥大などおこらないし、技術の習得もできない。少し戦うのに慣れただけだ。

強くなったと言えるが、成長していないとも言える。



対戦の2つ前ぐらいの生徒は観客席で観覧している。これも授業の一環だ。


闘技場はコロシアムみたいなもので、中央の闘技場と観客席の間には魔法のバリアがある。

観客を守るためらしいが、同時に、召喚獣が逃げられない様にでもある。


生徒はともかく、召喚獣はずっと闘技場地下の獣舎の中だ。


何度か対戦が行われ、傷付いた召喚獣達が運ばれてきて、回復魔法を受けている。

というか、さっきまで戦っていた召喚獣同士を同じ場所に置いとくというのは人間の都合だよな。

バトル再開とはならないが、お互い距離をとってしまっている。



そしてとうとうおっさんの番が来た。


地上に上がり、闘技場袖に行く。

そこにはフェリ様が待っていた。


二人で闘技場に入り、主人は後方から指示、召喚獣は中央で戦う。


「まぁ、特に指示はしないわ。オッサンは人間だもの」


という事らしい。

そして、


「無理しちゃだめよ? なんだったらすぐに降参してもいい。

回復魔法で怪我を治す事はできるけど、致命傷はさすがに無理。

死なない様に、逃げなさい」


おっさんは、胸の痛みを感じた。


フェリ様は、まだそんな事を言っている。

他の生徒と距離があるのはおっさんも知っていた。

多分、陰では色々言われていたのだろうというのも察せられた。

そして、おっさんなんか召喚してしまって、嘲笑されている。

行って死んでこい、とか、そんな風に言ってくれた方がおっさんにとっては楽だった。


「…… がんばります」





おっさんはこの戦い、最初から諦めていた。

フェリ様が言う通り、テキトーにやって逃げる気でいた。

昨日までは、勝ち負けは相手によるだろうと思っていた。

召喚獣といってもいろんな種類がいる。

おっさんは成人男性。そして、成人男性よりも体格の小さい召喚獣が8割だ。

ギリギリ小さいぐらいだと間違いなく勝てないが、鎧を着て、槍を持った状態でチワワ程度のサイズの召喚獣には負けないだろうと思っていた。

それぐらいのサイズは全体の3割程度。

つまり、運が良ければ勝てると思っていた。

運が良ければ、フェリ様にこれ以上恥をかかせずに済むと思っていた。


だけど違った。


昨日、昼休みに拝み倒して回復魔法の子と模擬戦闘をさせてもらった。


回復魔法の子の召喚獣は手の平に乗る程度のリスだった。

小さ過ぎてうっかり殺してしまうんじゃないかとおっさんは思っていた。


結果はぼろ負け。


魔法でボロボロにされ、体当たりで吹っ飛ばされた。

あんな小さなものに。


魔力である。

やはり、魔力がものを言う。

そしておっさんには魔力が無い。



フェリ様が、おっさんに逃げる様に言うのは、おっさんよりも明確に理解しているからだろう。

まともにやりあったら死ぬと。


召喚獣は限界を迎えると消えるらしい。

だが、再召喚は普通にできる。

召喚獣は元々が魔力によって作られた擬体に、契約した精霊の魂がやどったものなので、死ぬという事がない。

一生モノと言われる所以でもある。

しかし、おっさんは魔力を持っていない。

生身の可能性があるらしいのだ。

とすれば、おっさんは死ぬ。

試すわけにはいかない。命がかかっている。


契約破棄や再契約はできない。

前代未聞だが、おっさんが死んだ場合、フェリ様は召喚獣無しで一生を終える。


おっさんと一生一緒なんて……

そんな覚悟を若い女の子がしたなんて……


おっさんはフェリ様にもうしわけなくてしょうがない。



でも、命は大事だ。

頑張って、頑張って、ダメなら逃げよう。


心の中で何度も謝って、おっさんはフェリ様に続いて闘技場に入った。




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